各メディアの記事にはシリコンバレー銀行が破綻した理由は、FRBが政策金利を引き上げていることで長期の米国債を爆買いしていたシリコンバレー銀行が含み損を抱えてしまい、それを問題視した預金者によって取り付け騒ぎが起き、業務停止になってしまったとある。

 

【参考】

普通に預金を預かり、普通にアメリカ国債などで運用していただけなのだ。それが、ごく普通に、当たり前のように破綻したのだ。」
「単純なALM(資産・負債の総合管理)のミスである。短期の預金という負債を抱え、それを預金よりは満期の長い債券などで運用していた、という期間のミスマッチである。」

なぜまっとうな銀行がそんな単純なミスをしたのか。それは、ミスではなく、わかっていながらやったことなのだ。なぜなら、完全なALMを行うためには、受け入れた預金をすべて現金のまま置いておくしかない。しかし、預金を全額現金のまま置いている銀行がどこにあるだろうか。」

※(ALMのミスであるがミスではなくわかっていながらやったことなのだなどとよく分からないことを言っている。)

 

 

 

 

ウォールストリートジャーナルによれば、誰かが米国債を大量に買い続けない限り、アメリカは借り入れコストが上昇してしまい、住宅や会社を手放す恐れが高まるらしい。

これまで特に日本の機関投資家が米国債を買い支えていたが、それもほぼ尽きた状態にあり、下支え要因の喪失によってより米国債が下落しやすい状況にあったようでもある。

また、最近の長短金利の逆転によって米長期債を買うメリットが薄れたことに加え、株式市場の割高感もあることから、米短期債の需要が高まっている。

これが預金引き出しに繋がった可能性もある。

 

【参考】

「外国人投資家は歴史的に米国債市場の重要な支柱だった」

「外国人投資家の需要に対する債券市場の依存度は近年、低下傾向にあったが、それも主にFRBが介入したためだった」

こうした支えを失えば、一戸建て住宅のローンから商業用ローンまで、米国民にとってはあらゆる借り入れコストが上昇する可能性がある。

米金利の上昇がドル高・円安を誘発し、米国債の逆イールド(長短金利の逆転)が発生。為替変動のヘッジコストを勘案すると、日本の投資家にとっては米長期債の妙味は薄れた。日本政府も円相場の押し上げを狙い、保有する米国債の一部を放出した可能性が高い。

「日本の投資家による最近の外債購入急増は、米長期債を購入する年金基金によるものだとの臆測が強まっている」

「とはいえ、ヘッジコストの高止まりが続く限り、日本マネーの米国債への構造的な流入は従来と比較して細る公算が大きい

日本の年金基金は1月に外債を約100億ドル買い越しており、それ以前の2カ月間の170億ドル余りから、さらに積み上げた(日本の財務省データ)。年金基金は昨年、日本で外債の最大の買い手となったが、前出のエトラ氏は、外債への振り向けもいずれかの時点で飽和点に達するとみている。

株高に加え、日本が3月末に年度末を迎えることも、マネーの債券シフトを促したとみられ、この流れはほぼ尽きた可能性がある。今年に入って円高が進行したことも投資家の購買力を高めたが、円はそれ以降、対ドルでの値上がり分を失っている。

もっとも、米国内の投資家は新規供給分を吸収する意欲を示している。1年物と6カ月物の財務省短期証券(TB)利回りはいずれも5%を突破しているほか、リセッション(景気後退)懸念と割高感から株式市場は厳しい状況に直面しており、現金同等物資産に対する需要は急増している

 

 

 

ほとんどのメディアの記事ではシリコンバレー銀行の破綻と暗号資産は全く無関係であり、FRBの政策金利の引き上げと取り付け騒ぎが原因だと言っている。

しかし実際にはシルバーゲート銀行、シリコンバレー銀行、シグネチャー銀行の3行が3月に破綻しており、それらはいずれも暗号資産と関わりのある銀行だった。

暗号資産はマネーロンダリングに使われることが多いだけでなく、そんな胡散臭いものを長期間保有する者など誰もいないのだから、資金の流出もしやすいと指摘されている。

つまり、今回の一連の銀行破綻と取り付け騒ぎは確かにアメリカ経済に衝撃があったのだろうが、暗号資産という胡散臭いものを扱う銀行が連鎖的に破綻していることはFRBだけのせいではなく、そういうものを扱う銀行はリスク管理が杜撰であり、健全な運用をしている銀行と比べて財務が脆弱だったと言える。

実際のところ、シリコンバレー銀行が暗号資産に注力したヘッジファンドやベンチャーキャピタル(ブロックチェーン・キャピタル、キャッスル・アイランド・ベンチャーズ、ドラゴンフライ、パンテラなど)とどのような取引状況にあり、どのような利益・損失があったのかは不明だが、一般的な感覚から言えばやはり「まっとうな銀行」とは思えない。

破綻する1年前にCEOが自社株を売って利益を上げていたり、破綻直前に役員、取締役、主要株主、およびそれらの関連する株主たちへの巨額融資があったり、ボーナスを支給していたりすることからも、健全性を疑われても仕方ないはず。

 

【参考】

絶対にならないとは言えないが、今後、金融システム不安に発展する可能性は低いだろう。金利上昇で債券の含み損を抱えるのは世界の金融機関で共通だ。モンタナ州の農業銀行も、日本の地銀も同じだ。

しかし、破綻した3行は、その業態が特殊だった。米シリコンバレーのスタートアップ企業と暗号資産業界のための銀行だ。つまり、「ホット・マネー(簡単に言えばバブルのカネ余りのカネ)」が流れ込んだ業界と銀行である。

こういう特殊な業界や銀行はそう多くない。それが、今回のような破綻劇が広がらないと考える理由である。総括すれば、局所的バブルの崩壊が表面化したのだ。このバブルは局所的で、リーマン危機のクレジット・バブルのように世界的に大々的に広がったものではない。それが一番のよりどころだ。

 

【参考】

米中堅銀行シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻では、トップが破綻前に自社株を売り、約230万ドル(約3億円)の利益を得ていたことが発覚し、批判の声が上がっている。

 

【参考】

ブルームバーグの報道によると、インサイダーたちは、早く株を売り払っただけでなく、シリコンバレー銀行からの融資が、規制上の監視を嘲笑するほど行われていたようだ。

役員、取締役、主要株主、およびそれらの関連する株主たちへの融資は、昨年の第 3四半期から2022年の最後の 3か月で 2億 1,900万ドル (約 290億円)に達し、過去 20年間で記録的な額の融資となった。

多くの質問が頭に浮かぶ – 融資の条件は何だったのか、誰が受取人だったのか、担保は何だったのか。

しかし、悲しいことに、私たちはおそらく決してそれらを知り得ないだろう。

不正行為の証拠はなく、ローンの個人的な詳細 (名前、目的、担保) は政府の提出書類に開示されていない。

 

【参考】

多数の暗号資産企業を顧客として抱えるシグネチャー銀行(Signature Bank)が3月12日にニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)によって事業停止となった。

8日にはシルバーゲート銀行が任意清算、10日にはシリコンバレー銀行が経営破綻し、1週間足らずで3行が破綻したことになる。

シグネチャー銀行は数カ月前に暗号資産業界との取り引きを減らすと発表していた。

 

 

 

 

ベッカーCEOの軽率な発言が「顧客の取り付け騒ぎにつながった」とgigazineに書かれているが、通常であれば自分がカネを預けている銀行がどういう投資や融資をしているのかなんて全く気にしていないし、何も知らないことだが、CEOの不用意な発言や発表によってそれを知ることとなり、まずプロがパニックを起こし、それに続いて個人が慌てて銀行の列に並んだということらしい。

その発表直後にシリコンバレー銀行の株価は60%も下落している。

銀行の第1四半期決算に関する発表にある「実質的にすべての証券を売却する」「22億5000万ドル(約3000億円)の資金を募る」といった異常に多額の現金を必要としていることを示唆する部分をなぜパニックが起きることを承知の上で公表したのかが不明。

確かに、プロがそれを見れば余程のことが何かあって財務状況が大変なことになっているのだろうと思うのだろうが、あえてそう思わせて取り付け騒ぎや株価の暴落を誘った理由がよく分からない。

本当にCEOが愚かすぎたからなのか、それとも計画的且つ意図的に銀行を破綻させたのか。(このCEOはこうなる1年前に自社株を売って3億円儲けている)

いずれにしても、シリコンバレー銀行が米長期債ではなく、何らかの理由で巨額の損失を出し、それを穴埋めでもしようとしたのではないかと勘繰ってしまうが、少なくとも、「まっとうな銀行」には思えないし、「普通に預金を預かり、普通にアメリカ国債などで運用していただけ」という某氏の主張は不自然に感じざるを得ない。

本当に米長期債で含み損が出ただけなのであれば、そのまま満期まで持っていれば元本割れなど起こさないのだから、それを理由にわざわざ決算発表の場で多額の現金が必要になったと言い、取り付け騒ぎを誘発させることは筋が通らない。

日本の銀行が米国債を買う場合は外貨調達コストが掛かり、含み損を抱えたまま満期まで持っていると外貨調達コストが外債の利回りを上回る「逆ザヤ」になってしまうため損切りをすることがよくある。

しかし、シリコンバレー銀行はアメリカの銀行なのだからアメリカの国債を買うために外貨調達コストが掛かるわけではなく、満期まで持っていれば償還されるのだからわざわざ損切りする必要はなかった。

 

【参考】

含み損は売却するまで、損失としては確定しない。債券を満期まで保有し続け、額面価格で償還されるのを待つことも本来は選択肢だ。だが、銀行にとっては含み損の膨張を無視できない事情がある。

1つは自己資本比率への影響だ。含み損が拡大すれば自己資本は傷み、銀行経営の手足が縛られる。

より深刻なのは、外債投資に用いるドルなどの外貨調達コストだ。調達コストと債券の利回りが逆転した状態では、運用を続けるほど損失を垂れ流すため、一時的な売却損を計上してでも手放し、含み損を縮小させる必要に迫られる。

 

現時点でも米債利回りは高水準であるため、今後さらに大きく金利が上昇する可能性は低く、大量購入したとされる米長期債の含み損をそのままにしておいてもさらに含み損が拡大し、自己資本が毀損していくことも考えづらい。

FRBによる政策金利引き上げは2022年10月21日に米10年債利回りが4.338を付けてからも続いており、FRBの利上げによって米長期債の利回りが上昇し続け、債券価格が下落し続けていたわけでもない。

 

 

アメリカ 10年 債券利回り - Investing.com

 

 

一見するとシリコンバレー銀行がやったことは日本の銀行がよくやる外債の損切り似ているが、実態としては全く異なっている。

日本の銀行の場合は債券価格の上昇を見込んで利回りが高い時に買って低くなった時に売るという利ザヤ稼ぎをしていたが、アメリカの銀行の場合は極端に債券のポジションを増やしていたわけでなければ満期まで持っていれば損をすることはない。

 

また、シリコンバレー銀行の運営を熟知している元マネージャーは「シリコンバレー銀行はそもそも何の役にも立っていなかった」と証言していることからも、この銀行はいかにスタートアップなどにとって有難い存在だったと喧伝しようとも銀行として見れば虚業臭さがあったらしい。

 

【参考】

・2023年3月8日(水)に発表した2023年第1四半期決算に関する一連の発表を指しています。決算発表の中で、ベッカーCEOは「実質的にすべての証券を売却する」ことや、「22億5000万ドル(約3000億円)の資金を募る」ことを(PDFファイル)発表しています。

・CNBCは「シリコンバレー銀行の行員が経営破綻の直前にボーナスを受け取っていた」と報じています。情報筋によると、シリコンバレー銀行の行員は3月10日に経営破綻し連邦預金保険公社(FDIC)に差し押さえられることとなる数時間前にボーナスを受け取っていたそうです。

・シリコンバレー銀行の経営破綻は同行の財政面が原因とされています。しかし、シリコンバレー銀行の長年の顧客や、同行の運営を熟知している元マネージャーなどは、「シリコンバレー銀行はそもそも何の役にも立っていなかった」と指摘。具体的には、現代のビジネスで求められる要求を満たすための技術を採用することをシリコンバレー銀行が拒否してきたことなどが挙げられています。

 

【参考】

好条件の柔軟な融資や会議室の提供、そして無料の高級ワインやスキー旅行といった豪華特典は、もはや手に入らないものになってしまった。

株式上場からほど遠い企業に対してSVBほど大盤振る舞いをする会社はなかったし、そんな銀行は皆無だったと、テック起業家や複数の投資家は言う。

SVBは顧客が投資しているテック企業を深く理解した上で、他行なら住宅ローンを提供しないキャリアの浅い投資家に住宅ローンを提供していたという。

 

 

 

市場関係者がシリコンバレー銀行が保有する米国債の含み損が発生したことを問題視したことで大量の預金が流出して破綻したとあるが、これは非常に不自然な話であり、FRBが利上げをすることなど市場関係者であればかなり前から誰でも知っていたことなのだし、米長期債の含み損が発生したぐらいでパニックを起こして一斉に預金を引き出すなどということは通常あり得ない。

取り付け騒ぎというのは何らかの情報を元に預金者がパニックを起こして預金引き出しのために銀行に殺到することを言っているだけであり、財務が健全な「まっとうな銀行」なのであれば取り付け騒ぎが起きると破綻するわけではない。

専門家の主張にあるような、米長期債の含み損でパニックが起きたのではなく、実際にはシリコンバレー銀行のCEOが決算発表で多額の現金を必要としていることを示唆する内容を公表したことでパニックが起きている。

つまり、急激に現金需要が高まった直接的な原因はFRBにあるのではなく、急激な国債利回りの上昇を受けて顧客が預金として現金を寝かせておくよりも米国債を買って利子を受け取ることを選択したことで大量の預金流出があったということらしい。

しかし、これでもまだ不自然さは残り、本当にそういう理由でシリコンバレー銀行から預金を下ろして米国債を買うために大金を使う者がどれだけいるのかという疑問がある。
シリコンバレー銀行の破綻で最も重要なことはなぜ急激な現金需要の高まりがあったのかという点だが、そこが不明瞭になっている。

 

ゲンダイや東洋経済の記事にはシリコンバレー銀行の破綻の原因について以下のようにFRBが利上げしたせいで取り付け騒ぎが起きたことにあると言っている。しかし、これでは説明がつかないことがある。

それは、資産の棄損を恐れて預金が引き出されたという部分であり、預金者が本当に銀行が保有する国債の含み損など気にしているのか。

国債というのは満期まで持っていれば損など発生しないのだから、アメリカが財政破綻するわけでもないのであれば妙な話になる。

新たに発行された米国債を買った方が利回りが良いため、シリコンバレー銀行から預金を引き出して短期債を購入し、しばらく現金が拘束された状態になることを本当に望んでいたのかが疑問に思える。(「資産の毀損を恐れて」預金が引き出されたことになっているが、よくよく考えると意味不明であるように思える。)

 

【参考】
「金利上昇のせいで大量の含み損が発生してしまい、財務内容が急速に悪化した。市場関係者はこれを問題視したことで短期間に大量の預金が流出したため、業務停止に追い込まれてしまった」

なぜ非合理的な取り付けが起きてしまったのか。人々は、預金を引き出そうとしたのか。それは、運用していた債券の時価が下落したことだ。資産の棄損を恐れて、預金が引き出され、それに対応するために債券を売却して、損失が拡大し、万が一に備えて資本を増強しようとした。しかし、債券売却と資本増強のニュースはさらに取り付けを加速し、あっという間に破綻した。」
これから「防ぎようのないバブル崩壊」が長く続く - 東洋経済

 
 

 

アメリカは「誰が権力を握っているのか分からない」と言われることがあるが、個人的には金貸しがアメリカの権力を握っているように思える。

アメリカ人の大半は貯蓄がなく、多額の借金をしながら生活しているため、余程の金持ちでもない限り、アメリカに住んでいるというだけの理由でどうしてもカネが欲しいという欲求が強くなる。

それを最も簡単に実現するのが借金であり、アメリカ人は借金をしなければ生きていくことができない。

現在、アメリカではそれなりの額の現金がなければ生活できない状態にあり、多額の現金を米短期債に振り分けて、その分の現金を使えない状態にし、金利で生計を立てることができるのかというと、それは不可能なはず。

つまり、ほとんどのアメリカ人(個人)は預金を取り崩して国債を買う余裕などない。

国債を買っているのは機関投資家ぐらいのはずだが、本当にシリコンバレー銀行の預金を引き出した理由が短期債を買うためだったのかということになる。

確かに、短期債の需要は旺盛であり、「1年物と6カ月物の財務省短期証券(TB)利回りはいずれも5%を突破している」とのことだが、それを買うためにシリコンバレー銀行の預金を引き出したのかについては不明。

シリコンバレー銀行の預金を引き出さないと短期債が買えなかったのかどうか。

(そもそも、資産の棄損を恐れたために預金が引き出されたという説明は何を意味するのかもはっきりしない。)

 

【参考】

・万引き多発で店舗閉鎖、国民の64%がその日暮らし…アメリカは格差社会から総貧困化時代へ
米ニューヨーク連銀が2月16日に発表した第4四半期の家計債務・信用統計によれば、米国の家計債務は16兆9000億ドルとなり、過去20年で最大の伸びとなった。
クレジットカード・ローンの昨年12月末時点の残高は9860億ドルとなり、過去最高を更新したが、延滞や不良債権の比率の増加が目立ち始めている。今後、低所得層を中心に消費意欲が低下する可能性が指摘されている。
 自動車ローンの残高も急増している。
民間調査会社によれば、新車の月平均支払額は777ドルと過去最高となっている。この金額は米世帯の税引き後所得の中央値の6分の1に相当しており、2019年末の2倍近くとなった。
自動車ローンの負担が高まっているのは、自動車企業が在庫を低水準に抑え、高価格を維持する新たな戦略を採用していることが影響している。
米国の典型的な世帯にとって新車は「高嶺の花」になりつつあり、自動車ローン分野でも大量の焦げ付きが発生することが懸念されている。
オンライン融資仲介大手のレンディングクラブが昨年12月に実施した調査によれば、米国人の64%が「『その日暮らし』の生活を送っている」と回答している。1年に10万ドル以上の収入がある人でも半数以上が「余力がない」と答えており、同社は「インフレの影響は全ての米国人の財布をむしばみ、給料ぎりぎりの生活を送る人は過去最高水準に達している」と指摘している。
 エネルギー価格の高騰は国民生活を窮地に追い込んでいる。
昨年1月から10月にかけて30州とワシントンDCでは、料金滞納による電力会社の断電措置回数が前年比29%増の150万回超えとなった。ガス供給が途絶えた件数も前年に比べて76%も増加した(1月30日付ブルームバーグ)。

 

 

 

つまり、これはあくまで最も俗な憶測に過ぎないが、シルバーゲート銀行、シリコンバレー銀行、シグネチャー銀行の3行はいずれも暗号資産と関わりがあったことは事実であり、コロナ禍における米政府の3度にわたる給付金などを通じて暗号資産はその恩恵を受けていた。

それによってシリコンバレー銀行の場合、バランスシートが3倍に膨れ上がり、当初は運用が上手くいっていたかのように思われた。

しかし、2021年11月12日辺りをピークにビットコインは暴落し始め、暗号資産企業の運用成績は大変なことになってしまった。

暗号資産企業に多額の融資をしていたそれらの銀行は債権を回収できなくなり、銀行としての事業を継続することが困難であることを悟った。

そこでシリコンバレー銀行のCEOはその時点で自社株を売り始め、約3億円の利益をとりあえず確保した。

その後、取り付け騒ぎに見せかけて顧客の預金の引き出しを勝手に行い、自分の懐に入れたうえでそれを暗号資産に変えてマネーロンダリングを行った。

当然それによって顧客の預金が目減りしてしまうのだから、そのままにしておくわけにはいかず、自身の銀行をあえて破綻させて国に救済させ、自分は暗号資産と共にアメリカから脱出する計画だったというのであれば一応、筋は通る。

これらの破綻した銀行はいずれも暗号資産という非常に胡散臭いものと関わりがあることから、当初からペテン臭さを感じていたが、某競馬ファンの学者などは妙にシリコンバレー銀行のことを擁護していたりするが、そういう「専門家」の動きを見てもペテン臭さがある。

 

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【参考】

シルバーゲート銀行とシリコンバレー銀行は、あまり広範には当てはまらないかもしれない、特有の景気循環の問題にも直面していた。両社はそれぞれ、新型コロナウイリス感染拡大の初期に大幅に下落した暗号資産テクノロジーやベンチャー企業などをターゲットとしていた。両セクターとも新型コロナウイルスのロックダウンから恩恵を受け、特に暗号資産はアメリカ国民に配布されたパンデミック救済小切手の恩恵を受けた
つまり、両行には2020年から2021年初頭にかけて大量の資金流入があった。シリコンバレー銀行のバランスシートは、2019年末から2021年3月にかけて3倍になった。シルバーゲート銀行の資産も2021年に大幅に増加した。

 

 


一般の預金者というのは自分がカネを預けている銀行がどういう投資や融資をしているのかなんて全く気にしていないし、何も知らないのだから、FRBが利上げしたことでシリコンバレー銀行が保有する資産(米国債)の価値が棄損するのを恐れて急いで預金を引き出したというのは非常に不自然で無理がある説明であるように思える。

つまり、そういう理由で取り付け騒ぎが起きたのではなく、自分がカネを預けている銀行が突然破綻したというニュースをつい今しがた知ったために不安になり、急いで預金を引き出そうとしたはず。

(実際には一般の預金者が取り付け騒ぎを起こす前に市場関係者が銀行の第1四半期決算に関する発表にある「実質的にすべての証券を売却する」「22億5000万ドル(約3000億円)の資金を募る」という部分を見てパニック的に預金を引き出したということになっている。)

ではなぜシリコンバレー銀行で急激な現金需要の高まりがあったのかというと、国債ではなく別の何かへの投資に失敗していたのではないかという憶測が生まれる。

国債というのは余程格付けの低いリスクの高い国のものでもなければ普通は買って損をするものではなく、利子が定期的に支払われ、満期まで持っていれば元本は返ってくるのだから、わざわざ下落している真っ只中の国債を売って巨額の損失を確定させてまで現金を用意する必要があった理由が何かあった。

それは国債価格の下落を受けて銀行の資産価値が一見すると含み損が発生したため、預金者がパニックを起こして急いで引き出そうとし、銀行側はそれに対応するために現金を用意せざるを得なかったからではなく、何か他に理由があって現金を用意し、経営者は破綻させた方が自分達にとって得だと思ってあえて破綻させたのではないかと思える。






自民党は「貯蓄から投資へ」と執拗なまでに喧伝し続けているが、これは「今は銀行に預金なんてしておくと危険だよ。だから積極的に投資に回した方がいいの。」と言っているのだろう。

岸田はイギリス・ロンドンの金融街シティーでの講演で「インベスト イン キシダ(岸田に投資を)」などと言い、「岸田首相は自ら掲げる『新しい資本主義』の具体像を初めて示し『貯蓄から投資』へのシフトを進め投資による『資産所得倍増プラン』を進めると訴えました。」とのことだが、これは非常にペテン臭い話にしか聞こえない。

なぜなら、岸田は「成長を続け、しかも安定している日本市場、安全・安心な日本企業・製品・サービスは買いだ」と日本への投資を呼びかけておきながら安倍政権から続く「貯蓄から投資へ」「資産所得倍増計画」という上手い儲け話を踏襲しており、言っていることとやっていることが逆になっている。


日本人が銀行にカネを預けないようにして積極的に何かの投資に回してくれれば当然、その投資先は潤うことになるが、投資をした側は大損するリスクを負うことにもなる。

2022年時点で日本における個人の金融資産は2005兆円あり、ジャパンマネーをいかにして引き出すかということが喫緊の課題なのだろう。

大抵、上手い儲け話などというものはペテンであり、堅実な人物であればそんなことを訴えることはしない。

岸田は単に日本を欧米に売っただけなのだろう。

そして岸田を動かしている官僚こそ非常に胡散臭い連中のように思える。
 

【参考】

将来にわたって個人の金融資産を増やしていくためには、現預金から投資へと個人の資産がシフトし、それが促す持続的な企業価値向上の恩恵が個人にも及ぶという好循環を作り上げる必要がある。政府はこうした考えのもと、「貯蓄から投資へ」というスローガンを長らく掲げてきた。

現政権も、国民の資産を「貯蓄から投資へ」シフトさせることを通じて、投資から得られる所得、資産所得(財産所得)を増加させる「資産所得倍増計画」を掲げている。年末にその具体策の策定を予定している。(2022/09/02の記事)