ウクライナの革命
現在置かれているウクライナの状況は2004年のオレンジ革命に続くユーロマイダンと呼ばれる革命から始まっているらしい。
そのユーロマイダンの直後にロシアはクリミアに侵攻している。
このウクライナの革命と、その後のロシアの軍事侵攻について、ロシア側の主張として以下のような記事がある。
「ロシアは、アメリカがブダペスト覚書に違反していると言い出して、ユーロマイダンはアメリカが扇動したクーデターだと述べている」
「新たな国家が起ち上がった時で、しかしこの(新たな)国家との、この国家に関しての、義務的な文書には何ら署名していない」
クーデターを起こして現職の大統領を追放している時点で武力行使しているのだから、ロシア側からすれば先に武力行使したのはウクライナの方だと思ったのかもしれない。
本当に当時のアメリカ政府が親ロシア派のヤヌコーヴィチ大統領を追放するクーデターを扇動したのかどうかは分からないが、そういったウクライナの革命がロシアを大いに刺激したことで、ロシアがクリミアに軍事侵攻したり、ドンバス戦争が起きたり、現在の全面侵攻に発展しているのだろう。
オバマ政権はプーチン大統領がどういう人物なのかを知っていたのかどうかということになるが、オバマ大統領(当時)はクリミア侵攻を受けて「3月1日、アメリカのオバマ大統領はロシアのプーチン大統領と電話会談を行い、強い苛立ちを表明した」とあり、この電話会談が驚きによるものなのか、それとも演技だったのかは分からない。
つまり、当時のアメリカ政府はプーチン大統領がウクライナのクーデターや革命などに対し、軍事力を行使することを予想していたのかどうかや、アメリカ政府がそれに関わっていたのかどうかという点も無視できない。
ロシアのクリミア侵攻 - Wikipedia
結局、ウクライナは大きい現状変更を試みたことによりこのような大惨事に見舞われた。
一見するとクーデターに成功してロシアよりも西側諸国の方に接近することができたように思えるが、実際にはロシアの逆鱗に触れることになり、限定的な戦いに留まらず、全面戦争の様相を呈している。
一部ではオバマ政権の国務次官補がクーデターを扇動したとする情報が出ており、本人もそれを認めているらしい。
さらに、ウクライナ国内で戦っているのはウクライナ軍だけではなく、実はNATO軍もウクライナ軍と合流してロシア軍と直接戦闘しているという情報まである。(NATO軍がウクライナ軍の戦闘服を着て、ウクライナ軍として戦っていると書かれている)
それが事実なのであればこれは紛争ではなく、NATOが直接介入したNATOとロシアとの戦争ということになるのだろう。
【参考】
私がマイダンクーデターと呼びマイダン革命と言わないのは、選挙で合法的に選ばれた親露派のヤヌコーヴィッチ大統領を武力により放逐した「民主革命」の名を騙った実質的なクーデターであったからである。
2013年12月に起きたユーロマイダン広場でのデモ隊の民衆と当時のヤヌコーヴィッチ政権側の警備部隊の間に、極右武装勢力が銃弾を撃ち込み、デモ隊に潜入した過激派がデモ隊を暴徒化させ、その後親露派のヤヌコーヴィッチ大統領をロシアに逃亡させるに至った経過も判明している。
同クーデターを企画し支援したのは、当時のビクトリア・ヌーランド米国務次官補などであり、彼女が現地に入りデモ隊を激励しているビデオも、クーデター後の新政権の指導者人事を指名しているウクライナ駐在米大使との電話内容も確認されている。
ヌーランド自身も米議会で、電話内容を否定していない。
─── 増援兵力の多くは市街戦に不慣れな特殊部隊と訓練不足の予備役兵のため損害が続出し、それを補うためNATO各国の軍人が数千人規模で契約軍人などとして宇軍の戦闘服で戦闘員として送り込まれた。
革命によつて共産党体制が崩壊し、その後、NATOやEUに加盟した国も確かにあるが、ウクライナの場合は他の中欧・東欧の国とは事情が異なっているのかもしれない。
ウクライナもソ連解体の流れの中で独立を果たしているが、さらに過激なことをしてしまったことが良くなかったようだ。
つまり、ロシア連邦の一部ではないにせよ、親ロ派ではあったのだから独立後も西側諸国というわけではなかったが、その後、オレンジ革命やユーロマイダンなどの革命が起き、さらにNATO加盟やEU加盟の方針を打ち出したことで限度を超えてしまったらしい。
その上、ウクライナの現政権はドンバス地方でドローン攻撃をしたりアゾフ大隊が大暴れしていたこと、親露派の議員を国家反逆罪で拘束したこと、クリミア奪還を水面下で進めていたことなどもあったため、これが全面侵攻の直接的なきっかけにもなったのだろう。
ベラルーシやカザフスタンも独立国ではあるが明らかに親ロ派であり、西側諸国の勢力ではない。
経済的にもロシア側になっている。
ウクライナにもそのような関係を期待していたのだろう。
【参考】
コロナ対策、経済対策、腐敗撲滅に失敗したという非難をかわすため、ゼレンスキー氏はロシア敵視政策を強める。ウクライナ当局は昨年5月、プーチン氏と親交が深い親露派の野党政治家ビクトル・メドベチュク氏を国家反逆容疑で拘束し、裁判所が自宅軟禁に置いた。
同年8月には欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)加盟国など40カ国余の代表を招き、クリミア半島返還を目指す国際枠組み「クリミア・プラットフォーム」の設立会議をキエフで開いた。
ゼレンスキーは英雄か、世界を大戦に巻き込むポピュリストか|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)
【参考】
2021年10月26日、ウクライナ東部の紛争地域ドネツィク州グラニトノエにて、ウクライナ軍は親露派武装勢力に向けてトルコから調達したドローンのバイラクタル TB2による攻撃を初めて実戦で行った。
ウクライナ国防省の主張によると、親露派側からの砲撃でウクライナ軍側に死傷者が2人発生したことに応戦したものである。
ドローン攻撃により親露派は死傷者こそ出なかったが、122ミリ榴弾砲1門が破壊された。同年7月に強化されたドンバス戦争の停戦協定により、ドローンを含む航空戦力の使用は禁止されているため、ロシアは停戦協定違反としてウクライナを即日非難し、協定に関わったドイツも翌日にウクライナを非難した。
同年10月29日、ゼレンスキーは欧米諸国から忠告を受ける中、「領土と主権を守っている」という声明を発表した。
国際関係研究者の北野幸伯は「ドローン攻撃は、ロシア大統領・プーチンに『親露派を守り、ウクライナのNATO加盟を阻止するために軍事行動をする』という大義および口実を与えることになった」と指摘した。
ドイツとフランスは以前からロシアとの対話路線の姿勢を示していたが、最近でもドイツ、フランス、バチカン市国が改めて停戦を提案している。
また、クリミアの民族別人口比率(2001年時点)を見ると、ロシア人が58%、ウクライナ人が24%であることから、以前からロシアに近い地域だったらしい。
ネオナチ
ウクライナには一部、極右、人種差別、白人至上主義としてのネオナチの存在があり、その存在自体はロシアのプロパガンダではないと言われている。
人種差別については主に黒人、アジア人、アラブ人が対象とされ、イスラエルや西側諸国から強く批判されていたという。
ネオナチはウクライナの行政、司法に関与し、正規軍の中核にあり、ウクライナは世界の極右やネオナチのハブ的な存在となっていることから、イスラム国のように世界中にネットワークを広げて制御不能になると懸念されていた。
しかし、ウクライナのネオナチはロシアによるウクライナ全面侵攻後にロシアのプロパガンダであるとされるようになった。
【参考】
ウクライナ政府は、「極右民族主義」や「ウルトラナショナリズム」としての意味での「ネオナチ」と呼ばれる勢力の政権や行政や司法への関与、また「ネオナチが正規軍に組み込まれている世界で唯一の国」としてNATOやEU加盟国より批判されていたが、2022年ロシアのウクライナ侵攻後、「ネオナチ」の問題をロシア政府による侵攻プロパガンダとされ、日本などではウクライナ政府とネオナチ組織の関係性は陰謀論であると報道された。
【参考】
ウクライナは「ネオナチが正規軍に組み込まれている世界で唯一の国」だと下記リンク先の記事に書かれているが、それはドンバスでの戦いで活躍したアゾフ大隊の功績が認められ、正規軍に編入されたことを言っている。
【参考】
東欧のサッカーにおけるレイシズムについて
そのアゾフがネオナチであることが知られているが、今回のロシア軍によるウクライナ全面侵攻を受けて、なぜか公安調査庁が「国際テロリズム要覧2021」からアゾフ大隊に関する記載(「ネオナチ組織がアゾフ大隊を結成した」)を削除している。
恐らく、岸田政権が中立的な姿勢を示さず、ウクライナ側に立つ意味合いがあってウクライナ正規軍にネオナチが含まれている事実を揉み消してしまったのだろう。
「国際テロリズム要覧2021」中の「アゾフ大隊」に関する記載の削除について | 公安調査庁 (moj.go.jp)
ウクライナにはS14(C14、シーチ)と呼ばれるネオナチ組織が実在し、「S14は米国務省からテロ組織と指定されている極右組織」であると言われている。
また、全ウクライナ連合「自由」というウクライナの民族主義政党も実在し、ユーロマイダンの際にはテロ組織であるS14とも関りがあったと言われている。
それらネオナチと直接的な関わりはないものと個人的には思っているが、youtuberとしての情報発信や日本との繋がりを活かした現地での活動を行うウクライナ人(偶然ながらネオナチスキンヘッドと似た風貌)もおり、そういった人の話を聞いていても、ロシア人という人種を憎む発言が多く見られる場面もあり、ウクライナ軍とも間接的に関わっている様子がyoutubeで見られることもある。(その人物の祖父は政府機関の要人であるため、一般市民としてyoutuberなどをやっているというより、活動家として活躍しているといった印象を受ける)
その人物の関係者が軍の野営地のような場所に訪問し、「これは日本からの支援物資だ」と言い、差し入れを運び入れている場面も見たが、日本はウクライナ軍を支援しているわけではない。
ネオナチスキンヘッド集団はウクライナ以外の国でも一部、確認されており、大使館などでも注意喚起していることがある。
(過去にはアメリカやイギリスでもネオナチスキンヘッド集団が存在し、問題となっていたようだが現在の状況は不明)
クリスチャン・ピッチョリーニ: 私がアメリカのネオナチ運動に傾倒し 抜け出すまで | TED Talk
対立する反ファシズムと反イスラム主義 - 英国ニュースダイジェスト (news-digest.co.uk)
【参考】
かつて懸念されていた事象が、愛国者やネオナチ、スキンヘッドと呼ばれる外国 人嫌いを背景とする若者による集団暴行事件です。キエフのみならず、ウクライナ各都市で発生し、一見して外国人と分かるアフリカ系、アジア系、アラブ系などが主なターゲットとされていました。(被害者はそのほとんどが男性で、被害者が女性の場合は、言動によるハラスメントが主流でした。) 犯行場所は、主に地下鉄駅周辺、マーケット、広場、大学敷地内などが多く、その手口は極めて残忍で、少数のターゲットに集団で且つ容赦なく襲いかかるものでした。最近はこのような事件は報告されていませんが、注意が必要です。 なお、日本人が被害に遭った集団暴行事件は、過去8年間で9件が報告されています。
安全の手引き 在ウクライナ日本国大使館
anzen_no_tebiki_ua2_201506.pdf (emb-japan.go.jp)
【参考】
1 最近,スロバキア国内におけるスキンヘッドの集団による問題行動が,新聞やテレビなどで報道されています。彼らは,「ネオナチ」などと呼ばれる集団で,移民排斥などを主張しており,スロバキアの地方都市においては,しばしば見られる模様です。
2 同集団の主なターゲットは,ロマ人や反ネオナチ活動家とみられ,これまでのところ,日本人やアジア人に対する被害は確認されていません。
3 外国人に対する反感はどの国においても多かれ少なかれ見られるものであり,念のため,不要不急の深夜の外出は控えるともに,スキンヘッドの集団が近づいてくる等不穏な動きがある場合には,早めにその場を立ち去るなど,注意して下さい。
スキンヘッド集団について | 在スロバキア日本国大使館 (emb-japan.go.jp)
【参考】
(2016年)5月5日,警察は,地下鉄内で外国人を暴行して怪我をさせたとして,ネオナチグループ「スキンヘッド」のメンバーである10代の男4人を逮捕した。被疑者らは,地下鉄のスコベレフスカヤ駅とビツェフスキー・パルク駅の間において,乗客のタジキスタン人男性に殴る蹴るの暴行を加えたほか,ガススプレーを顔に噴射して傷害を負わせ,現場から逃走したもの。
ロシアのネオナチは ナチがいい!と言っているのではなく、ロシア人がイイ!と主張しています。
ロシアのネオナチ -ロシアにもスキンヘッドのネオナチがいて、いろいろ暴れた- | OKWAVE
【参考】
・歓楽街での注意点
自分の飲み物等はよく見張っていること。
麻薬の取り引きをしているようなディスコには行かないこと。
繁華街には、犯罪グループや薬物使用者、凶器所持者、外国人排斥を標榜するグループ等がいる場合もあるので、絶対に関わらないこと。
明らかにネオナチ風な人々(スキンヘッドに黒っぽい服装、危険な香り)とは、絶対に関わらないこと。
ベルリン(ドイツ):海外旅行 都市別安全情報|OTOA [ 一般社団法人 日本海外ツアーオペレーター協会 ]
フェスに向かう男たちの出立ちは、ドレスコードが決められているかのようだった。スキンヘッド、ジーンズ、ドイツ語で何か書かれた黒いTシャツ。男たちは、可能な限り威嚇的に歩いている。力んで歩くその姿は、まるで自分の内側にある憎しみを胸のなかにぎゅっと押し込んでいるかのようだった。
【参考】
1989年以来、ネオナチスキンヘッドによる不穏な活動が活発化しており、褐色系の肌を持つ人々に対し、理由もなく手当たり次第に暴力をふるうケースが増えていますが、主要観光エリアで襲われることはあまりないでしょう。
全員スキンヘッドに迷彩パンツ、黒の編上靴にナチスドイツの紋章や旧ドイツ軍のヘルメットなどが描かれた黒シャツを着ていました。一人は鉄パイプのようなものを持っていました。一緒にいたドイツ人の主人が「あれはネオナチだ」と言っていたので間違いないです。
『ネオナチ集団に注意を!』by エミリア☆R|カレル橋のクチコミ【フォートラベル】 (4travel.jp)
(※全てのスキンヘッドがネオナチというわけではない。)
同じスキンヘッドだがネオナチではない。彼はチェコのプラハでPunkショップを経営し中欧東欧で精力的に活動している捷克人朋克(チェコ人パンク)だ。
捷克人朋克: 南雲海人(Nagumo Kaito) (way-nifty.com)
【参考】
ポーランドでネオナチのスキンヘッドに囲まれて、ボコられた夜・・・奴らの言い分は「日本もドイツも仲間だったろ?つか、日本もドイツも憎しみの対象でしかない!」
yoshitomo nara / 奈良美智さんはTwitterを使っています / Twitter
勇気ある若者たちが、スキンヘッズ(※ネオナチの一派)に攻撃されながらもマーチを主催している。以前、800人ものファシストたちが30人ほどのマーチする人たちを攻撃していたんだけど、最近では比率が逆転して、2000人のマーチに対して、2~300人のファシストっていう構図になってる。
日本初レズビアン&クィアカルチャーWebマガジン|TokyoWrestling.com
このように、ヨーロッパ(特に中欧と東欧)では未だにネオナチの存在が数多く報告されているが、ウクライナの場合はそれが政府機関や軍にまで入り込んでしまっている点で他とは異なっている。(日本でもカルトが政府与党や政府機関に入り込んでいるため、他人事ではないが)
一方、ロシアの情報戦に関するNATOの報告書を執筆したキア・ジャイルズ氏は、ロシアは「ヨーロッパにおける自分たちの敵や被害者に『ナチス』のレッテルを素早く貼りがち」と述べている。
ウクライナの民族主義者は少数派であり、多くのウクライナ人は極右政党などを支持しているわけではないとのこと。
【参考】
ウクライナ極右団体とネオナチの関係については、以前から懸念する声が出ている。特に、国家主義的な「アゾフ大隊」について不安視する声が目立つ。同大隊は、ウクライナ東部の紛争が最も激しかった時期にその名が知られるようになり、現在はウクライナ軍の一部隊となっている。
ウクライナで極右は依然として少数派のままだ。2019年の議会選挙では、全ウクライナ連合「自由」(スヴォボダ)など極右のグループや候補者は、議席確保に必要な最低得票率5%を大きく下回った。
クリミア危機の時のウクライナ最高議会に全ウクライナ連合「自由」も名前を連ねており、その時点では政治に影響力を少なからず持っていたのだろう
2019年以降のウクライナ最高議会の議席数を見ると、圧倒的に「国民の僕」が多数派であり、第8回:2014年 - 2019年からは既に全ウクライナ連合「自由」は議席を確保することができなくなっている。
(「国民の僕」があまりにも圧倒的すぎるため、この与党の構成員がどのようになっているのかといった詳細は不明)
いくらゼレンスキー氏がドラマで大統領役を好演して視聴者が「祖国の救世主」になる人物だと思ったのだとしても、政府与党「国民の僕」は完全に一党独裁状態になっており、いくらなんでも政治経験のない人物の政党としては巨大過ぎる。
ウクライナではこの党だけでどんな法案成立も予算編成も可能になり、行政にも司法にも軍にも相当強い力を持っていることになるのだろう。
【参考】
ドラマではウクライナが実際に直面する問題が取り上げられた。視聴者の90%がゼレンスキー氏の演じる大統領に共感を持った。有権者はゼレンスキー氏が祖国の救世主になるという幻想に酔い、現実と仮想の境をなくしてしまう。
ゼレンスキーは英雄か、世界を大戦に巻き込むポピュリストか|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)
アメリカは自分達の敵を潰すためであれば誰とでも組むということを昔からやっているが(例:タリバン、アルカーイダ、イスラム国など)、今回もまた、アメリカ国務省が自らテロ指定している組織(ネオナチ)といった危険な存在と組んでおり、これが吉と出るか凶と出るか、微妙な感じがする。
アメリカは当初、敵と戦わせるためにそういった存在を支援するが、後になってから始末に負えなくなってくると自分で育てた軍を自分で破壊することもよくある。
アメリカはそういった存在にいくら支援していようとも同盟を結んでいるわけではないのだから、それらは味方であるとみなされているわけではない。
(アメリカはアルカイーダを育て、アルカーイダから攻撃を受け、アルカーイダを殲滅し、シリアで再びアルカーイダを支援した。ウサーマ・ビン・ラディンも当初、アメリカから支援を受けていたとされるが、結局、アメリカによって殺害された。)
「ジャーナリストのジェイソン・バークによれば、ビン・ラーディンが設立したMAKもアメリカから提供された資金を受け取っていた。」
あるアメリカの当局者はアメリカ(CIA)がフランケンシュタインの怪物(ビンラディンやテロ組織)を生み出したと言っている。
CIAが作成したフランケンシュタイン|イエメン|ガーディアン (theguardian.com)
ターリバーンは、軍事面および資金面でパキスタン軍の諜報機関であるISI(軍統合情報局)を通してCIAの支援を受けていた。
アメリカのアフガニスタン侵攻とは、アメリカ同時多発テロ事件の首謀者である国際テロ組織「アルカーイダ」指導者のウサーマ・ビン・ラーディンを匿っているとして、アメリカがアフガニスタンに侵攻し、同国のタリバン政権を崩壊させた事件である。
日本の中立性
決して間違えてはならないのは、日本は基本的にはどこの国に対しても人道支援をするべき立場であって、特定の組織・団体やどこかと敵対関係にある軍などを支援しているわけではないということ。
日本はウクライナに限らず、南スーダンでもソマリアでもシリアでもアフガニスタンでもパキスタンでも、人道危機に陥っているあらゆる国の一般市民に対する支援をする立場にあり、紛争などに直接的にも間接的にも一切関わってはならないということであるはず。
「お前はソマリアとかシリアとかがどういう国なのか分かってるの?」と言われそうだが、日本は人種的偏見のない国だと思われているのだろうし、基本的にそのはずなのだから、極右勢力や軍などに対して支援してしまうことはオカシイことになるが、一般市民に対しては国に対するイメージなどで支援するか否かを判断するべきではないのだろう。
海賊やテロリストを支援することは救済にはならないが、どこの国でも犠牲になっている一般市民というのは存在している。
腐敗認識指数 国別ランキング・推移 - GLOBAL NOTE
日本はアメリカと軍事同盟を結んではいるが、紛争問題については中立であり、アメリカが軍事的に支援する国に日本も軍事的に支援するわけではないはず。
(岸田政権はそういった慣例を破り、欧米に同調し過ぎる傾向があり、ロシアへの対応を誤っているように思える。小泉純一郎によるイラク派兵の時も中立的な立場を取らなかったが、今回はその時とは次元が違う。)
【参考】
マッカーサーは日本をスイスのような中立国になることを標榜していたとされる。
また、国際法学者の磯村氏は、日本の立場として「軽武装中立」を提案している。
核武装は不要
シカゴ大学政治学部教授のミアシャイマーは、かつてウクライナに存在していた核兵器はプログラミングすることでアメリカ以外の国(ロシアなど)へも発射することが可能だったと主張しているが、確かにそれを可能にすることができるエンジニアと攻撃的現実主義の権力者がいれば核弾頭を搭載したミサイルを実戦配備したり、どこへでも発射できるようにウクライナの都合で核兵器を利用することができたのかもしれない。
しかし、それをロシア、アメリカ、イギリスが恐れたからこそブダペスト覚書によってベラルーシ、カザフスタンと共に核兵器を放棄させたのだろう。
そして、特にウクライナには今もナショナリストが存在し、政府や軍の中枢にも影響力を持っているらしく、信用できる国であるとはみなされていないように思える。
それらウクライナのナショナリスト達はロシア人を憎み、「ロシア人は殺戮を楽しむ民族」といった人種に対する偏見を持っており、ロシアとどのようにすればうまく付き合っていけるのかといった考え方を持っていないように思われる。
つまり、もしウクライナが核兵器を放棄せず、それを実戦配備した上でどこへでも発射できる態勢が整っていた場合、やはりロシア、アメリカ、イギリス、さらには多くの西側諸国は「ウクライナが核兵器を保有していることで抑止力が働き、戦争を回避することに繋がるため安心できる」とは思われなかったのではないか。
そして最悪の場合、ウクライナとロシアとの間で核戦争が起きていた可能性もゼロだったとは言えないはず。
そもそもウクライナは国連安全保障理事会の常任理事国ではなく、それほどまでに巨大な核戦力を保持することが果たして国際社会から認められていたのかどうかという点でも、やはり攻撃的現実主義や核武装論を疑問に思う。
仮にウクライナが核兵器を放棄しなかった場合、それはどういう過程を経て核保有国となったのかということを想像すると、
「我々はロシアもアメリカもイギリスも信用しない。核保有国であるからこそ侵略されずに済み、戦争を回避できるという立場を取る。我々から核兵器を取り上げるのであれば、我々の主権と領土の保全を否定することになる。無理やりにでも核兵器を奪うというのであれば、我々はそれを試みる者に対し、核兵器で対抗し、自らの主権と領土を守る」
といったウクライナ側の要求を呑むことになる。
一言でいえば、「核を奪い取ろうとするならお前らに核をぶっ放すぞ」といった脅しをしているような形で核保有国であることを認めさせることになるように思える。
(幸いにも当時のウクライナ政府はそのような過激派ではなかった)
最近ではロシアが核兵器で脅しているといった報道ばかり目にするが、ロシアも安全保障理事会の常任理事国であり、自国の存亡の危機にさらされるようなことがない限り、核兵器を使わないと明言しているし、簡単に使ってしまうような国でもないはず。
だからこそ、「ロシア軍を弱体化させる」だとか「ロシアを敵として認定し、国際社会の脅威と化したロシアと戦わなければならない」などといった極端な発言や方向性は訂正するべき。
(ウクライナには1656発~4300発程の核弾頭があったとされるが、それらは実戦配備されていて、いつでもアメリカへ向けて発射できる体勢だったわけではないのだろうから、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタンにあった核弾頭は保管されていただけであり、ソ連中央政府=ソ連共産党中央委員会はそれらの地域に預けていた核兵器を返してもらったということになるのだろう)
【参考】
アメリカの国際政治学者ジョン・ミアシャイマーは1993年(平成5年)の夏の時点で、「ウクライナは1656発の戦略核兵器を全て残している。それらはアメリカを狙ったものだが、ロシアへ発射するようにプログラミング可能である」と解説した。具体的には、「130基のSS-19S(各6弾頭)、46基のSS-24S(各10弾頭)、30機のBear-HおよびBlackjack(合計416発の核弾頭を搭載可能)であり、合計すると1656発の戦略核兵器になる」と解説した。
【参考】
国際政治学者のアンドリー・グレンコによると、1991年(平成3年)にウクライナがソ連から独立した時点で、ウクライナが保有していた核兵器は、176発の大陸間弾道ミサイル、1500発以上の戦略的核弾頭、2800発以上の戦術的核弾頭であった。すなわち、「米露に次ぎ、世界第三位の核戦力であり、中国、イギリス、フランスよりも多かった」という。