アメリカ政府は台湾有事の際に日本がメインで戦うのであれば武器弾薬を供与するという話が「オカルトサイト」に出ているが、確かに日本には強い火力の爆弾や弾頭がなく、長距離ミサイルもなく、弾薬も限られた量しか持たされていない立場に置かれているのだから、一見すると台湾のために中国軍と戦えば日本にとっても悪い話ではないかのように誘導されそうになる。

(長距離ミサイルを配備すると中国やロシアといった国が反発するため、日本が配慮しているという面もある)

「オカルトサイト」によればアメリカ政府は「日本は日本人が守れ」という方針であるということになっているが、それでは日米同盟などないに等しいばかりか、アメリカ政府は日本防衛にとって足かせでしかなく、日本は独自に防衛システムを構築し、武器開発や弾薬生産をしていくしかない。(しかしそれは1年やそこらで出来ることではない)

「台湾有事の時、メインで戦うのは日本」アーミテージ発言で露見した米国の“本当の計画”をジェームズ斉藤が解説! (tocana.jp)

 

現実としては、日本はアメリカと軍事同盟を結んでおり、在日米軍基地、第7艦隊旗艦/司令部があり、日本はアメリカの最重要軍事拠点なのだから、日本の領土が攻撃を受ければ日米安保条約第5条に基づく集団的自衛権の行使をしやすいという関係にある。

日本には多くの米軍基地があるが、下図のようにアメリカがこれほどまでに大規模な軍を配備している国は恐らく他にないのだろうから、どれだけアメリカが日本を重視しているのかが分かる。

当然、日本には自衛隊も存在しているのだから、日米の戦力を合わせれば自衛官30万+在日米軍5万=35万の兵力と最新兵器が揃っている。(在日米軍の兵力は在韓米軍の約2倍の勢力)

自衛隊 - Wikipedia

在日米軍 - Wikipedia

在日米軍主要部隊 (mofa.go.jp)

 

(第7艦隊は横須賀以外にも佐世保、沖縄、釜山=韓国、浦項=韓国、鎮海=韓国、シンガポールにも展開している。また、第7艦隊はフィリピン海軍とも密接な関係を持っている。)

 

例えば、日本が中国、ロシア、北朝鮮のいずれかの国から攻撃を受けた場合、アメリカは集団的自衛権の行使としてそれらの国に対し、反撃することが正当化できる。

アメリカ本土が攻撃を受ける前に先制攻撃ができることになるのだから当然有利になる。

さらに言えば、日本が死力を尽くして戦い、敵も相当に消耗している状態であればアメリカは楽に勝てる戦いができることになる。

つまり、日本にはアメリカという後ろ盾があることで中国、ロシア、北朝鮮といった国がアメリカからの反撃を恐れ、簡単に日本を攻撃することができないということになり、日本は核兵器など持たなくとも十分に抑止力を持っていると言っていい。(米軍が核兵器を持ち込む可能性については全くないとは言い切れないらしい)

 

 

 

日本が中国、ロシア、北朝鮮などの国と仮に戦うことになり、負けた場合はそちら側の陣営になるということを意味するのだから、アメリカが日本や韓国を手放すわけはなく、やはり「アメリカは何もしてくれない」という主張は狂っているように思える。

また、戦いになった場合は日本こそが極東の最前線の激戦区になる可能性がある。

なぜなら、日本が落ちるということは他のアジア、オセアニア、マリアナ諸島といった地域も危うくなることを意味しているからに他ならないため。

だからこそ西太平洋からインド洋を担当する米海軍の司令部も日本に配備されている。(地球の半分の範囲)

第7艦隊は「アメリカ海軍の艦隊の中では、最大の規模と戦力」とされる。

第7艦隊 (アメリカ軍) - Wikipedia

 

日本にそれだけの戦力が配備されているということは、敵勢力として想定されている側も相当の軍事力があることを意味している

 

日本が落ちればハワイぐらいしかアメリカ本土以外の軍事拠点はなくなってしまうのだから、アメリカからすれば日本を諦めるわけにはいかないように思える。

日本を失うとアメリカは困るはずであり、日本に対してもアメリカはハシゴ外しをやるだとかいった話の類は筋が通らない。

米軍は同盟国の有事であっても動かないということはないはず。

そして日本の一般人からすれば大抵の人はそのような認識になっている。

政府の認識としても次のように外務省のホームページには載っている。

 

「日米安保条約では、日本が武力攻撃された場合、米国は日本を守る義務を負っている」

「『米国は日本を防衛する義務を負い、日本はそのために米国に施設・区域を提供する義務を負う』。このことが日米安保体制の最も重要な部分といえるでしょう。」

日米安保体制Q&A (mofa.go.jp)

 

しかし、一方で、米軍は日本有事であっても何もしないという主張をしている人を最近よく見るようになった。

 

「交戦相手が中国となれば、米中戦争や第3次世界大戦まで想定しなければならない。そのような危険を冒してまで岩礁や小島での軍事衝突"程度"に、中国侵攻軍撃退のための大規模戦闘部隊を日本に派遣することに賛成するアメリカ国民はほとんどいない以上、アメリカ連邦議会、そしてアメリカ政府がゴーサインを出すことはあり得ないと考えるのが至当である」

日米安保条約で「アメリカには日本防衛の義務がある」という誤解:朝日新聞GLOBE+ (asahi.com)

 

という意見もあり、相手が中国やロシアといった大国であれば米軍は日本防衛で何もしてくれず、ただ武器弾薬を提供するにとどまるという認識の方が正しいということになっている。

しかし、その記事では日本に米軍を派遣することはないという表現になっているが、実際には派遣するまでもなく在日米軍が常に駐留しているのだからやはりおかしい話になる。

「安保条約第5条で米国に日本防衛で米軍兵士を出してもらうのを借りとして、第6条で日本国内に米軍基地の土地を提供することで返す」(wikipediaより)という対等な関係になっており、尖閣諸島も日米安全保障条約第5条の適用対象であることはオバマ政権、トランプ政権で確認されている。

もしその時に在日米軍が何もしないということがあれば、一体今まで何のために日米同盟が続いてきて良好な関係を築いてきたんだということになるが、在日米軍は日米安全保障条約を履行するために駐留していると自覚しているはずだし、戦う意思もあるのではないかと思う。

逆に、「俺たちは日本で何が起きようとも何もする気はないよ。俺たちはただここにいるだけだよ。条約?そんなの知らない。」と思っている米軍兵士がいるとも思えない。

ただし、尖閣諸島も日米安全保障条約第5条の適用対象であるなら、日本政府はアメリカの大統領が代替わりするたびにその都度「大丈夫ですよね?」と確認するその姿は、いかにも自信なさげな感じもするため、日本本土と岩礁・小島では米議会・米政府の扱いが変わる可能性を自ら感じているということなのかもしれない。

 

いずれにせよ、日本から在日米軍に出て行ってもらいたいと思っている者がどこかにいるらしく、「アメリカは頼りにならないぞ」とあちこちでしきりに喧伝している。

アメリカはアフガンからは撤退したが東アジアからは撤退しないとも言われている。

 

【参考】

「アメリカのアジアに対するコミットメントはすさまじいものがあります。ものすごく投資をしているということです。1兆3000億ドルを既に直接投資もしている」

「オーストラリア、日本、韓国は基地を持っています。横須賀には『第6号ドック』という、空母までメンテナンスできてしまうという、とんでもないドックがあります。米海軍が世界へ出て行くときに、韓国もそうですが、そこに基地を置いているということはとてもありがたいことです。そこからわざわざ退くということはあるのか。」

「中国側は今回のこと(アフガン撤退)をいいチャンスだと思い、アメリカの信頼性を落とす方向にプロパガンダを使って、宣伝戦的にやって行くことは間違いないので、我々はそれに惑わされないようにしなければいけないと思います。」

アフガン撤退も、アメリカが東アジアから退かない「3つの理由」 – ニッポン放送 NEWS ONLINE (1242.com)


 

 

自衛隊が最近確保した主要装備品のリストを見ると、陸上兵器と海上兵器に関しては防衛省開発・三菱重工業生産になっており、航空兵器やミサイルに関してはアメリカから購入している。(自衛隊が導入しているイージスシステムはアメリカの防空システム)

研究開発費は37.6%増でありながらも2911億円を計上しているに過ぎない。

(令和4年の在日米軍関係経費として6328億円)

防衛費を今の2倍とか3倍とかに増やせという一部政治家(自民党)の声もあるが、具体的には何について言っているのかが全く不透明。

国民に何が必要だから防衛費を10兆円とか15兆円といった莫大な金額にするべきなのか説明するべき。

防衛省・自衛隊:同盟強靱化予算(在日米軍駐留経費負担) (mod.go.jp)

令和4年度防衛関係費 防衛力強化加速パッケージ (mod.go.jp)

 

 


結局のところ、中国、ロシア、北朝鮮といった国の脅威が日本や韓国には存在するため、米軍にいてもらわないと困るということだが、個人的には中国とロシアは現時点で日本にとって敵ではないと思っている。

(それに加えて、日本、韓国、オーストラリアに米軍基地が存在している理由として、それらの国を軍事拠点として守るというだけでなく、それらの地域全体の安全保障にも影響力を持つという意味もある)

しかし、領土問題を抱えていることは事実なのだからそれをどのように折り合いをつけるのかということを日本政府はどの程度真剣に考えているのか分からない。

中国、ロシア、北朝鮮といった国は日本を再び軍国主義に向かわせないためにも、むやみに日本を刺激するべきではないが、このまま軍事的圧力を強めていくと国内世論にも影響し、防衛費の増額や核武装論といった方向になっていき、それらの国にとっても不都合な事態になる。

 

韓国は兎も角、日本を手放してしまってはアメリカが損をするだけだろと思ってしまうのだが、最近では「アメリカはもう当てになりません」「肝心なところで梯子を外すようなことをしてくるでしょう」といった話が「オカルトサイト」などで散見されるようになっている。

そのような情報を流している役者は、アメリカのスパイでもなく、日本の二重スパイでもなく、中国からカネを貰ってプロパガンダを流しているだけなのかもしれない。

今更、これまでの日米同盟が崩れるということはなく、それどころか同盟強化の方向になっているのだから、中国やロシアがそのようなプロパガンダをいくら流したところでそれが変わることはないのだろう。

 

しかし、元官僚にも次のような主張をしている人がいる。

 

「元外務省局長の孫崎享は、日米安保は日本の利益を守るためにあるのではなく、存在意義は全く無いと述べている。また孫崎は、集団的自衛権についてアメリカが日本を戦闘に巻き込むのが狙いと述べている。」 中国網日本語版(チャイナネット) 2013年6月1日閲覧

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約 - Wikipedia

 

 

 

アメリカは台湾を国として認めてもいないし、軍事同盟があるわけでもないし、台湾に米軍基地があるわけでもないのだから、中国軍が台湾に軍事侵攻しても現時点では恐らく米軍は何もしない。

米民主党政権がいかにも米軍が戦うような印象を与える外交をしているが、実際には台湾にどの程度の軍事支援(武器供与)をするか、台湾有事の際に中国に対してどういった制裁をするのか、台湾をNATO非加盟の主要な同盟地域に指定、といった内容を盛り込んだ「台湾政策法案」を審議している最中(2022年8月現在)でしかない。

台湾人はアメリカ議会が何を審議しているのかを見るべきであり、それには米軍が台湾のために戦うとはどこにも書いていないはず。

「NATO非加盟の主要な同盟地域に指定」というのは、台湾を国家承認して軍事同盟を結ぶという意味なのかどうか台湾政府は確認するべき。

アメリカ政府は台湾のために米軍を中国軍と戦わせるとは思えないが、日本にやらせようとしているのは自民党がこれまでやってきたことと今の状況を見れば明らか。

【解説】米議会で成立目指す「2022年台湾政策法案」とは (油井'sVIEW) - 国際報道 2022 - NHK

 

恐らくアメリカ政府が共和党政権なのか民主党政権なのかによっても日本の未来は大きく変わる。

それはルーズベルト、トルーマン時代のような極端な問題が一時期あっただけではなく、それ以降も米民主党政権時代には様々な反日政策がとられてきた。

(オバマ元大統領やバイデン大統領個人は恐らく親日家だが、米民主党に強い影響力を持つビジネスマンがどうやらいるらしく、政策決定にも関わっているようだ)

特に今、最も問題になっている安保法制(2015年9月30日法律第76号)に含まれている 

 

「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃であって、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるもの(以下「存立危機武力攻撃」という。)を排除するために必要な自衛隊が実施する武力の行使、部隊等の展開その他の行動」

我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律 (shugiin.go.jp)

 

いわゆる「集団的自衛権の行使」について、麻生副総理は「台湾で大きな問題が起きると、間違いなく『存立危機事態』に関係してくる。日米で一緒に台湾を防衛しなければならない」と発言しており、台湾有事が起きると集団的自衛権の行使に必要な要件である存立危機事態が間違いなく発生すると断言している

なぜ台湾有事になると間違いなく日本国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるほどの事態になるのか理由は言わないようだが、恐らく多くの国民は台湾有事=日本有事とは思っていないし、その根拠もないと思っている。

週のはじめに考える 安保法の来し方行く末:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

 

例えば、米軍第7艦隊が中国軍と交戦状態になり、米軍の戦闘機や戦艦が中国軍から攻撃を受けた場合、間違いなく日本国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される事態(存立危機事態)であると自民党政権は認定し、自衛隊に集団的自衛権の行使をさせるために中国軍に対して先制攻撃を命令といったことを想定しているらしい。

(そもそも米軍が台湾のために中国と交戦状態になることはないはずだが、麻生副総理はそうなった時に自衛隊も一緒に戦うべきだと言っている)

 

また、日本とアメリカは台湾を国家承認していないが、ここで言う「密接な関係にある他国」というのは台湾を含んでいるのかどうか不明。

自民党の議員は「台湾有事は日本有事」と繰り返し発言しているため、自民党政権はもしかしたら台湾を「密接な関係にある他国」にすら含めているのかもしれない。

もし自民党政権がそういう認識なのだとしたら、台湾軍が中国軍と交戦状態になっただけで日本の存立危機事態であるということにし、自衛隊に集団的自衛権の行使をさせるという、相当狂った判断をしてしまう可能性もあるのかもしれない。

いずれにせよ、自民党政権による狂った判断と憲法違反の安保法制によって自衛隊から先制攻撃を受けた中国軍や中国政府は日本に対してどういう報復措置を取るのかが最も気になるわけだが、自民党政権は全くそんなことは気にも留めず、全く説明する気もなく、全く責任を取る気もないならしい。

 

日本の立場としては、アメリカを強くすることに協力する分には構わないが、中国やロシアを弱体化させることに協力することについては問題あるはず。

もし半導体なんかのために核戦争にまで発展するようなことがあれば愚かとしか言いようがない。