基本的に、海外投資家からすれば投資先の国で通貨安が進むことはマイナスになるが、相手国の通貨安リスクをヘッジするために外為先渡し取引で相手国通貨を売り、通貨安による為替差損を相殺することが多い。

日本の場合、長年にわたりに円安が続いてきたことで、海外投資家はヘッジありで日本株などに投資することが多かったようだが、それほどまでに日本企業に魅力があるために日本株を買っていたのではなく、為替ヘッジプレミアムと呼ばれる金利収入(キャリー収益)が得られるために日本に投資していた面が大きい。

これは欧米が高金利である一方、日本は超低金利政策を続けてきたため、欧米の投資家は日本に投資することで楽に金利収入を得ることができるという仕組みになっている。

しかし、それは極端な為替変動が起きる国やハイパーインフレになるような国では有効な投資ではないようだ。

無力の中小企業を苦しめ、借金だらけの大企業を助けている…異常な円安を日銀が放置する「隠れた目的」 - President

 

【参考】2024年9月10日の記事

7月までの円安は、海外勢が日本株に投資する際の悩ましい問題の一つだった。円安は日本の輸出セクター企業の業績を押し上げる半面、ドル建てベースの日本株の資産価値は目減りするためだ。この悩みを和らげる一つの手段が為替ヘッジ付きの投資で、一般的に円を外為先渡し取引(フォワード)で売却し、円安による影響を相殺するケースが多い。

ドル建て投資家の場合、この為替ヘッジ取引で近年は年率5-6%のプレミアムを稼ぐことが可能だったため、キャリー収益面の魅力も大きかった。

海外勢の日本株投資、円安警戒薄れ為替ヘッジ外し-戦略推奨も相次ぐ - Bloomberg

 

 

これまでの日本の株式市場は株高になると円安になり、それによって物価高になっていた面がある。

株が上がることは円安を進行させることになるため、ほとんどの国民にとって好ましくないことだったが、政府(自民党)は貯蓄から投資への流れを加速させると言っており、それを続けるのであれば今後もインフレ圧力が高まることになる。

(日本の場合は株高と通貨安の相関関係が強く、日経平均株価とドル円のチャートは長期で見ると連動していることは明らか。極端に言えばそれはアルゼンチンやトルコと似ている。しかし、日本では本格的にキャピタルフライトが始まっているわけではない。)

 

【参考】2023519日の記事

海外投資家が日本株への興味を強めた背景は、2005─07年や2013年当時とは異なるが、日本株の買い方としては共通点があると考えられる。それは、今回も為替リスクをヘッジして日本株に投資しているのではないかと考えられる点である。

4月以降、円は主要通貨の中で最弱通貨となっており、海外投資家が円を買って日本株に投資しているとは考えにくい。5兆円規模の買い越しが続いた2005年10月─07年10月も、2013年4月も円は主要通貨の中で最弱通貨だった。

日本と他国の金利差を考えると、為替リスクをヘッジすることによってキャリー収益も入るため、こうした投資は理に適っている。

<為替ヘッジの円売りと日本株買い>

海外投資家が為替リスクをヘッジして多額の日本株投資を行うと、日本株とドル/円相場の相関関係が強くなると考えられる。

実際、2005年以前は日経平均株価とドル/円相場の間に安定した相関関係はなかったが、海外投資家の日本株買いが急増した2005年以降は、両者の相関関係(株高=円安、株安=円高)が比較的高く、安定するようになった。

このように相関が強くなるメカニズムは、海外投資家が為替リスクをヘッジして日本株投資を行った場合、日本株が上昇するとヘッジを積み増すために円を売る必要が生じ、日本株が下落するとヘッジを一部巻き戻すために円を買い戻す必要があるためと考えられる。

従って、「株高=円安」、「株安=円高」の相関関係が強くなるためには、海外投資家による為替ヘッジ付きの日本株投資の残高が一定程度の規模に膨らむ必要がある。海外投資家は2005─06年と2013─14年の2年間でそれぞれ約20兆円の日本株を買い越した。

今回同様、海外投資家の日本株買いが進み、株高=円安の相関が強まった2005─06年と2013─14年は、過去20年間の中でも円のファンダメンタルズが悪化し、大きく円安が進んだ時期だった。

前者は日本と他の主要国との短期金利差の拡大、後者は日本の貿易赤字の拡大だった。しかし、今回は短期金利差拡大と貿易赤字拡大が同時発生しており、さらに短期金利差も貿易赤字も当時より大きい。つまり円のファンダメンタルズは2005─06年や2013─14年当時よりも今の方がかなり弱くなっている。

<既存ポートにヘッジ外しの可能性>

本来、株価上昇=円安の相関関係は、前述の通り、株価が上昇することによって、海外投資家が円売りヘッジを積み増すことによって発生すると考えられるが、相関関係が強くなり始めると「円安が日本企業の収益にプラスなるため、株価が上昇する」とのロジックから、円安への動きを見て日本株を買うという動きも見られ始めるようになる。

つまり、いったんこうした動きが強まると、歴史的なファンダメンタルズ悪化に直面している円の下落が株価上昇につながるメカニズムも作られ始める。

また、2019年─20年の日本と他国の金利差縮小から、海外投資家が既に保有している日本株ポートフォリオのヘッジを外していた可能性がある。キャリー収益も少なくなり「円が安全通貨として動くのであれば、円のリスクを抱えたまま日本株に投資をするのは理に適う」との考えが広まっていた可能性がある。

そうだとすると、海外投資家が既に保有している日本株ポートフォリオの円のリスクをヘッジするために円を売り始めるかもしれない。こうした見方が正しいとすると、足元でも円売り圧力が強まり始め、日経平均株価とドル/円相場が相互に作用しながら上昇を続けるという流れが、すぐに始まるかもしれない。

コラム:作動始めた海外勢の円売り・日本株買い、加速する構図も=佐々木融氏 - Reuters

 

【参考】2024年7月3日の記事

・2024年上半期の名目実効為替相場を比較すると、日本円の下落率は弱い通貨として知られるトルコリラやアルゼンチンペソを下回った。

・2022年以降の下落率で見れば、トルコリラやアルゼンチンペソを上回ったが、それでも-35.5%とG7の中で最弱通貨だということに変わりはない。

・物価上昇率を加味した実質実効為替相場で見れば、円安の度合いはさらに高まる。実質ベースの通貨安を考えれば、インフレによる調整が不可避だ。

世界最弱通貨となった「堕ちた円」、トルコやアルゼンチンを下回る2024上半期の驚きのパフォーマンス - JBPress

 

【参考】2024年3月15日の記事 

円安・ドル高に終わりが見えません。円安は、日経平均株価が史上最高値を更新した理由の一つだといわれていますが、その分析は正しいとは言えません。直近では投資家のポジション調整に伴う円高がやや進みましたが、それでもこの水準の円安が続けば日本経済に深刻な悪影響をもたらすでしょうし、日本株の相場好調に水を差すことにもなりかねません。

そもそも、なぜここまで円安が進んでいるかを整理しておきましょう。背景には構造的な要因が1つと、需給面での要因が3つあると考えられます。

構造的な要因とは、今の日本が輸入に依存する内需型の経済になっていることです。従来のイメージと異なり、日本の輸出依存度は世界の中でも低く、15%程度です。一方で輸入依存度は高く、エネルギーの94%、食料の63%を輸入に頼っています。

それだけではありません。日本の各分野で今、急ピッチでデジタル化が進んでおり、AI(人工知能)やクラウドサービスなどの利用が急増しました。これらを手掛けるのは全て海外企業であるため、海外に流出する利用料が膨れ上がり、円安圧力となっています。

一方でインバウンド(訪日外国人)消費の増加は円高圧力であり、その規模は年間5兆円に達していますが、輸入の増加には及びません。日本は構造的に貿易赤字が定着していく可能性があります。

この構造的要因に、3つの需給的な要因が上乗せされます。まずは日米の金利差を背景に、機関投資家が円を調達して高利回りのドル資産を買うキャリートレードが増えていること。2つ目は、新しい少額投資非課税制度(NISA)の追い風もあって、日本人による海外投資が増えていること。

3つ目の需給要因は、日本株を買っている海外機関投資家が、円安による為替差損を避ける(ヘッジする)ために円を売ることです。ちまたでは「海外勢は円安で日本株が割安だから買っている」とする分析が多いのですが、実際の行動は順番が逆です。「株を買うからこそ、円を売っている」なのです。

政府や日銀が本気で通貨防衛の姿勢を見せれば、海外勢もこの水準から円売りヘッジをせず、円安トレンドは止められるでしょう。しかしその姿勢は見えません。

顕在化した「円安不況」のリスクと個人投資家の備え方 - 日本経済新聞

 

【参考】

「為替ヘッジをしても短期的で急激な為替相場の変動には対応できない場合もある」

https://www.dlri.co.jp/report/macro/351060.html

 

【参考】

「主なリスクヘッジの期間は3か月としている企業が多く、この為替ヘッジ期間を超えた為替変動の収益への影響を回避できるわけではない」

https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202206/202206k.pdf

 

 

 

以下の動画では2年前にあるヘッジファンドが次のようなことを言っていた。

「もし日米の金利差が4%か5%になれば日本人全員が円を売ってドルを買うでしょう。そのためドルは上昇し続け円は下落し続けます。ここまで有利な取引は滅多にありません。人生でも滅多にありません。ゼロ金利政策をこれ以上維持すれば日本のインフレは手に負えなくなると思います。インフレが手に負えなくなるとゼロ金利政策もできなくなります。日銀が長期金利を抑えていると問題は日本が一晩でハイパーインフレになる可能性があることです。日本人はこの政策によって貧しくなるでしょう。残念ながらそれを予想しています。」(23:32~24:43)

https://youtu.be/SR6D44e19To?si=clUIMD6PxYnNlSdr&t=1412

 

この動画のコメント欄を見てみると、当時はこのヘッジファンドをバカにしているものが多かったが、最近のコメントは、

 

「この悪徳ヘッジファンドの言った通りになっている さっさと利上げしろ」

 

「140円で円安とか騒いでいたんですね。もう160円ですよ。米政策金利が3%で高いって。今5.5%ですよ。 ヘッジファンドのおっさん、さすがですなあ。」

 

「ヘッジファンドが正しかったな」

 

といったものになってしまっている。

現時点では日銀は政策金利を0.25%に引き上げ、FRBは5.00%に引き下げたが、日米金利差がいくらか縮小したとはいえ、まだ金利差は4.75%もあり、円キャリートレードの魅力はまだ続いているのだろう。

また、動画の中で元・日銀理事が「この人の発言で一番怖い部分というのが、僕は近い将来には考えていませんけれども、日本が一番恐れるべきなのが、日本人が円を売る時というのが一番怖い。(そうなると何が起きますか?と聞かれて) 本当に激しい円安になり、インフレになります。」と答えており、やはり日米金利差が今のようにかなり開いた状態にしておくと、キャピタルフライトなどを誘発しやすいのだろう。

新NISAが始まる前のNISAの時点でも、日本人は日本株を買っているのではなくアメリカの株を買っていると動画の中で言われているが、これもそれなりに日本人が円を売っていることになり、そういう方向になってきている雰囲気がある。

 

「ただ、ちょっとだけ気になっているんですよ。例えば、今、NISAとかって日本株買う人すごい少ないんですよ。で、要するに米株買っているんですよね。そういうような動きがじわっと広がって、どこかで本当にキャピタルフライトが起こったら本当に怖いなって。」

https://youtu.be/SR6D44e19To?si=4PPJt1ef05s4JBpe&t=1740

 

最近、日本ではドル円が約2年で1ドル115円から161円(下落率28.5%)まで暴落し、日経平均株価が約1年で26,000円から42,000円(上昇率61.5%)ぐらいまで暴騰するということが起きたが、これはどう考えても異常なことであり、こんなことは普通の経済状態の国であれば短期間で起きるようなことではないはず。

 

「アベノミクスはハイパー・インフレーションを招くか?」という記事では、

「貨幣不信による貨幣減価が、まず外国為替市場における自国貨幣の売り行動から始まることを、統計的に証明したのが、パリ大学のA.アフタリヨン氏の1927年の実証研究と、コロンビア大学のJ.H.ロージャーズ氏の1929年の実証研究であった。実際にドイツでは、ドイツ人の多くがマルクを売ってドルを買うマルク逃避に走り、ドル資産を抱えたので、自国貨幣の信頼が低下してマルク安(ドル高)になっても、為替差益が出て大喜びしたのであった。日本人の多くも、円不信を感じるようになり、投機的な円売り(外貨買い)に走ることにでもなれば、恐ろしい事態になるかもしれない。」

とあり、今の日本でもこれと似たような雰囲気があるような気がする。

 

 

 

日本と他国の金利差が縮小していく場合は為替ヘッジを外し、為替差損のリスクを許容して日本株に投資することになる。

もし、金利差が縮小していく中で円安が進行してしまうとヘッジを外した状態で日本株を買っていた海外投資家は為替差損が生じるため、日本株を売って撤退する動きが出やすくなるのだろう。

海外勢の日本株投資、円安警戒薄れ為替ヘッジ外し-戦略推奨も相次ぐ - Bloomberg

 

日銀が利上げし、FRBが利下げしていくのであれば海外投資家は為替ヘッジによる金利収入が少なくなるため、このまま円安が急激に進行していくことで海外投資家が日本株に投資する魅力はなくなる。(投資先の国で通貨高になるなら為替差益になる)

最近では海外投資家は売り越していることが多い。

https://s.kabutan.jp/news/n202410240851/

 

今後、世界経済はリセッションに陥る可能性が高まってきているため、欧米は利下げし続けることになるはずだが、日本の場合はかなり遅れて僅かな利上げを開始し、しかも「時間的余裕」があると繰り返し発言していることから、日銀の利上げについては不確実性が高い。(日銀の場合はどういうつもりでいるのかがよく分からないが、恐らくアメリカの大統領選を控えているため、今はドル安になるような金融政策をやるなとバイデン政権から言われているのだろう。)

また、近頃、アメリカでは「値下げトレンド」になってきており、生活必需品やガソリン価格などがかなり下がってきているらしい。

そのため、どうやらFRBがインフレ再燃を懸念して利下げできないということにはならないようだ。

【年末値下げトレンドで売り上げ上昇!】米最大手小売店ターゲットにウォルマート - youtube

 

海外投資家による日本株買いが増えれば円安・株高の相関関係が強くなり、海外投資家による日本株買いが減れば円安になっても株高になりにくいようだが、日経平均株価に関しては、1ドル100円とか120円ぐらいの水準まで円高が進めば業績を大幅下方修正することになるため、円高で株高になることは考えにくい。

円高で業績が改善するセクターは株高になりやすいが、一般的に株高=日経平均株価の上昇だと思われてしまっているため、ごく一部の企業のためにそれ以外の全てが犠牲になるような構図になっている。

 

日本から海外に投資する場合は金利差が開いている時に為替ヘッジをするとヘッジコストになり、金利差で損をする。

https://www.nomura-am.co.jp/sodateru/stepup/foreign-investment/foreign-investment04.html

日米金利差が開いていてドル高になっている時に日本からアメリカに投資するのであれば、ヘッジなどせずにそのままアメリカの株や債券を買えばヘッジコストも掛からないし、為替差益も得られることになる。

そのため、アメリカは自国への投資が続くようにドル高を維持したいのだろう。

もし日米金利差があまり縮小しないままこれからドル安になっていくのであれば、アメリカに投資する際にヘッジコストが掛かることになり、アメリカへの投資は減っていくのだろう。(通常であればそのような動きはないが、アメリカで何らかの重大な問題が発生すればもしかしたら起きうることなのかもしれない)

日米金利差が大幅に縮小していく中でドル安になっていくのであれば、あまりヘッジコストは掛からないため、ドル安でもアメリカへの投資はそれほど減らないのかもしれない。

 

(海外投資家による日本株への投資は、アメリカ株のように純粋な投資目的によるものではなく、超低金利政策によって金利差を拡大させ、海外投資家にキャリー収益が入るようにすることで日本株を買わせていた面が強い。これは本当の意味での投資とは言えないはず。)

 

 

 

日本株の場合は海外投資家の比率が高いのだから、海外投資家が大幅に買い越している時は株高になると為替ヘッジの追加で円安になっていく。

NHKは日銀の金融政策について「利上げ慎重に判断する考え」などと報じているが、日銀が利上げをしないのであれば円高方向に動くことはもうないのかもしれない。

一部では現状を「円安ドル高のトレンドに入ったと受け止めるべき状況」と指摘している。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241025/k10014618691000.html

 

【参考】20241024日の記事

24日の東京外国為替市場は円相場が1ドル=152円台で推移し、前日の外国為替市場では一時同153円台となった。米国経済の足元の堅調さを反映して長期金利が上昇し、日米金利差が意識されてドル買い・円売りの動きにつながった。

米10年国債利回りは23日(現地時間)、4・21%前後から4・26%前後に上昇し、ドルの全面高となった。円相場は21日の1ドル=151円から一気に同153円台に下落しており、「最近の米金利上昇基調にやや出遅れていたドル円がキャッチアップしている」(市場関係者)。

国内の金融当局から円安けん制の口先介入が行われていないことも円安の進行に寄与したとみられる。ドル円は200日移動平均線の151・4円を上抜けした。野村証券の神谷和男ストラテジストは「円安ドル高のトレンドに入ったと受け止めるべき状況」と指摘する。

円安加速 一時153円台 米長期金利上昇受け - 日刊工業新聞電子版

 

現時点ではまだ日銀の利上げについてどうなるのかは未知数だが、今月の23日にワシントンで日銀総裁が

「これから先の適切な利上げの規模を事前に決めるのは非常に難しい」

「現在の日銀の金融政策については『かなり緩和的だ』」

日銀・植田総裁「利上げの規模を事前に決めるのは難しい」ワシントンで講演 円安には言及せず - TBS CROSS DIG

という発言をしており、利上げに慎重というよりは、その規模がどうなるのかを考えているようなニュアンスがある。

また、

「ブルームバーグが1722日にエコノミスト53人を対象に実施した調査によると、日銀が現在0.25%程度の政策金利を引き上げる時期に関して、53%が12月を予想した。次いで来年1月が32%となり、両会合で計85%を占めた。」

日銀追加利上げは12月予想がなお半数超、今月は現状維持-サーベイ - Bloomberg

という記事があり、遅くとも来年1月までに日本の政策金利は0.5%に達しているだろうと予想されているようだ。

日銀利上げ「年内なし」56% QUICK調査「金利差、徐々に縮小」 - 日本経済新聞

もし日銀がこの予想を裏切るような金融政策を決定すれば、このまま1ドル180円~200円ぐらいまで円安が進行するのかもしれない。

 

 

 

 

 

以下の日経の記事にある「日本株を買うとともに為替リスクをヘッジする」というのは「将来のある時点に決まったレートで円を受け渡しドルを受け取る。受け渡しまでの期間、実質的には低金利の円を借りて高金利のドルを貸すことになり、金利差が収入になる」という仕組みを利用した円キャリートレードの一種なのだろう。

これまでは為替ヘッジ付きで日本株を買い、その後で日本株が上昇すると為替ヘッジが足りなくなるため、日本株が上昇した分だけ新たに円売りの為替ヘッジをしていたが、今後は大なり小なり日米金利差が縮小していくことでそれが段々とやりづらくなっていく。

さらに、政治家や日銀の発言や、米長期金利上昇などによって不自然な形で円安進行も止まらなくなっているために、なおのことこれまでの日本株への投資は有効ではなくなり、この投資の流れは崩壊しつつあるようだ。

日米金利差が縮小していく中で円安が進行しているため、それは海外投資家にとって最悪の投資環境であり、これまでの投資の流れは続かない。

それはキャリー収益が減り、為替差益にもならないことになる。

(一部の利害関係者や一部の政治家はこの「投資の流れ」を止めてはいけないと思っているようだが、これは持続可能なやり方ではない。)

 

【参考】202377日の記事

海外投資家による日本株買いの隠れた要因として日米の金利差が注目を集める。日本株を買うとともに為替リスクをヘッジすると、金利差の収入だけで5%程度が見込める。配当利回りが約6%と高い日本たばこ産業(JT)の場合、実質11%もの利回りになる妙味がある。

米ドルで運用する投資家が日本株に投資する際、円安・ドル高が進めばドルでみたリターンは目減りする。そこで円売り・ドル買いの為替予約をして為替変動リスクをヘッジ(回避)する場合がある。

為替予約では、将来のある時点に決まったレートで円を受け渡しドルを受け取る。受け渡しまでの期間、実質的には低金利の円を借りて高金利のドルを貸すことになり、金利差が収入になる。「ヘッジプレミアム」といって日米の短期金利差などで決まり、一般に米金利が日本の金利より高いほどプレミアムは大きくなる。

日銀が金融緩和を継続する一方、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを進めたことで金利差が開き、プレミアムも拡大。ドルを持つ海外投資家は円の資産に投資してヘッジするだけで一定のリターンが確保できる計算だ。

また、為替ヘッジ付きで投資をしたあとに日本株が上昇すると、為替ヘッジが足りなくなる。この際に「円売り・ドル買い」の為替予約を追加すると、これが円安圧力になる。円安は日本の輸出関連株の追い風になり、日本株の上昇につながりやすい。こうして円安と株高が循環する構図も生んでいる。

海外投資家、日本株買いに隠れた妙味 Up&Down - 日本経済新聞

 

【参考】2023年6月12日の記事

33年ぶり高値で盛り上がる日本株への投資にも海外勢は為替ヘッジを利用しているようだ。財務省のデータでは4月と5月の2カ月間で計7兆7000億円あまりを買い越した。海外投資家が日本株を買ったとしても円安・ドル高が進めば、ドル建てでみると利益が目減りしてしまうため、為替ヘッジをすれば為替の面での損を避けられる。

ドルの保有者からみた円の調達コストが安いことも日本株投資を促す。シティグループ証券の高島修氏は6日付のリポートで、海外勢の日本株投資に関し「一部は円調達されていると考えられ、ドル資金を使った投資でも為替ヘッジ付きのものが相応にある」と分析する。

為替の影響を中立にする戦略を取っている海外勢は日本株が値上がりした分だけ新たに円売りの為替ヘッジを積み増す必要があり、株高・円安の同時進行につながっている。円資金の調達環境が魅力的なうちは、海外勢による日本市場の見直しも続きそうだ。

海外勢の日本投資はヘッジがお得? 安い円調達コスト、国債などへ流入後押し - MoneyWorld