女性器切除

デビさんはappointmentの時間に30分遅れて到着しました。

 

ケープをかぶって長いスカートをはいていました。30代の女性の方でした。”バスを乗り継いできたので思っていたよりも時間がかかってしまって、すみません”とおっしゃいました。

 

”全然大丈夫、一息ついて初診の検査始めましょうか?”と私。

 

デビさんは”OK”といってかばんを置きました。

 

私は”お医者さんからの処方箋に、Pelvic Pain(骨盤底の痛み)とありますが、どのような痛みか、頻度、特徴など教えてもらえますか?”と尋ねました。

 

デビさんは

”私は西アフリカから三年ほど前にアメリカに移住しました。裁縫の工場で働いています。私の骨盤の痛みは毎日、一日中、そして長時間座っていると痛みは激しくなります。この痛みはもう何十年も続いています。”

 

”なるほど、アメリカに移住する前から続いてるんですね、何か原因になるようなトラウマ,手術、怪我などありますか?”

 

デビさんは

”私の故郷西アフリカの村ではまだcircumcision (女性器切除)が伝統的に行われています。女の子は8歳になるとこの儀式を行わないといけません。村の中の年上の女の人たちがテントの中で行います。私はこの儀式を行った日からずっと痛みとともに生きてきました。”

 

この時私は女性器切除がどのようなものなのか自身で見たことはなく、文献を読んだことがあるだけでした。

 

デビさんは内診を行うことに同意してくれました。実際に骨盤底のあたりを見て触診することで、女性器切除によって筋肉やTissueの状態がどうなっているのか、その手術によってどのような影響があるのかが分かると思いました。

 

私は本当に驚きました。

尿管を除いて性器の開口部は縫って閉じられていました。クリトリスも切除されていました。普段行う触診を痛みが伴うため行うことはできず性器のあたりのtissueの状態をは観察と外側からの観察で把握することしかできませんでした。

 

彼女との出会いで私はFemale Circumcision, Female genital mutilation の資料、文献を読みあさりました。歴史や現在での取り組みを学ぶ中で、文化や宗教にかかわった伝統的なこの儀式は今でもたくさんの女性が経験しているものだと知りました。

 

いうまでもなく、この 女性器切除による骨盤底への悪影響は多大です。傷が固くなって、皮膚や筋肉が動かなくなっていました。傷を少し触っただけで神経に触りショックのような痛みがあるようでした。排尿や排便が困難であろうこともあきらかでした。便を出すときに動く筋肉が硬直していました。この方はまだ出産の経験はありませんでしたが、分娩時に会陰切開が必要になるのとそれに伴う痛みも明白でした。

 

ありえない。と思う。でもこれはアフリカやアジアの一部の国々では伝統的な儀式。たくさんの経験者が今立ち上がっています。

たとえこの儀式に伝統と歴史があろうとも、体に、心に、将来の子供たちに傷をつけるような行いは絶対根絶するべきだと思います。