ここ数日の日経平均株価の妙な上昇は、バークシャー・ハサウェイが最近になって商社5銘柄の保有比率引き上げをしていたため、どうやらその情報を事前に掴んだ者による先物主導の買いが大量に入っていたことが主因のようだ。

しかし、伊藤忠商事以外は既に10%近くまで保有比率を引き上げてしまっているため、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅に関しては今後も買い増ししていくことはほとんどないことになる。

(・追記 ロイターの記事によれば「10%の持ち株比率上限を『適度に緩和』することで合意した」とあり、その上限をいくらか超えることもあり得るような内容になっている。2025/03/18)

https://jp.reuters.com/markets/japan/3WSH4EIB7VM7ZF5LEAWTD3VDLA-2025-03-17/

先物の裁定残を見ると、312日、13日に大量の買いが入っているが、14日、17日に日経225先物は安値から高値までの動きで見れば大幅高(陽線)となっているため、恐らく14日、17日も裁定買い残が大量に増えているのだろう。(しかし、13日は大量の買いが入っているにもかかわらず長い上髭になっている)

バフェットは32日にCBSニュースでトランプ政権の関税について厳しく批判しているが、バフェットは投資家であるため、財政問題よりも株価の方を重視しているらしい。

バフェットはアメリカ経済について質問された時「それはいま世界で最も興味深いトピックだが、私はその件については話さないし、話せない。本当に無理なのだ」 と発言しており、実体経済については、やはり投資家として都合の悪い話だという認識を持っているのだろう。

 

 

【参考】2025317日の記事

米保険・投資会社のバークシャー・ハサウェイは日本の商社5銘柄の出資比率を引き上げた。17日に提出した変更報告書で明らかになった。

 同社の報告書によると、三菱商事8.31%から9.67%、三井物産8.09%から9.82%、伊藤忠商事7.47%から8.53%、住友商事8.23%から9.29%、丸紅8.3%から9.3%に引き上げられた。2023年6月以来の買い増しとなる。

  バークシャーは当初、5社の株式保有率を10%未満で維持することで合意。その後上限が近づく中、2月に投資家に向けた年次書簡でバフェット氏が、5社の同意を得て「非常に長い期間」をかけて「幾分か」保有率を増やす意向を明らかにしていた。

  三菱商の広報担当者は、中長期的な成長に対する期待からバークシャーが保有比率の引き上げを判断したと理解していると説明。企業価値向上に加え、開示の充実やステークホルダーとの対話を一層強化し、中長期的な株価形成に向けた取組みを継続していく方針に変わりはないとした。

  丸紅は、追加投資について大変光栄なことと受け止めているとした。バークシャーをはじめ全ての株主の期待に応えられるよう、引き続き企業価値向上に向けて経営努力を重ねていくと述べた。伊藤忠は今後も協業が出来る場合には積極的に対応していくとコメントした。

  市場ではバークシャーの商社株保有引き上げに対して関心が高まっていたが、今回の引き上げでは10%を超えなかった。

  大和証券の坪井裕豪チーフストラテジストは、バークシャーによる引き上げは織り込まれていたが、明日の取引ではプラスで評価され、「この先を見据えた期待値」も株価に反映されるだろうと述べた。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-03-17/ST9959DWLU6800

 

【参考】202534日 の記事

伝説的な投資家ウォーレン・バフェットが、カナダやメキシコなど外国からの輸入品に関税を課すドナルド・トランプ大統領の政策について、アメリカの消費者に悲惨な影響を及ぼすおそれがあると警告している。

「オマハの賢人」「株の神様」とも呼ばれるバフェットは32日、CBSニュースのノラ・オドネルに対して、関税は「戦争行為」に等しく、結果的には「消費増税」になると述べた。

バフェットは普段、政治やホワイトハウスの政策についてのコメントを避けており、このように語ることは珍しい。

トランプは2024年の大統領選において、中核をなす政策の1つとして関税を位置づけ、生活費の高騰や住宅の入手困難など、アメリカが抱える多くの問題は関税を通じて解決できると約束した。

しかし多くの専門家は、関税はアメリカ経済に多少のメリットをもたらすものの、最終的には価格の上昇という形で、消費者がコストを担わされるおそれがあると懸念を示している。

トランプ政権はこれまでこうした警告を顧みずにきたが、バフェットの発言は、こうした懸念をさらに強めるものになりそうだ。

トランプは227日、カナダとメキシコからの輸入品に対する25%の関税措置を34日に発動すると述べた。これらの関税は、両国が国境警備の取り組みを強化すると確約したことで、適用開始が1カ月間延期されていた。

すでに10%の追加関税の対象になっている中国には、さらに10%の関税が上乗せされる、とトランプは語った。中国政府は報復を行うと明言している。

実際、210日には石炭および液化天然ガス(LNG)製品など一部のアメリカ製品に対して報復関税を発動している。

カナダも、ジャスティン・トルドー首相も直ちに報復を実行するとしている。報復関税の応酬は、両国間の貿易戦争を引き起こしかねない。そしてその痛みを感じるのは一般のアメリカ国民になるおそれがあると、バフェットは警告した。

「関税に関してわれわれには多くの経験がある。程度の差こそあれ、これは戦争行為だ」と、94歳の投資家バフェットは語った。「時間の経過とともに、関税は消費増税に等しくなる。つまり、関税を負担するのは消費者だ」

「次はどうなるだろうか? 経済においては、この問いかけを常に投げかける必要がある。常に『すると、次はどうなるだろうか?』と」

めったに政治に関与しないバフェットだが、トランプの関税政策について声を上げたのは今回が初めてではない。2018年と2019年には、第1期トランプ政権の政策が引き起こした貿易摩擦に関して長文の論考を執筆し、アメリカ、そして世界経済にマイナスの影響をもたらすおそれがあると警告した。

アメリカ経済の現状について質問されると、バフェットはなぜか口をつぐんだ。「それはいま世界で最も興味深いトピックだが、私はその件については話さないし、話せない。本当に無理なのだ」
(翻訳:ガリレオ)

https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2025/03/540092.php

 

【参考】2025317日の記事

[東京 17日 ロイター] - 米著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが、日本の大手商社5社の持ち株比率を引き上げたことが分かった。関東財務局に17日、変更報告書を提出した。三菱商事(8058.T), opens new tab株の保有比率は8.31%から9.67%に上昇した。 伊藤忠商事(8001.T), opens new tab株の保有比率は7.47%から8.53%に、三井物産(8031.T), opens new tab株は8.09%から9.82%に、丸紅(8002.T), opens new tab株は8.30%から9.30%に、住友商事(8053.T), opens new tabは8.23%ら9.29%にそれぞれ引き上げた。財務局への報告義務発生日はいずれも3月10日。 バフェット氏は今年2月の「株主への手紙」で、現金を保有するよりも米国株を中心とした株式への投資が望ましいとの考えを示し、日本の5大商社への投資を拡大する可能性に言及。5大商社と、10%の持ち株比率上限を「適度に緩和」することで合意したと明らかにしていた。

https://jp.reuters.com/markets/japan/3WSH4EIB7VM7ZF5LEAWTD3VDLA-2025-03-17/

 

・日経225先物

日経先物ラージのチャート

 

https://karauri.net/saitei/

 

・裁定残(差引・ネットポジション)のチャート(2025年3月17日)

https://stock-marketdata.com/saiteitorihiki.html

 

 

 

 

 

※kabutanによれば、3月14日は前日のNYダウが大幅安ではあったが、円安と値ごろ感から反発とのことだった。しかし、一部のヘッジファンドがアジアから撤退する動きが出ており、ロングもショートも解消している。これはあまりないことらしい。

 

【参考】20250314 の記事
 1.日経平均は263円高と反発、朝安後は後場にかけ値を上げる
 2.前日の米国はNYダウが537ドル安と昨年9月以来の安値圏に
 3.日経平均は円安に加え値頃感の買いで37000円台を回復
 4.ディスコやアドテスト、レーザーテクなど半導体関連株が高い
 5.リクルートやセブン&アイ、アシックスは売り先行の展開に

https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202503140956

 

【参考】2025313日の記事

ゴールドマン・サックス・グループによれば、ヘッジファンドは日本を含むアジアの市場で強気・弱気双方のポジションを10日に解消した。先週末7日の欧米市場でも、同じような動きが見られた。

  同社は12日の顧客向けリポートで、資産の種類を特定せずに、アジアでのヘッジファンドのポジション縮小規模が10日、過去4年間で最大規模に上ったと指摘。

  このうち約75%は、日本をはじめとする先進国市場での減少分。ヘッジファンドは日本でショートカバー(買い戻し)やロング(買い)ポジション解消を急いだという。

  アジアの新興国市場での縮小は中国主導で、ヘッジファンドが強気ポジションを手じまいしたと説明している。

  こうしたアジアでの動きに先立ち、ゴールドマンのヘッジファンド顧客が世界で強気および弱気ポジションを解消する動きは、2日間の減り方で見ると4年ぶりの大きな規模になっていた。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-03-13/ST1SHLT0G1KW00

 

・3月12日の株式市場

どうでもいいことだが、最近は日本株、韓国株、台湾株、ビットコイン、ゴールド辺りが連動しているような値動きになっている。

https://sekai-kabuka.com/

 

・3月14日の株式市場

どうでもいいことだが、やはり日経平均株価はビットコインと連動しているような動き方をしている。動き方だけでなく、特定の水準でまとまった買いが入る点も一致している。

https://sekai-kabuka.com/

 

・3月17日の株式市場

https://sekai-kabuka.com/

 

 

 

 

 

※先物取引について

 

【参考】

裁定買い残 (さいていかいざん)

裁定買い残とは、「先物売り、現物買い」のポジションを組んで、まだ裁定取引(アービトラージ)を解消していない現物買いの残高のことです。一般的な株式の裁定取引では、株価指数先物と現物株はセットで取引され、一方が買いであればもう片方は必ず売りになります。そして、「先物売り」で「現物買い」の残高を「裁定買い残」といいます。反対に、「先物買い」で「現物売り」の残高を「裁定売り残」といいます。また、裁定買い残、裁定売り残を合わせて、「裁定残」と呼びます。

ワンポイント

裁定買い残は、裁定取引が解消されるときに必ず売却される現物株になりますので、裁定買い残が増えていくと、それは将来の売り圧力が高まっていると判断することができます。

https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/sa/J0334.html

 

【参考】

外国人が先物を買うと、日経平均が上昇し、裁定買い残高が増加します。外国人が先物を売ると、日経平均が下落し、裁定買い残高が減少します。

日経平均は、裁定買い残が増加している間、つまり外国人が先物を買っている間は上昇します。ところが、裁定残高が減少に転じる、つまり外国人が先物売りに転じると、下落に転じます。

https://media.rakuten-sec.net/articles/-/10056

 

【参考】2020年10月6日の記事

日本の株式市場を舞台に少ない元手で大きな利益を上げたい時に、日経平均や東証株価指数(TOPIX)の先物を売買する。これが海外投資家が先物を選好する構図だ。その結果、海外投資家の取引が日経平均先物の取引全体の6~8割を常に占めている。

もっとも、株価指数に連動する先物を売買するのは、投機的な運用を行う投資家ばかりではない。全体相場の下落で保有株の時価が大きく減る事態に備えて、先物を売り建てる投資家もいる。大口顧客との市場外での取引のために株を多く抱える証券会社や、取引先の株を持つ金融機関などだ。

保有株の時価と同規模の先物を売り建てれば、保有株の価格が下がったときには先物で利益が生じ、反対に保有株の価格が上がったときには先物で損失が出る。こうした取引によって、トータルでの資産の増減幅を少なくする。

ところで、先物は指数を基に算出した価格で清算されるが、株の現物を売買しているわけではない。にもかかわらず、先物が現物株の値動きに影響を及ぼすのはなぜだろうか。それは先物と現物株の双方を対象にした「裁定取引」と呼ばれる売買が行われるからである。

裁定取引は、先物の次のような仕組みに着目した取引だ。先物の価格は売買が膨らむと大きく動き、指数と乖離(かいり)する。しかし、取引の終了日には指数の始値を基に算出した価格で清算されるので、日経平均と先物の価格差はほぼなくなる。

そこで、日経平均と先物を比較して、先物の方が高ければ、先物を売り建て、日経平均の構成銘柄を全て買う。日経平均の方が高い場合は、日経平均の構成銘柄を全て空売りして、先物を買い建てる。これが裁定取引の具体的な内容だ。この取引では、先物の清算価格がいくらになっても、取引を始めた時点の差額が利益として手に入る。

例えば日経平均先物(12月物)の価格は、10月2日の取引開始時点では2万3320円。日経平均の始値は2万3294円で、先物の方が26円高かった。この時点で先物売り、現物買いの裁定取引を仕掛けたとしよう。下の表は3通りの試算結果だ。いずれもトータルの利益は2万6000円になっている。

この試算における取引の規模は、先物の売り建て2332万円と日経平均構成銘柄の買い持ち2329万4000円を足し合わせた4661万4000円。利益は2万6000円なので、利益率は2万6000円÷4661万4000円×100=約0.056%。確実に利益は出るものの、利幅は非常に小さい。

「手数料などの取引コストがかかれば消し飛んでしまう」(楽天証券経済研究所の窪田真之チーフ・ストラテジスト)。その上、日経平均の全構成銘柄の売買にも巨額の資金が必要になる。そのため、大半の投資家はこの取引には手が出ない。裁定取引を主に手掛けているのは、取引コストをかけずに巨額の資金を運用できる大手証券会社が中心だ。

「システムによる売買で裁定取引のスピードも速くなっているので、先物と指数との乖離がすぐに縮まる。そのため、裁定取引の収益性は以前に比べてかなり小さくなっている」。大手証券会社の運用担当者はこう話す。

このように、海外投機筋などによる先物の売買は、証券会社が主に手掛ける裁定取引を介して間接的に日本の現物株の価格を動かしている。「現物株の空売りを禁止していて、裁定取引ができない国の株価指数先物は、指数と大きく乖離したままという状況が起きる。裁定取引によって指数と先物が大きく乖離せずに連動するのは、株式市場が効率的である証拠」(大手証券会社の運用担当者)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64588280T01C20A0000000/