外国語学習で一番問題になるのは語彙だが、一番重要なのは少ない語彙でも一応は通じるということ。
知的ではないだけで会話が成立しないわけではない。そもそも、いくら語彙力だけ身につけたとしても理解が乏しければ知的な会話ができるとも限らない。
また、取引上のやり取りであれば大抵は定型文でどうにかなるため、それぐらいのことで良ければ誰でも即席ですぐできるようになる。(同じような意味の別のフレーズも知っていた方がいい)
つまり、不十分ではあっても確実に通用するものをさっさと身につけてしまった方が利口。
基礎からしっかり叩き込むようなやり方に拘るといつまで経っても先に進まないことになりやすいし挫折もしやすい。
そもそも語学に基本や応用といったものはないように思える。
場面に応じた言い方をそのまま真似るように覚えればいいだけのこと。
分解された要素(設問など)を誰かが作った教科書に載っている順序で攻略していき、自分で組み立てていくというようなやり方ではなく、最初からレベル分けなどをせずに、自分が必要なものを必要な時に必要なだけ覚えればいい。言語の全てを知っている必要などない。
普通の言葉のやり取りをするだけなら普通の言い方ができればそれでいいのだから、言葉に個性など持たせなくていい。
定型文しか知らないとそれしか言えなくなると思いがちだが、現実を見れば、普通の会話ができるようになりたいだけなら、定型文のようなものしか会話の中で出てこないと言っても過言ではない。
要は「こういう場面で普通はそういう言い方をしない」「普通はこう言うよね」といった感覚がネイティブにはあるが、それは皆が大抵は決まった言い方をしているためにそのように感じている。
だから、自分で文章を創作したり、構造をよく理解して組み立てたりしなくていい。
そういった余計なことをしているといつまで経っても覚えることができなくなる。
語彙や表現はそれに触れる回数が多いほど覚えやすいと言っている者もいるが、使っている教材が狂っていなければそのような受験勉強に似たやり方をすることも間違っていないように思える。
しかし、言語を身につけるということは基本的には自分が必要としていることを覚えることが自然であり、テキストブックや試験などに対応する形で覚えようとするのは無駄が多い。
一番手っ取り早いのは、外国語を話せる誰かといつも一緒にいて、その人がやっていることの真似をしたり知らないことを尋ねたりすることだろう。
母国語であれ外国語であれ、分からないことは調べて確認することが基本ではあるが、それがすぐにできる状況になければならない。