マスク不要に? 仏大学「感染防ぐ物質開発」
マスクをつけなくても鼻にスプレーをしたり、のど飴にして服用すると新型コロナウイルスの感染を防ぐことができるとする物質をフランスの大学が開発しました。
ソルボンヌ大学のカロヤン教授らのチームは、新型コロナウイルスが肺の細胞に感染するのを一時的に防ぐ物質を開発したと発表しました。
この物質は細胞の受容体と呼ばれる部分に似たアミノ酸で、数時間、ウイルスが付着するのを防ぐ効果があるとしています。
現在、鼻へのスプレーとして研究を進めていて、早ければ10カ月ほどで製品化できる見通しだというとです。
カロヤン教授はマスクをつけずに感染予防できる生活が送れると話しています。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000193018.html
【参考】
新型肺炎に特効薬?治験中の風邪薬に可能性
【ワシントン=笹沢教一】臨床試験中の風邪薬から新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の特効薬を作り出せる可能性があることを独リューベック大学の研究チームが突き止め、13日付の米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。
この治療薬は、米製薬大手ファイザー社が米国内で臨床試験中の「AG7088」。
鼻に噴霧して使用する新薬で、風邪の原因となるライノウイルスが作り出すたんぱく質の働きを妨げ、
ウイルスの増殖を防ぐ効果があるとされる。研究チームは、SARSウイルスが作るたんぱく質の構造を分析した結果、ライノウイルスのたんぱく質によく似ていることを発見した。
「AG7088」を改良すれば、SARSウイルスの増殖を防ぐ薬になる可能性があるとしている。
◆ライノウイルス=風邪の3―5割は、ライノウイルスが原因とされている。
特に春や秋など季節の変わり目に感染しやすい。
従来の風邪薬は熱などの症状を緩和するだけだが、最近は、ライノウイルスの増殖を直接抑える特効薬の研究が活発になっており、ファイザー社の「AG7088」もその一つ。
(2003/5/14/13:08 読売新聞WEB版)
http://www.med.oita-u.ac.jp/infectnet/SARS/SARS_report_00320.html
【参考】
SARSに対 して幾つかの薬剤が臨床的に使用されたが,高い抗ウイルス活性を示す薬物はまだ見つかっていない.
培養細胞系で効力を示すものは報告されている.
MHVでは可溶性受容体が高い中和活性を示し,抗ウイルス剤としての可能性が示唆されている.
SARSCoV受容体であるACE-2の可溶性型も中和活性をもつことが報告されており,SARS治療薬 として開発されることが期待される.
また, SARS-CoVの受容体結合を阻害するものとして,ファージライブラリーから分離され改良されたヒト型単クローン抗体80Rが知られている.
CoV ORF1aにコードされるタンパク質分解酵素 (main proteinase, 3CLpro) の構造解析の結果, ヒトの鼻風邪ウイルスであるライノウイルスのタンパク質分解酵素に結合しその活性を抑制する薬剤 (AG7088) がSARS-CoVにも有効に働くことが推測された.
AG7088は,細胞由来のタンパク質分解酵素に対 して阻害的に作用することはな く, SARS-CoVに対して,中程度の増殖抑制効力があると報道されている.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/42/8/42_8_546/_pdf/-char/ja
※AG7088とは、ルピントリビルRupintrivirのこと
【参考】
A.ウイルス感染はどのように発症するか
次のようなマルチステップにより発症すると考えられている :
1. 気道性ウイルスの鼻粘膜への付着
2. 粘膜線毛の活動により鼻腔後方に移動
3. ウイルス特異的受容体との結合により上皮細胞に侵入する
4. 上皮細胞内への侵入およびウイルス複製
5. 宿主細胞をウイルス蛋白質・核酸を産生する環境に変更して,新しいウイルスの複製するサイクルを繰り返す.
B.ウイルスの付着と感染はどのような経路で行われるか
ウイルス感染には主に次のような3つの感染経路があるが,ウイルスによって一次的な経路が異なる.
1. 接触感染(主に手指を介する)
ライノウイルス,RSV(respiratory syncytial virus),アデノウイルスの一番効果的な感染経路である.
2. 飛沫感染 : 患者の咳やくしゃみによって飛散する飛沫と直接接触した場合に生じる.会話中に感染することが多い.
インフルエンザとコロナウイルスの伝染が主体だと考えられている.
3. 空気中に長時間浮遊する飛沫核感染(空気感染) : 特に換気が悪いとインフルエンザとコロナウイルスの伝染も起き得る.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/116/11/116_1253/_pdf
※どれだけ強力な武器であっても「当たらなければどうということはない」。
SARS-CoV-2は毒性は強いが感染を予防できればどうということはない。