壁掛けトイレと階段

お風呂にはいれるようになったアン。やっと退院できるねと言って喜んだのもつかの間でした。おかーさんがこのままの状態ではアンをお家でお世話できないと言い、退院に反対する事態になりました。

 

ここまでで約2.5か月ほどの入院生活になっています。病院側としては抗生物質投与も終わり、治療が終わった患者さんをずっと入院させておくわけにはいきませんでした。病室代、食費、看護やリハビリにかかる料金は長く入院すればするほど増えるばかりだからです。私が働く病院ではその時は”バンドル請求”となっていて、診断内容によって保険会社や政府からの支払いが決まります。例えば”軽度の感染症ならOOドル”とか”腰の置換手術ならOOOドル”とかです。なので患者さんを長く入院させればさせるほど病院側にお金がかかり。。。病院としての経済的な面で言えば患者さんが早く退院してくれればくれるほどお金の節約になります。しがないお話になってしまってすみません悲しいでもそれが病院の本音です。

 

なのでアンの状況はかなりの経済的圧迫なのです。かといって家でお世話できないと言っている家族のもとへ退院してもらうことはできません。実はもう一つの政府からの条例で、退院してから30日以内に同じような理由で入院した場合治療費の払い戻しはなしというとても厳しいものがあり、再入院になるような退院は病院にとっても避けたいものなのです。アンの退院に向けての協議会なるものが編成されました。私も作業療法士として、アンの治療に一番身近に接しているものとして参加することになりました。

 

アンのお母さんのお願いとしてはアンが 1:歩けること、2:階段を登れること、3:安全にトイレに行けることでした。

アンはこの時長期入院で体力が落ち、一日一度ベッドから起きて立ち上がり車いすで移動するというルーティンで歩くことが困難でした。トイレもベッドの横の簡易トイレを使用するか、ベッドパンというベッドで用を足すという習慣になっていました。アンの退院協議会の結果アンの体力強化、歩く練習、トイレに歩いていく練習、そして12ステップある階段を休みながらでも上ることを目標として毎日のリハビリが始まりました。

 

③に続く