6年以上前の時点で資本主義は限界であり、もう戦争でもやらないと成長できないと言っている人物がいる。
そしてそれは中東で起きるのではないかとのことだったが、実際には東欧で起きた。
さらに、今度は極東でも起きようとしている。
今起きていることは恐らくある程度は計画的なものだったのだとは思うが、現時点では戦争で儲かっているのはエネルギー業界ぐらいであり、それ以外の多くの産業は儲かるどころか瀕死の状態に陥っている。
この戦争の直前に新型コロナウイルスによるパンデミックが起き、それだけでも経済的、人的に甚大な被害があったが、今回の戦争でさらに追い打ちを掛けられた格好になる。(mRNA技術によるワクチンと新たな治療薬によって莫大な利益を得た製薬会社もある。)
つまり、現状ではエネルギー業界と医療業界ばかりが異常な儲けを叩き出し、それ以外は犠牲になっているような状況となっており、非常にいびつで極度な二極化が現在も進行中となっている。
そして、今後は軍需産業も儲かる見込みとなっているようだ。
ウクライナでは既に人口の半数近くが国外に脱出したが、それはある程度カネを持っている人達であって、それ以外の人達はどうしようもないからとどまっているのだろう。
貧乏であったり、その土地に財産があるために全てを捨ててまで出ていくつもりはないといったことが理由であり、愛国心が強いからロシアと戦っているというわけではないように思える。
国外に脱出したウクライナ人達はウクライナでの戦闘が終結し、復興が始まればまた国に戻ってくる。
そしてまた別の地域が戦場となる。
その最有力候補として提案されているのが極東であり、どうやら中東ではないらしい。
ロシアはウクライナの全領土を支配することはできないようであり、そろそろどこかで妥協してくるはず。
ウクライナ西部以外は攻め落とそうとしたようだが、これまでの侵攻の状況を見れば無理があることは承知しているのだろうから、やはりクリミアとドンバス地方だけ確保できればそれでいいと思っているはず。
すでにエネルギーで儲けも出ている。
それ以外の地域の住民は反ロシア感情も強く、支援も続いていることから、様々な面で支配することが困難になっている。
しかし、ウクライナの現政権は特にクリミア奪還に拘っているようであり、欧米諸国とその属国の支援もまだ続くようであるため、ロシア側はこの戦いをやめたくてもウクライナ政府と欧米がやめさせてくれないのだろう。
欧米は明らかに戦争を望んでいる。
ロシアも戦争をやって上手くいっている。
欧米は既にウクライナ後を見据えており、新たにどこかで「ウクライナ型の支援」をすることで戦争特需や復興需要を見出そうとしている。
不謹慎だが、それがロシアのように上手くいけばいいが、必ずしも儲かるとは限らず、天罰によってより悲惨な状況に追い込まれるのかもしれない。
【参考】2016/07/08の東洋経済の記事から抜粋
・兵器産業こそ理想の産業
内田:資本主義的な観点で言えば、兵器産業こそ理想の産業なんです。「自動車産業は裾野が広い」とよく言われますが、兵器産業も同じで、その下に鉄鋼、プラスチック、ガラス、ゴム、コンピュータ、石油、ゼネコンと、ほとんどすべての産業がぶら下がっている。
加えて、ふつうの商品は市場に投入されると、ある時点で飽和してしまうから、需要が鈍化するのだけれど、兵器というのは市場に投入されればされるほど、市場が拡大していく。だって、兵器の主務は他の兵器の破壊ですからね。同業他社製品どころか、自社製品だって、ばんばん破壊してニーズを作り出してくれる。過剰生産で市場が飽和するということが絶対にない「夢の商品」なわけです。
ですから、ありえない経済成長に最後の解を求めた人たちが「戦争をやろう」「兵器を作ろう」ということになるのは、目先の利益を考えたら当然のことなんです。戦争をして欲しい、ただしうちの近くは困る。うちの裏庭じゃないところでなら、いくら戦争をやってもらっても構わない、と。日本では安倍政権が兵器の輸出を後押ししているから、産業界では今頃、「どこかで戦争が始まりますように」と祈願しているんじゃないですか。
・本物の天罰が下る
白井:はい、「そろそろどこかで戦争でも起きてくれないことには、日本経済も立ちゆかなくなってきますなあ。さすがに日本の国土でドンパチやられたのではたまらないから、私はインドあたりで戦争が起きてくれれば、我が国としては一番有り難い展開になると思ってますよ」とズバリ言った大会社の社長さんがいるそうですね。思うのですが、この社長さんは、他の人よりも少し率直なだけなのです。自覚のないまま、事実上この思想に賛成し、加担しているという状況こそ、最悪ですね。
一番有望なのは中東ということになるでしょう。中東で大戦争が起これば、大量破壊で復興需要が生まれるので、世界経済に成長の余地が生まれてくる。今の中東情勢を見ていると、もしかするとそれがもう間近に迫っているのかもしれません。
ただ、「どこかよそでやってもらえれば」なんて、そんなに甘いものではないでしょう。何かしら日本にも飛び火してくるはずです。それこそグローバルな連鎖のリスクが高まっていますから。
内田:でも、そこで本物の天罰が下るかもしれませんね。いや、暗いなあ。いずれにしても、とんでもない話でね。「うまくいこうがいくまいが、とにかく成長政策を続ける」という無理筋の思考そのものから脱却しないといけないですね。
【参考】
オルバン氏によれば、対ロシア制裁は「本来ならロシアを襲うはずだったが、ヨーロッパを襲った」と述べた。 「私たちはロシアから資源と資金を奪ったのではなく、ロシアにさらに多くの資金を提供し、ロシアのエネルギー供給は 、金額ベースで 70%増加しました」と彼は言った。 オルバン氏は、エネルギーコストが急激に上昇しているため、EU 諸国の多くが蔓延するインフレを抑えるのに苦労していると付け加えた。
・追記
【参考】
オースティン氏は同長官に任命された後、レイセオンの取締役を辞任し、「今後4年間、レイセオンにかかわるすべての問題から身を引く」と約束し、金融資産を売却することにも同意した。
しかし複数の米メディアは、同氏が国防長官に就任して以来、レイセオンに23億6000万ドル(約3100億円)もの契約を発注したと報道している。
レイセオンはパトリオット・ミサイルやトマホーク・ミサイルだけでなく、空対空ミサイルやレーザー誘導弾、携帯式防空ミサイル・スティンガーも製造しており、ウクライナにも販売している。
軍需産業の命運として、戦争が勃発すれば売上が上がり、株価も上昇して利益を得るという構図がある。
レイセオンも例外ではなく、ウクライナ戦争で利益を伸ばしていることは事実である。