日米10年債利回り差は縮小してきているが、ドル円はまだそれを十分に織り込んでいない。
また、実際にFRBが利下げを開始し、その幅がやや市場予想より大きい場合は利回り差はさらに縮小することになり、ドル円は短期的に見ても130円を下回る水準まで円高方向に動く可能性がある。
FRBの利下げ幅が市場予想通りだとしても、135円ぐらいにはなりそう。
【参考】2024年08月21日の記事
https://media.monex.co.jp/articles/-/25164
外貨預金の金利についても、実際にアメリカで利下げが始まってから下がっていくのだろうから、その時にいくらか預金の流出もあるのかもしれない。
(日本の預金金利も日銀が利上げを開始してから上がっている。)
今後、円高に動くことが予想されるが、円高になると外貨で運用している者に為替差損が生じるため、まだ円安であるうちに円転する動きが出る可能性もある。
https://www.bk.mufg.jp/tameru/gaika/column/001/index.html
【参考】2024年8月9日現在
https://www.aeonbank.co.jp/interest/foreign_deposit/
・追記 2024/08/29
アメリカが2年前に急激な利上げを行い、去年の7月まで利上げは続いたが、日本の大手銀行がドル建て定期預金の金利を大幅に引き上げたのはアメリカの利上げが終了してからだった。これからアメリカでは利下げが始まるが、それに伴って外貨預金の金利も下がっていくはず。しかしそのタイミングと幅がよく分からない。銀行が預金を預かるということは預金者から借金をしていることになり、これまではゼロに近い金利で借りていて、高金利通貨の国で運用をしていたが、今後は日本の利上げとアメリカの利下げによってそれが難しくなっていく。銀行の外貨預金というのも恐らく円キャリートレードの一種であり、日米金利差が縮小していくのであればその巻き戻しが起きるはず。三井住友銀行の例を見ると、去年のドル建て定期預金(1年)は5.3%だったが、今は4.1%に下がっているため、既にアメリカの利下げをある程度織り込んでいるのかもしれないが、今後も外貨預金の金利は下がっていくはず。(もしかしたら日本の利上げを反映しているだけなのかもしれない) 大手銀行が外貨預金の金利を上げる時は少し遅れてから一気に上げたが、下げる時は適宜少しずつ下げていくらしい。
(外貨預金の比率を見ると圧倒的に米ドルが多いのだから、アメリカの利下げが最も大きい影響を及ぼす)
【参考】2023年9月19日の記事
三井住友銀行は25日から米ドル建て定期預金の金利を現在の年0.01%から5.3%に引き上げる。引き上げは5年ぶりで、5%台のインターネット銀行と同等の水準にする。2022年3月から始まった米利上げに伴う市場金利の上昇を反映する。他の大手行も金利の引き上げで追随する可能性がある。
6カ月物、1年物の定期預金が対象。三井住友銀はグループのSMBC信託銀行と合算で現在約2兆円のドル建て預金残高を25年...
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB151790V10C23A9000000/
7/31に日銀が0.15%の利上げ(0.1→0.25)をした2日後と3日後(営業日)に30年債利回りは急低下している。
これは8/2と8/5に超長期債が多めに買われたということになるが、その日は株価が大幅下落した日であり、リスク回避で株を売って債券を買うという動きになっていたのかもしれない。
しかしその直後に株価の上昇と共に超長期債は売られている。
実際に日銀が利上げした31日にほんの少しだけ利回りが上昇しているが、既に5月ぐらいから利回りが2%を超えていたため、日銀の利上げをほぼ織り込んでいたらしい。この時の0.15%の利上げでは、30年債利回りの上昇はこれぐらいが限界らしい。
・日本国債30年利回り
https://finance.matsui.co.jp/bonds/jgbr_30/index
もう少し長い期間でチャートを見てみると、2%を超えてきたところで利回りが下がるということが2度あり、2%超であれば30年債が買われているらしいが、それほど多く買われているわけでもないのかもしれない。
https://finance.matsui.co.jp/bonds/jgbr_30/index
この国の金融政策が本当に正常化していくのかどうかは、「8.7内田会見」によって分からなくなってきているが、常識的に考えれば自らが発行する通貨の価値が下がり続けることを容認することは考えづらく、なるべく株価に影響を及ぼさない程度に様子を見ながら正常化を進めようとしているはずだが、日銀自身が大量に自国株式を保有している以上、ポジショントークにならざるを得ず、特に利上げについては慎重になっているらしい。
しかし、政策金利を引き上げて国債の長期金利を上げていかなければ日銀の国債買い入れ減額の中で民間(特に銀行と保険会社)に国債を買ってもらうことができないため、結局は利上げしていくしかないということになる。
預金取り扱い金融機関(銀行、信用金庫、信用協同組合、農林中央金庫など)には日銀保有の3割の国債購入余地があると言われており、財務省としては銀行を重視しているらしい。
(異次元緩和前の預金取り扱い金融機関の保有比率は発行額の39%だったが、今は9%にまで低下している)
(日銀が正常化を進めなければ円安が止まらなくなってしまうし、民間が国債を買ってくれなければ政府は予算を確保できなくなってしまうため、日銀は可能な限り利上げをしていくことが最も現実的なのだろう)
今の10年債や30年債利回りではまだ民間が積極的に買っていく状況にないため、やはり一部で言われているように、日銀は政策金利を1%ぐらいまで上げていくことになるのだろう。
アメリカの利下げと日本の利上げによって少なくともドル円は130~135円程度にはなるはずだが、市場や一部の専門家はまだそのぐらいの水準になるとは思っていないらしい。
ドル円はいずれ115円ぐらいになりそうだが、どうやらその水準は今のところ確率としてはかなり低く見られている。
(115円というのは2年前の水準であり、ドル円は約2年で114円→161円まで円安方向に動き、47円も円安になった)
日本は主に外貨で輸入しているため、円が大きく下落し続けると物価上昇も2%のインフレターゲットから大きく上振れてしまい、そういった面でも止まらない円安というのは容認できない。
・追記 2024/08/29
アメリカやロシアの中央銀行は金利を一気に引き上げて債券価格を暴落させ、その後、徐々に利下げをしていくことで債券価格が上昇していくというやり方をして国債を大量に買ってもらい、莫大な予算を確保するということをしていたらしい。それは一時的に国債を保有する者に巨額の含み損を抱えさせることになるが、新規に買う者にとっては底値で国債を買うことができて、しかも利回りも高いのだから、満期まで含み損を抱えるリスクなくいくらでも国債を買うことができる。日本の場合は緩やかに利上げしていくらしいが、その場合は国債を買いやすいとは言えないのだろう。実際に政策金利が1%程度まで引き上げられてから買った方がいいということになる。また、国債が買われやすくなると自国通貨の需要も高まり、通貨の暴落に歯止めをかける効果もあるらしい。
【参考】
ロシアの中央銀行は金利を一気に3.5%も上げました。この後金利を少しずつ下げていくことでロシア国債の値段が上がっていきます。その儲けを狙ってロシア国債を買ってくれる金融会社があるということです。国債を買ってくれたらルーブルの需要が高まるという為替操作のやり方をしています。
https://www.jfir.or.jp/cgi/m-bbs/index.php?no=5547
【参考】2024年8月14日の記事
「日本は輸入の8割が外貨建てなので投機による円安で輸入物価が上がる。それで国民の生活が脅かされるとしたら問題だ」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA11BKS0R10C24A7000000/
【参考】2024年6月12日の記事
ドル円レートが160円/ドルを超えるような円安が進んだ場合、企業が投入コストを販売価格に転嫁する傾向を強める結果、インフレ率が押し上げられる度合いが非線形的に高まる。だが、実体経済に強さが見られない中で日銀が短期金利を引き上げれば、賃金・物価の循環的な上昇の芽を摘みかねない。
この点、長期金利は短期金利に比べて為替レートへの影響が大きい一方、実体経済への影響は小さい。
日銀は国債買入ペースの柔軟化または買入額の減額によって長期金利を上昇させることで、景気への悪影響を抑えながら円安圧力を緩和することが可能となる。すなわち、インフレ率の上振れリスクに効率的に対応できるということだ。
いずれのシナリオにおいても国債保有残高は減少するとはいえ、そのペースは比較的緩やかであり、日銀は引き続き大量の国債を保有し続けることになる。このため、「国債買入縮小要因」による当面の長期金利の上昇幅はいずれのシナリオにおいても限定的だ。
他方、長期金利の先行きを考える上では、短期金利の動向にも注意を払う必要がある。当社のメインシナリオでは、日銀は24年 10-12月期に短期金利を0.25%に引き上げ、25年以降は年0.50%pt(年2回)のペースで追加利上げを行うと想定している(24年度末で0.25%、25年度末で0.75%、26年度末で1.25%)。緩やかなペースとはいえ、利上げが進むことで長期金利にかかる上昇圧力は徐々に強まる見込みだ。
当面の間は、短期金利の引き上げの影響の方が国債買入額の減額の影響よりも大きいとみられる。
仮に最終的な日銀の保有国債割合を10~30%とし、短期金利が景気に対して中立的な水準とみられる1.75%で維持されると、将来的に長期金利は「国債買入縮小要因」と「短期金利引き上げ要因」だけで2%台半ばから3%程度まで上昇する可能性がある。
https://www.dir.co.jp/report/research/economics/japan/20240612_024445.pdf
【参考】
長期金利とは、償還期間の長い債券や満期までの期間が長い金融資産や負債の金利。期間が1年以下が短期とされ、1年超が長期とされることが多い。残存期間が10年の国債を長期国債と呼び、その金利が日本では代表的な長期金利である。
【参考】2024年6月27日の記事
日銀の国債買い入れの減額に伴う国債の買い手としては、銀行の動向が焦点。財務省の債務管理研究会は21日、発行年限の長期化戦略を見直し、銀行勢の保有を促すことなどを盛り込んだ提言をまとめた。
27日に日銀が発表した資金循環統計によれば、日銀の国債保有比率(国庫短期証券を除くベース)は3月末時点で53.25%と、発行額の半数超を保有している。これに対して、銀行を含む預金取り扱い金融機関の保有比率は9.29%で、異次元緩和の開始前13年3月末の39.05%から大幅に比率を落としている。
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/LACI4RJEENNRDDMQHILYBXBIZE-2024-06-27/
【参考】2024年7月26日の記事
日本銀行が来週の金融政策決定会合で決める国債買い入れの減額計画に関し、国債の発行当局である財務省は、銀行の国債保有余力を踏まえた減額幅になることが重要で、段階的な実施が望ましいと考えている。
関係者によると、財務省は、日銀に代わる買い手として期待される銀行の国債保有余力などを念頭に置いた上で、減額幅を考えていくことが重要との認識だ。減額ペースに関しては、市場の混乱を極力回避する観点から、一度に大きく買い入れを縮小するのではなく、段階的に減らしていくことが望ましいとの考えだという。
財務省の「国の債務管理に関する研究会」で、三菱UFJ銀行は、預金取り扱い金融機関の国債購入余地について、日銀保有の3割前後との試算を示した。日銀の長期国債保有残高である580兆円程度に当てはめれば170兆円程度となる。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-26/SH7FRWT1UM0W00
【参考】2024年08月21日の記事
明治安田生命の北村乾一郎運用企画部長は、年内にも日本銀行の追加利上げが行われる可能性があり、内外金利差の縮小により円の対ドル相場は1ドル=135円に向かうとみている。
北村氏は20日のインタビューで、利上げは2024年度内にあと1回、「12月にもあるような気がする」と述べた。また、7月末の利上げ後に急速な円高が進み、「中央銀行が動き出すときに内外金利差による影響があることを改めて認識した」と言う。米国の金利が下がる一方、日銀は緩やかながら利上げの方向にあり、内外金利差の一段の縮小から「円高の見通しに変わりはない」とも語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-20/SIAFEFT1UM0W00
【参考】2024年8月21日の記事
ジュピター・アセット・マネジメントは、日本銀行が2025年にかけて利上げを続ける可能性が高いとの見方から、円に強気のポジションを増やしている。
ファンドマネジャーのマーク・ナッシュ氏(ロンドン在勤)は「現在市場に織り込まれている日本の金利は低過ぎるし、米国の実質金利は高過ぎる」と述べ、円上昇を見込むのは「いずれの側面から見ても有利な、ほぼ完璧な取引の一つだ」と語った。同氏が運用するアブソルートリターン債券戦略の過去5年の成績は同種ファンドの9割近くを上回っている。
円高を見込む投資は現在、ナッシュ氏のファンドで最大の通貨ポジションであり、そのリスクエクスポージャーの約15%を占めている。同氏は19日に円に強気のポジションを追加し、スイス・フラン、オーストラリア・ドル、ニュージーランド・ドルに対して円を買っているという。
バンガードとRBCルーベイ・アセット・マネジメントもナッシュ氏と同様の見方で、日本の金利がさらに上昇する可能性が高いとみている。対照的に、市場では年内の日銀追加利上げの観測が急速に後退している。
円相場予想がこれほど重要だったことはめったにない。円安を見込む巨額のポジションは、8月初めの円急伸で総崩れとなった。
日銀は金利を「ある時点で1%に引き上げるだろう。今後1年間に四半期に1回程度の利上げをするのではないか」と話すナッシュ氏は、利上げに伴い円が1ドル=130円程度まで上昇する余地があるとみている。東京市場21日午前7時25分時点では145円18銭で取引された。
ナッシュ氏は、金利が上昇するとの自身の見方を反映させ、日本の10年国債に弱気のポジションを増やした。日本の30年国債には強気だ。
同氏はまた、円で借り入れて高利回りの資産に投資するキャリートレードの大部分が一掃されたとみている。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、この取引の主要プレーヤーであるヘッジファンドは8月13日までの週に、21年以降で初めて円に対して強気に転じた。
「今や事態は変わったので、再びキャリートレードに飲み込まれることはないと思う。日本の政策は間違った位置にあるため、円相場が回復するのは理にかなっている」とナッシュ氏は語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-20/SIJGZ7T1UM0W00
【参考】2024年8月14日の記事
国内金利は昨年夏ごろから上昇している。日銀がマイナス金利を解除した24年3月以降は金利上昇に拍車がかかり、生保各社が主要な運用資産としている30年債の利回りは約13年ぶりの高水準だ。7月末には市場予想よりも早く日銀が追加利上げを決め、金利の先高観は強い。
もっとも国内債は満期まで持ち切れば損失とならず、保険会社に認められた「責任準備金対応債券」として持っていれば、保有債券を時価評価しなくても済む。生保各社は公社債の多くを同区分で保有している。各社は満期保有を前提としており、評価損が実現しなければ直接的な収益への影響は限定的だ。
生保各社は25年度に導入される新規制を見据えて国債購入を進めてきた。新規制では財務の健全性を高めるために、負債にあたる保険契約の年限と保有資産の償還期間の差を縮めるよう求められている。各社は20年度ごろから金利水準にかかわらず超長期債を積み増し、年限差の縮小に取り組んできた。
足元では新規制対応が一巡したため、平準的に国債を買い入れる誘因は乏しい。金利に先高観があるなかで国債を購入しても将来の含み損が拡大するリスクがあり、各社は様子見姿勢を維持している。金利水準を見極めつつ、保有資産の入れ替えを進めていくとみられる。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB028ZW0S4A800C2000000/
【参考】2024年4月24日の記事
大手生命保険4社の令和6年度の資産運用方針が24日、出そろった。日本銀行が3月の金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除し、追加利上げを模索していることを踏まえ、償還期間が20~30年の超長期の国債を中心に投資を進める。
超長期国債について、明治安田生命保険は国内金利水準が上昇した場合に積み増す方針。住友生命保険も、30年債を中心に数千億円規模の積み増しを行う。
第一生命保険は、国内金利は6年度末にかけて緩やかに上昇するとみており、「30年債利回りは2%を超えて上昇すれば買い増していく」としている。日本生命保険も、30年債を「利回りが2%をしっかり超えてくれば、少し前倒しで買っていく」としている。
https://www.sankei.com/article/20240424-PFOHHZLURBNZ5OAXCORLXEVERE/
【参考】2024年4月25日の記事
生命保険会社による2024年度の超長期債投資のキーワードは「2%超」という利回り水準と、日本銀行の利上げで金利が上昇してから投資に踏み切る「後出しじゃんけん」だ。夏から秋にかけて予想される日銀の利上げ後に超長期債利回りが2%をある程度超えるまで、生保の超長期債投資は抑制的になりそうだ。
明治安田生命保険の北村乾一郎運用企画部長は、現在は超長期債を「積極的に積み増す状況ではない」と言う。日銀の利上げは早ければ7月とみており、利上げがあれば、30年債利回りは2%を超えていくと予想する。来年も1回か2回の利上げを想定し、「日銀が利上げしたら後出しじゃんけんでいくのがポリシーだ」と語った。
米国の利下げ時期が後ずれし、日米金利差の縮小が遠のくとの見方から為替市場では円安が加速している。円安は国内物価を押し上げ、日銀の利上げが早まることへの警戒感から金利にも上昇圧力がかかっている。債券市場では生保など主要投資家の買いに期待が高まるが、その多くは超長期債投資に依然慎重で、市場の期待は肩透かしに終わるかもしれない。
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、生保は30年債金利2%を投資を加速させるめどとして示す向きが多いと指摘。 「30年債金利が生保需要を喚起する水準に達するまで、需給面から金利上昇圧力が加わっていく可能性がある」とみている。
生保の多くが意識する超長期債利回りの水準は「2%超」だ。かんぽ生命保険の野村裕之執行役員兼運用企画部長は、30年債利回りが2%を超えれば「魅力的だ」と話す。富国生命保険は残存20-30年債の平均的な利回りが2%超になるまで積極的な積み増しを控える方針だ。森実潤也財務企画部長は、それまでは「利回りの低い銘柄を売却し、残存期間の長い銘柄に入れ替えるオペレーションにとどめる」と言う。
30年債利回りは25日時点で1.935%と2%に近づいてるが、2%を超えたからといって生保が一斉に買い出動するとは限らない。住友生命保険の増田光男運用企画部長は、現在の水準は「負債コストとの対比で十分魅力的だが、まだ金利上昇余地があるとみているため、この水準で集中投資するという判断はしていない」と説明。「できるだけ高い利回りで投資できるよう機動的に投資する」と述べた。
第一生命保険の堀川耕平運用企画部長も、30年債利回りが「2%を超えてくれば比較的魅力ある水準になってくる」と述べる一方、「想定としてはもう少し高いところをみており、今ここで全力で買いにいくことはない」としている。
利回り水準とともに生保が意識しているのが日銀による利上げのタイミングで、多くは7月から10月を想定する。
かんぽ生命の野村氏は、日銀が追加利上げに踏み切れば、30年債利回りが「2%を超える可能性が十分あるので、そこで動けるように考えたい」との姿勢だ。同社はヘッジ付き外債を3兆円程度保有し、「国内金利が大きく上昇すれば、ヘッジ付き外債から円金利にシフトしていく」と話す。
明治安田の北村氏は、来年も1回か2回の利上げを想定しており、日銀が継続的に利上げすれば、「10年金利は2%まで上昇することもなきにしもあらずで、投資余力を確保し、投資していく」と言う。
一方、日本生命保険の都築彰執行役員財務企画部長は「このくらいの水準なら平準的にしっかり買っていく」と述べ、他の生保とは一線を画す。ただ、30年債利回りの想定レンジの中心は2%程度で、この水準を意識している点は他の生保と同様だ。都築氏は「2%を超えてくれば買うチャンスであり、年間のアロケーション(割り当て)を前倒しで買っていきたい」と語った。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは、生保の投資目線は日銀の政策修正を背景とした金利先高観によって引き上げられているようだと指摘。現状では2%が一つの目安になっているが、それも今後の情勢次第で変わり得るため、「2%での買い出動に過度に期待を寄せることを避けた方が良さそうだ」としている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-25/SCDNNNT0AFB400
【参考】2024年8月24日の記事
「政策を調整する時が来た」と、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長はワイオミング州ジャクソンホールで開かれているカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムで発言。9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに踏み切ることをほぼ確約した形だ。
パウエル議長は「方向性は明確であり、利下げのタイミングとペースは今後入手するデータ、変動する見通し、そしてリスクバランスに左右される」と述べ、9月以降の動きについてガイダンスのようなものはほとんど提供しなかった。
ただ、今後はインフレよりも労働市場からより多くのシグナルを得る見込みであることを示唆した。
KPMGのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は「今回のスピーチで、労働市場が今や最優先事項であることが明確に示された」と分析した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-24/SIOYWTT0AFB400
【参考】2024年8月14日の記事
最近にかけて、米ドル/円は一時141円まで急落、またクロス円も総じて急落するなど、全体的に円高へ大きく戻す展開となった。これにより、円安は総合的に循環的限界を極めて、反発に転じた可能性が出てきた。 円の実質実効レートが、5年MAを2割以上下回り、サイクルボトムを付けたのは、これまで1998年、2007年、2014年、2022年の4回あった。このうち、2022年以外のケースにおいて、円の実質実効レートは5年MA以上の反発に向かった。2022年のケースのみが、サイクルボトムのいわゆる「ダマシ」だったということになる(図表2参照)。
以上のように見ると、今回も2022年のようなサイクルボトムの「ダマシ」ということでなければ、基本的に円の実質実効レートは足下で86ポイント程度の5年MAを上回るまで反発に向かう見通しになる。円の実質実効レートが86ポイントを記録したのは2022年1月なので、米ドル/円もクロス円も、これまでの循環的反発パターンを参考にすると、2022年1月以前の円高水準に戻っていく可能性がありそうだ。米ドル/円の場合なら110円台ということになるだろう。 ただ、円の実質実効レートの循環的な反発は、徐々に5年MAを上回る程度が小幅化してきたように見える。これは日本経済の構造変化によるものではないか。かつてほど貿易収支の黒字が増えない、またデジタル赤字などの新たな経常収支赤字要因の出現などの影響だ。こうした構造変化により、円高になりにくくなっている可能性はあり、今回の循環的な円高への戻りでも1米ドル=100円割れに向かう可能性は低いということではないか。
https://media.monex.co.jp/articles/-/25097
・追記
【参考】2024年8月29日の記事
政策金利からインフレ率を差し引いた実質的な政策金利を大幅なマイナス圏に放置すれば、再び円安と輸入インフレを助長し、実質賃金の前年割れが消費の低迷を招く悪循環に逆戻りしかねない。「金融緩和の度合いを調整する」とは、実質政策金利をマイナス圏にとどめつつ、マイナス幅を徐々に縮めることであり、日銀は年内に追加利上げに踏み切る公算が大きい。年末に向けてドル/円は日米金利差の縮小により、徐々に上値を抑えられていく可能性が高い。
https://jp.reuters.com/markets/commodities/EDSKBCOQO5NUTPWW4X7ICPGPSY-2024-08-28/