日本で行われている英語の資格試験や大学受験で出題される内容は語彙と文法を問う穴埋め問題が多い。

これを日本語に書き換えてみて、どの言葉を当てはめれば完全な日本語になるのかという問題を日本人が見た時、「こういう問題をこなしていれば我々のようにちゃんとした日本語を話せるようになる」と思えるのかどうか。

例題を見てみると、次のようなものがある。

Officials refused to say exactly who was ------- for the tragic accident before the investigation was complete.
(A) responded 
(B) responsibility 
(C) responsible 
(D) responsive
正解は(C) responsible 。be responsible for . . . で「…に関与する、…の責任を負う」の意味です。responsive は「反応の良い」の意味です。

https://www.alc.co.jp/tg/toeic_first/questions/05/ans01.html

 


などという説明がなされている。

こういうタイプの問題をできるようにするには問題を見た瞬間にまず(A)と(D)は反応や返事を意味する単語であり、(B)と(C)は責任を意味する単語だ。

そしてこの文では反応系ではなく責任系の単語が入るはずだから(B)か(C)が空欄に入ることになるが、この場合は「これは~パターンだ(ここではbe responsible forになる。

文法上はBは名詞でCは形容詞だし、こういうパターンだ)」ということを知っているからすぐに出てくるというやり方をすることになる。

考えてどうにかなるようなものではない。

ただそういう形、パターンとして暗記しているだけというもの。

そういったやり方で膨大な量をひたすら覚え続けるという作業を数年程度かけてやっていく。

それが本当に効率のいい外国語の覚え方なのかどうか議論する必要は全くない。

上の問題を日本語に書き換えると次のようになる。


当局は、その悲惨な事故は誰に ------- 、調査が完了するまでは明言するのを拒んだ。
(A)答えた、返事をした
(B)責任
(C)責任がある
(D)反応する、回答する
正解は(C)責任がある。~に責任がある で「~に責任があるのか、~のせいなのか」の意味です。


恐らく日本語の資格試験風にすればこういった具合になる。

日本人がこのようなやり方で日本語の勉強をしてきたのかといえば、当然やっていない。

TOEICで高得点を取りさえすれば英語マスターの称号が得られ、大抵の場面で苦なく会話ができるようになるというのであれば国の言うことに素直に従ってただ勉強していればいいだけの話になるが、やはりそうなるわけではないことぐらい分かる。

「お前はまだイングリッシュマスターにもなれていないんだから、イングリッシュ評議会の席で偉そうなことを言うな」といった世界観が本当にまだこの国には根付いている。(語学に限った話ではない)

また、それを信じて犠牲になった者も多い。