この記事ではゼレンスキー大統領が是が非でもNATOに加盟したくてミンスク合意を反故にしたと書かれているが、個人的には疑問がある。
ゼレンスキー大統領は元々役者(コメディアン系)であり、政治に関しては素人であるように思えるし、人種的にもウクライナ系ではないため、民族的な意識が強いとも思えない。
つまり、何者かによって動かされているのではないかという印象を受ける。
父親は大学の研究者で母親はエンジニアであり、よく噂されているような莫大な資産を隠し持つ大富豪というのは恐らくフェイクニュースなのだろう。
俳優業で成功を収め、自分で制作会社「第95街区」を設立し、かなりの稼ぎはあり、ウクライナ軍へ多額の寄付をしていたこともあるようだが、フォーブスの記事にもあるように、ゼレンスキー大統領はビリオネアではない。
祖父はソ連軍でナチス・ドイツと戦ったとされているが、その時代であれば多くの祖父がそうしていたはずであり、それだけのことであれば特別な影響があったとも考えにくい。
人物として見た場合、それほど強い政治思想があるようには思えず、自らがロシアの外圧からウクライナを解放すべく、革命家のような存在として国を率いるつもりでいたのではなく、運悪く巻き込まれてしまったのではないかといった感覚がある。
どうしてもNATOに加盟することに拘り、ロシアを刺激し、対立構造を鮮明化することで戦いになることも厭わないといった覚悟や戦争屋のような強欲さのある人物とも思えない。
それは意図的にウクライナを紛争地帯にすることになり、ウクライナ側が望むことであるはずはない。
(顔を見ても革命家や戦争屋のような雰囲気ではない)
そのような人物が魔王のような奴を相手に国を挙げてボロボロになりながら戦っている。
意図的に紛争地帯を作り、戦争を起こし、支配地域を拡大し、大儲けして景気回復してきた国がどこかに存在するのだとしたら、いくつか思い当たるふしがある。
そうやっていつも対立を煽ってどこかを犠牲にしてきた国の存在について、日本も他人事ではないはず。
本人もまさかウクライナの大統領になってから2年9か月後に自国の領土が蹂躙され、多くの国民が家を追われ、殺され、苦しむことになるとは夢にも思わなかったはず。
恐らく、この人物がこの時期にウクライナの大統領になったことは偶然ではなく、何者かが仕組んだのだろう。
そうすることによってウクライナ政府を懐柔し、自分達の計画を実行に移しやすくなると考えた不逞の輩がどこかにいる。
日本も安倍や岸田のような懐柔しやすい人物を首相にすることで着々と戦争の準備(そのための法整備や予算編成、「台湾有事は日本有事」といった既成事実の積み上げ)をし続けている。
ロシアという国とは付き合い方というものがあり、何でも欧米に付き従うようなことをしていると、誤解や不必要な対立によって戦争が起きやすくなってしまう。
元々、NATOというのは、
「ソ連を中心とする共産圏に対抗するための西側陣営の多国間軍事同盟であり、『アメリカ合衆国を引き込み、ロシアを締め出し、ドイツを抑え込む』」
という目的で設立された軍事同盟であり、当時の西ドイツが再軍備およびNATOへ加盟したことにより、それに対抗する形でソ連を中心とする東側諸国がワルシャワ条約機構を発足させた。
ワルシャワ条約機構 - Wikipedia(既に解散している)
この一連の動きによってヨーロッパは東西に分裂し、「西側諸国(アメリカ合衆国を盟主とする資本主義・自由主義陣営)と、東側諸国(ソビエト連邦を盟主とする共産主義・社会主義陣営)との対立構造」が生まれた。
その後、ソ連が解体されて東欧が不安定化し、現在に至る。
現在、ウクライナ、ジョージア、フィンランド、スウェーデンがNATO加盟を目指しているが、そうなってしまうとロシアからすれば完全に緩衝地帯がなくなってしまい、わざわざ極度に緊張状態を高めることになってしまう。
アメリカの現在の国防長官はヨーロッパ方面の専門であり、アメリカの民主党政権はヨーロッパの揉め事に首を突っ込む傾向があるが、それも今回の問題と無関係とは考えにくい。
アメリカという国はヨーロッパから出ていった移民が元になって作られた国であり、「外交姿勢には伝統的な孤立主義があった」とも言われている。
恐らく、多くのアメリカ人にとって、ウクライナ危機はそれほど大きい関心事ではなく、民主党政権が勝手にやっていることぐらいにしか思っていないのではないかという感覚がある。
ゼレンスキー氏の支援者であるコロモイスキーはアメリカ国務省のブラックリストに掲載されているが、実態としてはロシア側にとって不都合な人物であり、ロシア軍と戦う勢力にかなりの資金提供をしている。
アメリカとロシアのどちらからも警戒を要する人物に指定されるというのは珍しい。
ゼレンスキー氏は大統領選に出る直前に大統領役を演じるドラマに出演していたが、本当の大統領選に出馬したらなぜか圧勝し、本当の大統領になった。
そのドラマ「国民の僕」はコロモイスキーが70%の株式を保有する1+1メディアグループのテレビ局「1+1」で放送されており、コロモイスキーは自分のテレビ局で主演する俳優にドラマのタイトルと同じ名前の政党「国民の僕」を2018年に立ち上げさせ、その翌年に全く政治経験もないのに大統領になった。
その「国民の僕」という政党は政治的思想として「親ヨーロッパ」「親ロシア」を掲げ、政治的立場として「中道」であるとしているため、
「ポロシェンコ前大統領はこういう内容のミンスク合意に調印したものの、後任のゼレンスキーは約束を反故にした。なぜか。ゼレンスキーはNATO(北大西洋条約機構)に是が非でも加盟したかったからだ。」
という佐藤優の解説にはやはり無理がある。
(コロモイスキーはクリミア半島に資産を持っていたが、クリミア併合によってそれは国有化されている。当然、本人からすれば取り返したいと思っているのだろう。)
【参考】
2014年4月、コロモイスキーはロシア側が支援する武装勢力の捕獲に懸賞金を掛け、武器の引き渡しに対しても報奨金を出した。またドニプロ大隊の創設に1000万ドルを費やしたとみられており、この他にアイダール大隊、アゾフ大隊、ドニプロ1、ドニプロ2、ドンバス志願兵大隊の各部隊にも資金提供したとみられている。
今、本当に求められてことはウクライナ政府とロシア政府が対話することであり、ロシアが先にやったとか、ミンスク合意を反故にしたとか、NATO加盟は無理だとか、武器弾薬等の供与を続けて団結しなければならないとか、NATOの東方拡大が失敗したとか、法的拘束力のないブダペスト覚書に騙されたといったことではない。
今、どんな形であれ、停戦しなければウクライナ危機では済まされず、取り返しのつかないことになるのだろう。
本当にウクライナ国民はゼレンスキー政権を支持しているのかどうか疑問に思う。
9か月ほど前から思っていることではあるが、このままあと何年もロシアと戦争なんかしていれば、アフガニスタンやシリアなどのように荒廃し、砂漠地帯になってしまうのだろう。
ウクライナの人口は4300万人~4400万人ほどいたらしいが、そのうちの数百万人が避難生活を余儀なくされ、4000万人近くが今も国内で苦しみ、死んでいっている。
最初から勝ち目のない戦いなのに「勝利を確信している」などと言われ、いつ、どこで核によって吹き飛ぶのかも分からない段階に入っている。
NATO(特にアメリカ)がなぜここまでロシアや中国を追い詰めるのか、自分には理解できないが、NATOが本当にそれらの超大国を打ち負かすことができると思っているのであれば、バカなのだろう。(GDPや軍事費だけで国力を計ることは間違っている)
そしてNATOに従順に付き従う売国政党自民の連中にこのままお任せしていれば、日本も案の定、巻き込まれることになる。
NATOが核戦争を避けようとしているのではない。NATOが引き起こそうとしている。
そして多くのNATO側の国民はそのことに全く無自覚で無関心であるように思える。
NATOがこれほどまでにウクライナを軍事的に支援していなければ、このウクライナ紛争はここまで戦火が拡大することもなく、とっくに終わっていた。(そのウクライナ支援もそろそろ限界に近づいているらしい)
この紛争は結果を見るまでもなく、始まった時点でこうなることは誰でも分かっていた。
そして分かっていながらNATOとウクライナ政府は戦争継続をしている。
さらに、このままロシアを追い詰めていけばどうなるのかも分かっていながら彼らは戦争継続を支持している。
市民にとって重要なことは今後の生活なのであって、政治家の実績や演説などではない。
自国の国民の生活や安全を守れずにいる者がどう言い訳をしようとも指導者として相応しいとは思えない。
ウクライナ危機は日本においても全く他人事などではなく、自民の連中は今まさに戦争の準備をしている。
実際に戦いになれば、当然多くの犠牲も出るし、多くの経済活動も停止することになる。
勝っているうちはそれなりに支持されるものだが、負け始めれば誰も支持する者はいなくなる。
だからかつての日本も惨敗続きの中で「勝利」という嘘を吐いてきた。
連中はその大本営発表をまたやらかすのだろう。
ソ連のゴルバチョフ元大統領は東京新聞と北海道新聞との合同インタビューでペレストロイカについて次のように答えている。
(2021年8月19日の記事)
「ペレストロイカは中断された。新政権は多くの面で民主主義的な原則から逸脱していた。われわれの志向とは非常に異なった人々が国の統治を担ったからだ。彼らにとって唯一の目的は権力だ。自分の利益のために権力を利用し始め、あらゆる手段を使った。(ロシア南部)チェチェン共和国で戦争を始め、議会に銃口を向けた。これらが全て、今日の状況につながっている。民主主義の原則の否定、形骸化した選挙、野党や反体制運動に対する脅し、独立系メディアへの圧力といった問題だ。一向に減らない汚職問題、縁故主義はそう遠くない過去(ソ連崩壊後の時期)に由来する。」
「ペレストロイカで議論された課題の多くは未解決のまま」 ゴルバチョフ氏インタビュー詳報:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)
これこそまさに戦後の日本においてのさばり続ける自民党政権そのものだろう。
日本は民主化が成功したなどと言っている奴もいるが、実態としてはその逆だった。
ゴルバチョフはチェルノブイリ原発事故以降、大幅な改革が必要だと考えるようになったと言われており、その最悪の原発事故がソ連が崩壊していく上で大きい影響を及ぼしている。
これも日本にとって他人事ではないはずだが、自民・公明政権はあまり関心がないらしい。(しかし菅義偉政権だけは例外)
日本は戦後、自由、平等、民主主義、豊かさを手に入れ、アメリカや西側諸国といった陣営の仲間入りを果たしたようなことを言われている。
しかし、個人的には新政権下の日本(自民・公明政権の日本)は、カルトが長きにわたり支配する世界であり、自由で平等な社会だとは思えないし、民主主義のはずもないし、豊かな層というのも限られているように思え、ソ連解体後の世界やチェルノブイリ原発事故やウクライナの現状を見ると、やはり他人事には思えない。
(ここは日本なのか?という違和感がある。精神的に非常に窮屈であり、嫌な国だとしか思えない。日本も民主党政権が誕生してから再スタートを図ったが、福島第一原発事故以降、民主党による改革は中断され、事実上、民主党は消滅した。そして元の自民・公明政権=世襲・カルト政権に戻り、「民主主義の原則の否定、形骸化した選挙、野党や反体制運動に対する脅し、独立系メディアへの圧力といった問題」「一向に減らない汚職問題、縁故主義」が復活した)
ゴルバチョフはまた、次のようにも述べている。
「われわれは以前から冷戦を止めようと会談や対話を行ってきた。良い条約や合意も結ばれたが、すべては崩れてしまった。なぜこのようなことが起きたのか。なんと言っても、古い考え方にとらわれていたからだろう。米ソは一方的に利益を得たいという欲求を抑えることができなかった。単に核兵器を保持したいというだけでなく、何千というミサイル、爆弾、核弾頭を蓄積し、自国から何千キロも離れた場所に軍隊を派遣したが、言葉ではこう言うのだ。『われわれは平和を支持しています』」
結局のところ、どのようにエリート層が綺麗事を並べようとも大国というのはそこに行きつく。
ゴルバチョフ自身はペレストロイカに誇りを持っており、個人的にも(現時点で理解している範囲内では)それ自体が間違っていたとは思わない。
しかし以前から思っていることだが、理想主義者や楽観主義者が行ってきたことの結末というのは悲惨な出来事であることが多い。
恐らく、今、NATOやそれに同調する勢力が行っていることは、自分達の価値観が正しいのだという信念から来るものもあるのだろうが、それがもし最悪の結末へと導くのであれば、その時、悔やむのか、それともただロシアが悪いとだけ叫ぶのか。
ロシアにはロシアの価値観があり、西側諸国には西側諸国の価値観がある。
それが残念ながら水と油のように混じり合うことはないらしく、どちらも折れることはないようでもある。
今では完全にお互いが相手を否定し、敵とみなし、戦うことを厭わなかった。
それにもかかわらず実際に戦っているのはロシアとウクライナだけであり、アメリカや西側諸国のやっていることはウクライナの後ろで中途半端な支援を行うだけだった。
そしてそれをまた正義だと言っているような態度を取っている。
どういう人物がどういう判断を下すのかについても決まっていることであり、未来が変わることもない。
多くの場合、一般市民からすれば指導者の考えていることや行っていることにはあまり関心がなく、ただ指導者の決定に自分の暮らしや人生が左右されるだけの存在になっている。
それはどちらの側の陣営でも同じことだろう。
ゴルバチョフは去年、以下のようにも述べているが、現実はその逆になった。
「私は、核兵器のさらなる削減について合意する必要性があると強く信じている。軍事ドクトリンを議論し、調整しなければならない。核の先制不使用に向けて行動しなくてはならない。そして他の核保有国を協議に参加させる必要がある。これは重要な議題である。もし米国とロシアが本気になって取り組めば、米ロのみならず、残るすべての国々にとっても勝利となる。今日、残念なことに、立脚点のないまま(新たな)東西対立や冷戦、軍拡競争のことが語られている。多くの事柄は、一からやり直さなければならなくなっている。私が思うにロシアは対話に賛成だ。同時に、西側諸国もこの状況をさらに先延ばしにすることはできないと考えている。(ロシアと欧米が)通常の関係を取り戻すには政治的な意志も必要だ。対話以外に道はない。」
ゴルバチョフは基本的には対話を重視する姿勢だったようだが、2014年のクリミア併合を支持したり、1991年のリトアニア独立運動を軍を出動させて弾圧したりすることもあり、実際にはそれほど理想主義者や楽観主義者というわけでもなかった。
それでも、2022年8月30日に死ぬ間際までロシアと欧米が対話によって和解できると思っていたことは確かで、それには何の根拠もなかったというわけでもないのだろう。
欧米は国際会議の場でロシアの代表が発言する番になると一斉に退席するといったことも続けているが、これもロシアとは外交をする気がないという意思表示をしていることになる。(これについてはウクライナ政府が最も鮮明にそのような態度を取っている)
つまり、対話において相手にする気がないらしい。
欧米メディアと日本メディアには偏向報道が目立ち、あからさまに嘘の情報を流していることも多々ある。
現実を直視するなら、ロシアの言い分も無視するべきではなく、欧米の対話を拒否する姿勢には疑問がある。
「やられたらやり返す」とか「宥和政策ではチェンバレンみたいになっちまう。我々はチャーチルを支持する。」とか言っている人達は、過去の戦争において勝った経験を元に勝ち組の論理として語っているに過ぎない。
過去の大戦において、なぜ先に仕掛けた側が負け、宥和政策を方針転換して後から参戦した側が勝ってきたのかというと、特定の国を追い詰めて先にやらせることができれば、それを計画し、十分に準備してきた大きい勢力の側が勝つことを分かっていたからに他ならない。
今回のウクライナ紛争でもロシアを負かす自信があってのことなのだろうが、個人的にはそれは失敗すると思っている。
ウクライナを盾にしてNATOとそれ以外の国も巻き込んで、世界対ロシアのような構図にすれば勝てると思ったのだろうが、それは邪なやり方でもあるし、考えが甘い。
彼らは過去の成功体験を元に勝ちパターンに持っていくことができれば勝利は確実だと思っていたようだ。
しかし、結果としてはただ核戦争に突入するだけに思える。(よくシミュレーション映像で見るようなミサイルの撃ち合いなどではなく、「使える核」や一方的になるようなやり方になるのかもしれない)
西側諸国やソ連から独立した西寄りの国は、最強の国アメリカをヨーロッパの揉め事に引き込み、圧倒的な武力によって弱体化した敵をねじ伏せることで解決を図ろうとしている。(アメリカの現在の国務長官がそのような人物だと言われている)
過去においてもそうだったが、今回もそれで敵を潰せると思ったのだろう。
(アメリカはそのような形で西側諸国に利用されているようにも思え、その圧倒的な武力故に、ある意味では汚れ仕事をさせられているとも受け取れる。)
今回はアメリカがヨーロッパの揉め事に介入しても恐らく利益にならない。
既にウクライナに多大な武器弾薬等の供与をしているが、日本やドイツなどの「同盟国」に不必要な武器を高く買わせることによって自分達は新しい武器を開発・生産しようとしているため、今のところ損はしていないのだろう。
しかし、このままエスカレートしていくのであれば大損するだけでは済まされない。
その中で、岸田政権は欧米の姿勢を全面的に支持し、何事にも付き従う方針にしているようだが、「皆さんのおかげで年を越せそうだ。これからもしっかり頑張ります」などと忘年会の場で述べている。
【参考】
この日、政府は「反撃能力」保有を明記した国家安全保障戦略など3文書を閣議決定した。安保政策は、安倍政権下の集団的自衛権行使の限定容認や安保関連法などで飛躍的に発展したが、反撃能力の保有は積み残しの「宿題」だった。首相は16日の記者会見後、周囲に「大きな転換点になった。気を引き締めていく」と満足そうに語った。