今後、短期間でエンジン車の全てが廃棄処分され、電気自動車に完全移行するのかというと、そうはならない。
本当に計画されている通りに電気自動車に移行してしまった場合、今使われているエンジン車はどうなるんだという問題もある。
充電ステーションも現状では全く不十分なのだから、電動化の方ばかり先行してしまってはインフラ不足で大変なことになる。
今後、5年や10年程度で充電ステーションが急速に全国的に整備されて十分な数を確保できるとも思えない。
では、いつ頃完全移行するのかというと、バッテリーの大幅な低価格化と充電ステーションの整備が十分に進んだタイミングということになる。
電気自動車向けリチウムイオン電池の価格はこの10年で約1/6まで下がっているが、今後、それが極端に下がる傾向にはない。
国内メーカー「崖っぷち」。車載電池・価格競争の行方|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 (newswitch.jp)
安価で安定性が高く、リチウムイオンと同程度の性能を持つ次世代のバッテリーが求められている。
現状ではバッテリーが占める電気自動車のコストは約3割あるため、「儲からない」と言われている。
これが「儲かる」クルマになるためには次世代のバッテリーが必要になり、様々な候補が挙がっているがリチウムイオンが非常に優れた技術であるため、いくら次世代のバッテリーとは言っても、それほど極端なコスト削減にはならないだろうというのが今の現実らしい。
つまり、本来であれば電気自動車に完全移行するにはかなりの時間が掛かるはずであり、バッテリーあるいは発電の世界で余程の革命でも起きない限り、昨今の脱炭素社会に絡む電動化の波は計画倒れになる可能性が高い。
(もしそうなったらテスラの株価は大暴落するのだろう。あまりにも期待が先行し過ぎてしまった。
最近ではウーリンモータースの宏光MINI EVという激安EVが中国で一気に普及し、販売台数世界トップになったが、儲けは兎も角、宏光MINI EVこそが最も革新的な電気自動車だと思う。
個人的には電気自動車というのはそうあるべきものだという感覚がある。
テスラはスーパーカーのようなもの。現時点で従来型の普通乗用車のような感覚でそれを購入した場合、失敗するかもしれない。
CEOも最近では自動運転技術の方に軸足を移しているらしい。)
回生ブレーキやソーラーパネルぐらいの発電量では全く足りないため、相当の電気を生む新たな仕組みが必要。
恐らくバッテリーの方より、新たな発電装置の方が将来性がある。
現実を直視するなら、ハイブリッド車か軽自動車やコンパクトカーのような燃費の良いガソリンエンジン車を延命しつつ、バッテリーと新たな発電装置でいかにリードするかという戦略になるはず。(OSも重要)
(ディーゼルエンジンの場合、排ガス浄化のために尿素水が必要になり、最近では貿易問題でそれが一部で入手困難な状況になっている。ディーゼルにはガソリンにはないリスクがある)
それなのに、クルマにおいて全ての内燃機関を禁止し、短期間で電動化するという強い流れがある。
燃費の良い内燃機関のクルマであれば何も問題ないはずだが、白黒思考のような状況に陥っている。
電気自動車というのは、近場にちょっと出かけるぐらいの使い方しかしないユーザーに向いていて、それ以外の使い方をしているユーザーはハイブリッドというのが最も現実的。
長期的に見れば一般ユーザーが乗るクルマは全て電気自動車になるのだろうが、今の流れは勇み足の感が否めない。
将来、自動車整備士は仕事を失うと思われがちだが、もしエンジン車をハイブリッド車や電気自動車に簡単に改造することができるのであればビジネスになる。
不要なパーツを全て外し、ハイブリッド化や電動化に最低限必要なパーツだけを組み込むことができれば、エンジン車が丸ごと大量廃棄されることもない。
現時点での電気自動車の外観や室内空間はエンジン車とほとんど同じであるため、適切に改造さえできれば元々のエンジン車の大部分はそのままエコカーとして使えるかもしれない。
電気自動車の場合は回生ブレーキを使うが、ハイブリッド車でも回生機能を採用している。
もしエンジン車を改造してハイブリッド車や電気自動車にできるのであれば、回生ブレーキも使えるのだろう。
現代の新常識 地味だけど革新的技術!! 上手く使えてますか「回生ブレーキ」の秘訣 - 自動車情報誌「ベストカー」 (bestcarweb.jp)
重要だと思うのは、低スペックなバッテリーでも発電機を上手く使うことで長距離移動でなければ全く問題なく走行でき、充電する際もスマホを充電するような感覚で駐車場に止めている時にできればいいということ。
それができれば結果としてバッテリーの大幅な低価格化にも繋がるはず。
※追記
電気自動車の普及に伴って充電ステーションが拡充することでガソリンスタンドが次第に消えていくため、エンジン車が使いづらくなっていく。
また、電気自動車はクルマで実績のない企業でも比較的容易につくれてしまうため、どんどん新規が参入してくることによって従来型のエンジン車が取り残されていく。
現時点では価格の高さや充電ステーション不足等の問題があるため、電気自動車の購入層は限られているが、結局は一般ユーザーが乗るクルマは全て電気自動車に変わらざるを得ない。
エンジン車は非常に多くのパーツで構成されているため、どこかが欠けると致命的になる。一方、電気自動車はパーツ数が少なく、構造も比較的単純になっている。
多くの企業が電気自動車をつくるようになることでエンジン車が売れなくなっていき、エンジン車のパーツをつくっている小規模な企業が潰れていくことになり、恐らくある時点から強制的に電気自動車に切り替わる。
エンジン車の場合、自動車メーカーはエンジンのような基幹部品は自ら開発・製造しているが、電気自動車にはそのような意味での基幹部品が存在していないため、極端に言えば鴻海のようなところに設計図を渡してパーツを集めて組み立ててもらえばそれでつくれてしまう。
ガソリンや軽油以外の燃料をガソリンスタンドで扱うようにすることでエンジン車が生き残る道を模索する動きもあるが、エンジン車はパーツが多くて構造が複雑であり、単純な構造で誰でもつくれてしまう電気自動車は現在問題とされる点をクリアすることで長期的に見れば価格が下がっていき、やはりエンジン車は不利になるはず。
特殊なクルマ以外はエンジン車は生き残れない。
単純に言ってしまえば、PCやスマートフォンのように、初期の頃は価格が非常に高かったが、市場が成熟していくとむしろ極端に安くなっていくことがあり、電気自動車においてもいずれはそうなる可能性が高い。
充電ステーションの場合は月極駐車場、集合住宅共用部、ショッピングモール駐車場、コンビニ駐車場などにも設置できる。
電気自動車は自宅でも充電することができる。一戸建ての場合は充電ステーションがなくても充電できる。
つまりそれはどこにでも設置できるが、燃料の場合はそうもいかない。
これもエンジン車やガソリンスタンドの不利な面でもある。