日経平均株価は8月2日の終値で5.81%下げているが、なぜか韓国は3.67%、台湾は4.43%下げている。

ヨーロッパの株価指数も8月1日の終値で23%程度下げていたが、8月2日も同じぐらい下がって終了している。

https://sekai-kabuka.com/

 
 

日経平均株価は7月11日に典型的な形で天井を打っており、726日に一旦下落が止まって731日に大幅高になっている。

その翌日にやや下落しているが、下髭を付けているため、暴落が始まったような動きでもなかった。

しかし、8月2日にはブラックマンデー以来の下げ幅となる大幅下落となっており、その時、韓国、台湾、アメリカ、ヨーロッパなどの株価指数も大きく下落している。

https://jp.investing.com/indices/japan-ni225-chart

 

 

8月2日は日経平均株価が5%以上下落したことで、日経平均ダブルインバースは11%以上上昇している。

https://kabutan.jp/stock/chart?code=1357

 

 

ビットコイン、ゴールド、原油などもなぜか下げている。

債券以外の資産価格が軒並み下落しているのは、恐らくインテルショック、AIブームの反動、アメリカのリセッション懸念が大きく影響しているためなのだろう。

日銀のわずかな利上げだけでここまで大きい影響が出るとは考えにくい。

(日本よりもアメリカの方が世界経済や株式市場に遥かに強い影響を及ぼす)

米インテル株、赤字で26%安 半世紀ぶりの下落率 - 東京新聞

インテルショック、半導体に広がる 株「50年ぶり下げ」 - 日本経済新聞

株価下落の背景にインテル・ショックもあり - Yahoo!

 

来月のFOMCでほぼ確実にFRBは利下げを開始することが予想されているが、それによって本格的に円キャリートレードの巻き戻しが起きるのであれば、エブリシングバブルの終焉が現実味を帯びてくる。

エブリシングバブルを支えているのが円キャリートレードだと言われている。

現時点ではまだ円キャリートレードそのものが終わったという段階に入ったわけではないはず。

https://media.rakuten-sec.net/articles/-/4358

 

(・追記 円キャリートレードの巻き戻しが本格的に始まればドル円はこの程度の水準で留まることはないはず。最近の円高傾向は財務省の為替介入と投機筋の円売りポジション解消が主因なのではないかと思う。2024/08/05)

 

【参考】2024年8月2日の記事

これまでの株価の上昇を支えたのは、生成AIブームに伴い半導体需要が増加する、との思惑だった。東京市場では昨秋以降、東京エレクトロンやレーザーテックなど半導体に関わる銘柄が大きく買われ、日経平均は先月半ばには4万2000円台まで駆け上がった。

しかし、米国ではAIブームの代表格エヌビディアの株は先月以降、下落基調をたどっている。マイクロソフトは8月1日、4~6月期の売上高が四半期として過去最高になったと発表したが、同日の時間外取引で株価は急落した。

AIブーム、反転も 株全面安、円高で期待後退 - 時事ドットコム

 

【参考】2024年8月3日の記事

ダウ平均急落の主な要因は2日に発表された7月の米雇用統計だ。非農業部門の就業者数は市場予想を大きく下回り、失業率も悪化した。投資家の間で米国の景気への懸念が高まった。

ダウ平均は一時、900ドル超下落する場面もあった。終値は3万9737・26ドルとなり、約1週間ぶりに4万ドル台を割り込んだ。在米の日系金融機関関係者は「雇用統計が衝撃的な内容だったことから、売りが売りを呼ぶパニック状態に陥った」と指摘した。

一方、2日のニューヨーク外国為替市場の円相場は一時、約半年ぶりの円高水準となる1ドル=146円40銭台に上昇した。株式を売って比較的安全とみられている米国債を買う動きが広がった結果、米長期金利は一時、約7か月ぶりの低水準となる3・7%台に低下した。利上げに動く日本と米国の金利差縮小が意識され、ドルを売って円を買う動きが優勢となった。

 

 

 

インテル株の暴落は単に業績悪化が原因なのではなく、
「第13・14世代Coreプロセッサーを搭載したPCでは、『ゲームがクラッシュする』『ソフトウェアが正常に動作しない』といった問題」

が報告されていることで、企業としての信用に関わるという懸念が大きいのだろう。

解凍失敗やメモリ破損も報告されている。

Intelの第13・14世代のCPUには欠陥がありクラッシュ・強制終了・エラーの原因となっているという指摘を証明する膨大な量のレポートデータが発見される - GIGAZINE

このクラッシュ問題が起きたプロセッサーは物理的に破損しているため、修正パッチなどで改善することはない。

修正パッチを当てればクラッシュはしなくなるとのことだが、本当にそれだけで全て解決する程度の問題なのかどうかは不明。

インテル側は「自社のマイクロコードに原因があった」と発表しているが、CPUそのものに問題がある可能性もある。

この問題はデスクトップ向けのCPUだけでなく、ノートPC向けのCPUでも同様の不具合が報告されているにもかかわらず、インテル側としては「モバイル端末での不具合の原因はデスクトップPCとは異なる」と主張しているため、恐らくマイクロコードの問題だけでは説明できないことがあるのだろう。

第13・14世代Coreプロセッサーは問題が起きてしまった場合は交換するしかないらしいが現時点でリコール対象にはなっておらず、保証期間の延長という対応になっている。

どうやらこの問題はインテルがR2 Semiconductorの特許技術である電圧調整機能を第10世代~第12世代のCPUで無断使用していたため、第13・14世代でその特許技術が使われなくなったことに起因しているらしい。

(当初はマザーボードのオーバークロック設定が原因だと主張していた)

ソケットLGA 1700は第13・14世代Coreプロセッサーだけでなく、第12世代Coreプロセッサーにも対応しているが、その第12世代のCPUが特許侵害問題を抱えているため、第12世代と交換するという対応もできないようだ。

最悪の場合、マザーボードをAMD用のものに交換してAMDのCPUに全面移行するしかないのかもしれない。

メモリ破損も報告されているため、恐らくメモリの交換も必要になる。

かつて、インテルショックがITバブルの崩壊のきっかけになったと言われているが、今回も新たなインテルショックによってテクノロジー関連銘柄に影響する可能性がある。
https://president.jp/articles/-/57140

ただでさえAIブームの反動によってテクノロジー関連銘柄は下落傾向にあるが、それに拍車がかかるのかもしれない。

インテルは今も世界最大手のCPUおよび半導体素子メーカーであるため、この問題はインテルという企業のみならず、もしかしたら半導体産業全体に極めて深刻な影響を及ぼす恐れがある。
インテル - wikipedia

データセンターではインテルの「W680」というマザーボードのチップセットが使われているとのことだが、この「W680」にも問題があるらしく、解凍処理エラーが異常に多発していると言われている。

Intelの第13・14世代のCPUには欠陥がありクラッシュ・強制終了・エラーの原因となっているという指摘を証明する膨大な量のレポートデータが発見される- GIGAZINE

本当にマイクロコードだけの問題なのであればデータセンター向けのチップセットでも問題が多発するものなのかという疑念が生じる。

第10~12世代のCPUにはR2 Semiconductorの電圧調整機能が使われているが、それらの製品では問題が生じることはなく、その電圧調整機能が使われていない第13・14世代のCPUでは電圧の問題が発生している。

そしてデータセンター向けのチップセットでもこれとは別にエラーが多発する問題が起きている。

このことから、やはり今回のインテルの問題はマイクロコードの問題なのではなく、新しい世代のCPUに使われている電圧調整機能に問題が起きているような印象受ける。

さらに、一部のチップセットにも問題があるようだ。

また、以下の動画では「Intel Default Settings」という機能を含むBIOSのアップデートによってクラッシュする問題を抑えることができるという情報を元に、実際にBIOSをアップデートしてみたが、OSを起動しただけでブルースクリーンになってしまった状態を紹介している。

 

【参考】2024年07月22日の記事

インディーゲームスタジオのAlderon Gamesは、「IntelはノートPCの問題を軽視する声明を発表しましたが、私たちはデスクトップPCとまったく同じ症状でノートPCが何台もクラッシュするという経験をしました。私たちのゲームのクラッシュレポートデータも、大量のノートPCが問題を抱えている可能性を示しています」とコメントし、クラッシュの問題はデスクトップやデータセンター向けに限定されるものではなく、ノートPCにも波及しているので調査してほしいと意見しました

テクノロジー系メディアのTom's Hardwareは「モバイル向けのRaptor LakeとRaptor Lake Refresh HXシリーズはデスクトップと同様のダイ構成を共有しているため、デスクトップモデルと同じ運命をたどるものがあると考えるのが普通です。しかし、モバイルチップはTDPガイドラインが厳しく、デスクトップほど電圧を必要としないため、不安定になることは少ないかもしれません」と指摘しています。

Intelが第13・14世代CPUの問題についてノートPCでは起きないと主張するもさらに反論されまくる - GIGAZINE

 

【参考】2024年07月29日の記事

投稿には「Intelは高電圧の根本的な原因に対処するマイクロコードパッチを提供している」「不具合に対処するために、完全な検証を経て8月中旬に修正パッチを提供予定」とも記されています。
なお、ユーザーからはノートPC向け第13・14世代プロセッサーについても同様の不具合が報告されています。しかし、Intelは「モバイル端末での不具合の原因はデスクトップPCとは異なる」とする見解を示しており、今回の声明でもノートPC向けプロセッサーについては言及していません。
Intelが自社の設計が原因で第13・14世代CPUに不具合が発生していることをついに認める- GIGAZINE

 

【参考】2024年07月29日の記事

Intelの「Core i9-13900K」のような第13世代CPUや、「Core i9-14900K」のような第14世代CPUには、設計に起因するクラッシュ問題が存在することが報告されています。Intelは、この不具合に対する修正パッチの配布を予定していますが、修正パッチを当ててもクラッシュが発生するのが予防されるだけで、既にクラッシュが発生したことがあるCPUの劣化は不可逆的だと報じられました。

伝えられるところによると、この不具合はCPUの内部的な動作に関する命令であるマイクロコードの欠陥により、CPUに誤った電圧要求が送られていたことが原因だったとのこと
Intelの第13・14世代CPUの劣化はパッチを当てても「回復不能」との報道、1回クラッシュしたらおしまいの可能性 - GIGAZINE

 

【参考】2024年08月02日の記事

Intelの発表によると、クラッシュ問題は「プロセッサーに異常に高い電圧がかかる」という誤作動によって生じていたとのこと。つまり、クラッシュ問題が発生したプロセッサーは物理的に破損している可能性があり、Intelが提供する修正パッチを適用しても既にクラッシュ問題の発生したプロセッサーが元に戻ることはないと推測されています。

Intelがクラッシュ問題多発CPUの保証期間を2年延長することを決定 - GIGAZINE

 

【参考】2024年02月08日の記事

裁判の争点となったのは第10世代Coreプロセッサ「Ice Lake」、第11世代Coreプロセッサ「Tiger Lake」、第12世代Coreプロセッサ「Alder Lake」、第3世代Xeon「Ice Lake-SP」で使われている電圧調整機能です。R2 Semiconductorは「Intelの電圧調整機能がR2 Semiconductorの特許を侵害している」と主張してアメリカやイギリス、ドイツで提訴。2024年2月7日(水)にドイツの裁判所がIntelの特許侵害を認め、Intelに対して特許侵害製品の販売差し止めを命じました。裁判の関係者は「DellやHPの特定のデバイスも販売が禁止される可能性がある」と語っています。

なお、R2 SemiconductorはIntelに対する訴訟を最初にアメリカ起こしていましたが、アメリカの裁判ではIntelが勝訴しています。また、第13世代Coreプロセッサ「Raptor Lake」や第14世代Coreプロセッサ「Raptor Lake Refresh」には争点となっている技術は使用されていないとのことです

Intelが特許訴訟で敗訴し一部チップの販売差し止め命令を受ける、DellやHPのデバイスの出荷も禁止される可能性あり - GIGAZINE

 

https://www.google.com/finance/quote/INTC:NASDAQ?sa=X&ved=2ahUKEwjQj_jawtiHAxV6na8BHTS_J8MQ3ecFegQIQBAh&comparison=&window=MAX

 

https://www.google.com/finance/quote/NVDA:NASDAQ?window=5Y

 

 

また、エヌビディアに独占禁止法調査開始という報道も出ており、これも相場をけん引してきた銘柄に打撃となる可能性があり、冷や水となっているのかもしれない。

米、エヌビディアの独禁法調査開始 AI半導体巡り=報道 - Reuters

OpenAIについてもあまり利益が出ておらず、巨額の負債を抱えていることが知られているが、こういったこともAIバブルの崩壊を連想させる可能性がある。

OpenAIの経営は大赤字で2024年の負債は約7700億円の見込み - GIGAZINE

 

 

 

 

 

以下の動画では、雇用統計や製造業の景気指数などが悪化しているため、アメリカのリセッション懸念が今週の株式市場の下落の要因だったのではないかと解説している。

動画によれば、FF金利(アメリカの政策金利)は2024年12月に4.6%、2025年12月に3.6~3.9%、2026年12月に2.9~3.1%になることが予想されているとのこと。

(現在のFF金利は5.5%) 

FF金利 (フェデラル・ファンド金利) : 政策金利 - 楽天証券

 

 

 

マネクリでもISM製造業景気指数と雇用の悪化傾向によるアメリカのリセッション(景気後退)懸念が浮上していると解説している。

 

【参考】

 

【米国】ISM製造業景気指数、7月は46.8に低下 雇用低下で景気後退懸念浮上 - マネクリ

 

 

一般的には9月のFOMCで0.25%の利下げが予想されているが、一部では0.5%の利下げ観測が高まったとも言われている。

年末にはアメリカの政策金利は今より1%以上低くなっているという予想も出ている。

アメリカの利下げは来年と再来年も続く予定となっているため、日銀の追加利上げもあることで、来年末ぐらいには日米金利差はかなり縮小していることになる。

しばらくは円高方向になることが予想されるため、今のうちに日本企業がレパトリエーションの動きに出る可能性もある。

 

【参考】2024年8月3日の記事

[2日 ロイター] - 米労働省が発表した7月の雇用統計を受け、米連邦準備理事会(FRB)が9月の次回会合で0.50%ポイントの利下げを決定するとの観測が短期金融市場で高まったFRBはその後も利下げを継続し、年末時点の政策金利は現行水準より1%ポイント以上低くなるとの予想も出ている。 

7月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比11万4000人増となり、予想を下回った。失業率が約3年ぶりの高水準となる4.3%に上昇したほか、平均賃金の前年比での伸びが約3ぶりの低水準となった。

FRBはこれに先立つ7月30─31日の連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定。パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、早ければ9月17─18日の次回会合で利下げを議論する可能性があると述べていた。

アネックス・ウェルス・マネジメントの主任エコノミスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は「パウエル議長が今朝分かったことを当時知っていれば、おそらく利下げを決定していただろう」とし、「インフレ鈍化を受けても金利を据え置いたことで、FRBはブレーキを踏み込みすぎた。FRBは状況がいかに急速に変化しているか、認識するのに後手に回っている」と語った。

パンテオン・マクロエコノミクスのチーフエコノミスト、イアン・シェパードソン氏は「7月のFOMCでFRBが金利を据え置いたのは誤りだった」とし、「9月に0.50%ポイントの利下げが決定される根拠は強い」と述べた。 

雇用統計発表前は、FRBは9月に利下げに着手し、利下げ幅は0.25%ポイントになるとの見方が織り込まれていた。

 

 

 

日経平均株価は日銀の金融政策決定会合のあった7月31日に600円近く上昇して終えているが、これはアメリカによる中国に対する半導体製造装置の輸出規制で日本とオランダを除外するという見通しを受けて、東京エレクトロンなどの値がさ株が買われたり、先物で大量の買いが入ったことによるものだった。

その時、オランダのASMLも急伸していた。

日韓とオランダ除外と報道、新たな米の対中半導体規制-ASML急伸 - Bloomberg

 

7月31日に先物で一気に5389万株の買いが入っていた。

https://karauri.net/saitei/

 

しかし、その賭けをした者は予想を大きく外したことで大変な含み損を抱えていることになる。

今後も日経平均株価は下落していくはずだが、売り建てによる買戻しでリバウンドすることがあっても、まだかなり溜まっていると思われる先物の買いポジションの売りが出ることになる。

そのため、上昇したとしても先物の売り圧力だけでもそれなりに強いように思える。

もし先物で今後も無理をして買いポジションを増やし続けるようなことがあれば、それをやっている者は破滅することになるのだろう。

危険な状況でバブル相場になっているのに高値圏で買いポジションを増やしてしまったら早く損切りするしかないが、ファンダメンタルズに逆らってこの荒波に挑み続ける行為は無謀というより自殺行為に等しい。

 

 

 

 

 

アメリカでは

「米国の商業用不動産向け融資は2024年に80兆円規模の償還を控える」

「金利高止まりで借り換えできない事例が多発すれば、融資の多い地銀の経営体力をそぐ」

といった問題を抱えているため、このまま高金利政策を続けることは難しく、恐らく、ある程度のインフレを許容してでも金融危機を回避する動きに出るのだろう。

米不動産融資、24年の償還80兆円 金利高で借り換え難 - 日本経済新聞

アメリカの商業用不動産向け融資の返済額は2023年からの5年間で400兆円程度あるため、この問題はアメリカの当局者を非常に悩ませることになる。

米商業用不動産、迫る返済満期5年で400兆円 不履行警戒、経済に影響も - 日本経済新聞

 

また、中国の大手不動産デベロッパーの社債を保有する債権者もどうやら支払いをしてもらうことができないらしく、これもほぼ確実に損失となる。

その管財人はアメリカのAlvarez & Marsal Holdingsとなっているため、恐らくアメリカの金融機関が中国恒大集団などの社債を保有しているのだろう。

このことについてはまだ相場で織り込まれていないように思える。

中国恒大に香港高裁が清算命令-資産は本土中心、実質的な回収困難か - Bloomberg

https://www.jetro.go.jp/world/n_america/us/ip/list/alvarez_marsal_holdings.html