アメリカのニューハンプシャー州ではロックダウン解除を求める抗議デモが起きている。
このようなデモを行うことによって集団感染しやすくなるのだから、今まで我慢し、様々なダメージを受けてきた意味がなくなる。
厳しい全面的なロックダウンは長引くほどむしろ逆効果になる。
この出来事は見方を変えると、一般市民はこのような強硬手段に打って出ることによって全面的なロックダウン解除を実現しやすくなるということを示してしまったことにもなる。
中国のような独裁政権でもない限り、全面的なロックダウンを長く続けることはできないのだろう。
そもそも、中国もロックダウン等によって感染拡大が止まったとは考えにくい。
(統計上の世界の感染者数はこの2週間で約100万人から240万人に増えている。ロックダウンが功を奏したとは思えない。)
全面的なロックダウンで感染拡大は止まらないし、半年、1年といった期間続けることもできないのだから結局は解除することになり、あまり意味がない。
仮に半年、1年続けることができたとしてもそれで解決することがないことは分かっている。
その期間中の感染拡大ペースが幾分緩やかになるとしても解決しないまま解除するわけだから、また感染拡大のペースは初期の水準に戻る。
たったそれだけのために一体どれだけの損害を被るんだということを全面的なロックダウンをしきりに訴え続ける者は分かっていない。
つまり、全面的なロックダウンというのは何のトレードオフにもなっていない。
感染者を一人残らず隔離しない限り解決しないのだが、この病気はそれができない。
だから全面的なロックダウンは何の解決にも繋がらない。
やるなら集団感染を避けることに特化したやり方の方がいい。
(短期間の全面的なロックダウン期間中に完全なワクチンが接種可能になるなら別だが、そうはならない。)
そもそも、このロックダウンという言葉が使う人によって全く意味が異なっているため、齟齬が発生しやすく、非常に危険な言葉だといえる。
自分が言っているロックダウンは単に封鎖という意味であり、集団感染を避ける意味での特定の施設に対する閉鎖は、やっていて当然のことだと言っている。
そして、厳しすぎる全面的なロックダウンはトレードオフになっていないと言っている。
なぜかというと、全面的なロックダウンを行っても感染者が出なくなるわけでもなく、感染者が存在している状態のままいずれ解除せざるを得ないことになり、また逆戻りするため。
(封鎖は出入り禁止、閉鎖は施設の使用禁止という意味なのだから、「人の出入りができないなら同じじゃん」とでも思っている人は明らかに誤解している。封鎖であれば施設や都市内に人は存在し、機能もしているが、出入りだけができなくなっている。閉鎖の場合は機能を停止させ、人も存在しないことになる。だから閉鎖の方が厳しい措置になるのだから集団感染を避けるために最低限しか行うことができない。感染症対策の場合、封鎖の方は中途半端な措置になりやすく、効果的ではない。例えば、「学校を封鎖」というのであれば、外に危険人物などがいて子供を守る必要があるために門を閉めて出入りできなくするということになる。「学校を閉鎖」というのであれば、校内でインフルエンザなどが発生してしまったために学校を使えないようにして誰もいない状態にするということになる。)
【閉鎖】
atresia《病理》〔【形】atretic〕
closing(会社・工場・施設などの)
closure(商売や行為などの)
closure《言語学》(音声学の)
occlusion(音声学の)
winding-up(会社の)
https://eow.alc.co.jp/search?q=%e9%96%89%e9%8e%96
【封鎖】
blockade(港・海峡・道路などの)
closure
lockdown(刑務所内の)〔暴動などの後で、安全のために囚人を監房に閉じ込めること。〕
https://eow.alc.co.jp/search?q=%e5%b0%81%e9%8e%96
最近、東京都医師会がこのようなメッセージを送っている。
「世界中の人々が新型コロナウイルス感染症で苦しんでいます。日本でも多くの人が苦しんでいて、これまでみんなで自粛しながら頑張ってきました。でも、なかなか患者さんの数が減ってきません。たぶんそれは日本という国が自由で、それぞれの判断に任されているからなのだと思います。
そして、いよいよ歯止めがきかなくなって感染爆発(オーバーシュート)の可能性が出てきました。自由は日本のいいところだと思いますが、このままでは自粛どころではなく、都市閉鎖(ロックダウン)や本当に窮屈なことになってしまいます。
そこで東京都医師会からのお願いです。皆さん想像してみてください。
“新型コロナウイルス感染症に、もし今この瞬間から東京で一人も新しく感染しなかったら、2週間後にはほとんど新しい患者さんは増えなくなり、その2週間後にはほとんどの患者さんが治っていて、その2週間後には街にウイルスを持った人がいなくなります。”
だから今から6週間、皆さん誰からもうつされないようにしましょう。みんながうつされないようにすればたった6週間頑張ればいいのです。みんなで頑張りましょう。」
これは政府も同じようなことを言っているが、やはりあまりにも短絡的な発想だろう。これで根絶できると本気で信じているならとても専門的知識や見識を持っているとは思えない。
このメッセージにはツッコミどころが多すぎて、とても専門家が主張していることとは思えない。
まず、「一人も新しく感染しなかったら」という部分だが、一体どうすればそんなことができるのかということになり、それを明示してもいない。
例えば「外出しなければ」といった具体的な行動制限等の条件がない。当然、外出しなくなったとしても、一人も感染者が出なくなるということはあり得ない。外出しなければ玄関先で配達員などと接触することにもなるし、そもそも誰も外出しなくなったら外で働く人間が一人もいなくなるわけだから、それでは社会が機能不全に陥り、やろうと思っても不可能。
全ての感染者を特定して隔離することもできず、ワクチンも存在せず、人の間でのみ感染するウイルスではないのだから、現時点で「今から6週間、皆さん誰からもうつされないように」という状況にするのは明らかに不可能。
(特に倉庫や配達といった物流関係の労働者は人員を増やしてできるだけ休みを多くとらせ、休んでいる日の給料も支払うということをしなければ長くは持たないかもしれない。インフラの中でも特に重要な分野である物流で何かあれば供給が断たれてしまいパニックどころでは済まなくなる。こういうことは問題が深刻化してから対処しても手遅れになる。配達はここ数年、ただでさえ激務になってきているのに、ここにきてさらに負担が増している。配達員が客から感染するということも十分考えられる。)
そして、「2週間後にはほとんど新しい患者さんは増えなくなり」とあるが、なぜ2週間なのか理由が不明。
やはりこの「2週間」という期間についても政府は同様のことを言っていたが、このメッセージではそもそも前提が曖昧すぎて何を言っているのか分からないため、政府見解と同じことを言いたいのかも不明。
仮に同じことを言いたいのだとしても、欧米で行われているロックダウンは既に2週間、4週間を過ぎているにもかかわらず当然のように「一人も新しく感染しなかったら」という状況になどなっていない。
さらに、「その2週間後にはほとんどの患者さんが治っていて」とあるが、これも何を根拠に2週間で治るとしているのか不明。
この病気は安静にしているなり、何らかの治療薬の投与なり、そのようなことで2週間でほとんどの患者が治るという意味なのか。
そもそも一口で「患者さん」と言っても、無症状感染者、軽症~中等度、重症者が存在するが、それらほとんどの患者はどうやって2週間で治るのか意味不明。
特に重症者がどういうことをして2週間で治るのか。
様々な記事を読んだが、2週間で治る病気ですといったものは見たことがなかった。
最後に、「その2週間後には街にウイルスを持った人がいなくなります。」とあるが、これはその街(例えば東京23区のどこか)からこの戦略?によってCOVID-19が根絶されてセーフゾーンになるということを言っているということなのか。
そもそもあまり検査もせず、検査をしたとしてもまた陽性反応が出るケースもあるという病気なのだから、「街にウイルスを持った人がいなくなります」とするのはあまりにも乱暴且つ無責任すぎる話のように思ってしまう。
「都市閉鎖(ロックダウン)」という部分一つとってもおかしい。
都市閉鎖という言い方をしてしまったらその都市を機能させず、人がいない状態にすることになってしまう。
「なかなか患者さんの数が減ってきません。たぶんそれは日本という国が自由で、それぞれの判断に任されているからなのだと思います。」と最初の方に書かれてあるのだから、話の趣旨としては医者や国の言うことを聞かずに自分勝手なことをしている者が多いために感染拡大が止まらないという解釈しかできない。
そうだとすれば、一体、何をすればこの医師会が言うようにたった6週間でCOVID-19を日本から根絶できるのかを明示するべきだが、そこに触れてもいない。
政府が言うように、人との接触を8割削減ということを言いたいのであれば、それで誰からもうつされないようにして一人も新しく感染しない状況にはできない。
東京都医師会は一番重要なことには触れず、一般市民の行動のせいにして逃げている。
恐らく、医療従事者の感染リスクが高い厄介な病気だから相手にしたくないというだけなのだろう。
政府も医療従事者の報酬を倍増させるとか、重症患者の受け入れを促すといったことをしているが、当の医療従事者のやる気がないのではしょうがない。
https://www.afpbb.com/articles/-/3279256?cx_part=top_topstory&cx_position=1