2019年6月3日にアラカイ・テクノロジーズが発表した"Skai"という燃料電池で動く輸送用ドローンは空の交通システムを支配する可能性がある。
この企業にはスペック的には競合が存在していないのだから、新しい枠組みや仕組みを独占できる立場にある。(鉄道ではあるが)日本で言うところのJRのようなものになり得る。
これと似たような物は以前から存在しているが、ここまで欠点のない物はどこにもないし、当分の間、追いつける企業はない。これは電池のコストを無視して物としての完成度に拘っている。
現時点でFAAのテストが開始されていて、2020年にFAA Part 21.17bの証明取得が完了するということなのだからコンセプトでもプロトタイプでもなく、既に完成しているらしい。
発表から数か月後に1万台も生産するというのだから、あらかた話はついていることになる。
これは人以外にも宅配便のように物を運ぶこともできるのだから、使いようによっては物流にも影響する可能性がある。
これはヘリと同じように使うことができるのにパイロットが不要で、ヘリよりもずっと安い。しかも静音性まで最初から兼ね備えているという。
リリース当初はパイロットが操縦するらしいが、恐らくすぐに自律飛行か地上からの遠隔操縦に切り替わる。
これは不要だと思われるものを最初から極力削ぎ落し、単純な設計になっているために最初から高い生産性と安全性を持っている。整備費もほとんど掛からない。
鉄道網がまだ不十分な国で鉄道をスキップして普及させることもできるのかもしれない。鉄道よりはずっと安上がりになる。
(一般の列車の車両価格は1両1億円。新幹線は3億円)
直接機体同士を繋げるのではなく、ギリギリの間隔を保ちながら列車のように繋いで運用することができれば列車の代わりになるかもしれない。
このSkaiは現時点では5人しか乗れないが、列車化や大型化などによって人数を大幅に増やすことができれば今までになかった交通網が一気に整備される潜在能力がある。
アラカイはエアタクシーを目指しているが、このようなタイプの輸送機はドローンとほぼ同じ物なのだから恐らく今までに見たこともなかったような使い方ができる。
将来的に軽量の全固体電池などが大容量化して安価になった場合、燃料電池から切り替えればそれで済む。
Skaiは小型ヘリコプターであるエアバスAS350(26億円)とほぼ同じ性能を持ちながら価格が1/50~1/100 であり、運行費が1/8しかない。
Skaiはドローンとヘリコプターと宇宙工学を融合させたような物に見える。何よりも極力単純なつくりになっていてオスプレイのようなプロペラの角度が可動するタイプではないために安定性が高そうに思える。翼がないために格納もしやすい。
交通手段として列車のように使うことはあまり現実的ではないが、大型化であればヘリにはできないような目を引く面白味のある遊覧飛行が可能になるかもしれない。
リバークルーズはどこにでもあるが、空でそれと似たようなことをやっている例は今のところないように思える。
大型化せずに3~4機ほどで一定の間隔を保った状態で飛ばせば今のままでも同じようなことができる。
静音性が高いのであれば都市部でも使える。低速で使う分にはそれほど大きい音は出ないはず。この場合、常に一定の回転数を保つというのではなく、モーターを動かしたり停止させたりというオン・オフを頻繁に繰り返す方法の方が音が出ないのかもしれない。
鳥などもずっと羽ばたいているのではなく、羽を動かしたり停止させたりしているのに滞空時間が長い。これはラジコン飛行機や本物の飛行機でも同じ。
モーターが停止していれば当然、音はしなくなるが、それと同時にプロペラも停止するわけではない。
このような使い方はロープウェイに近いが、ロープウェイと違ってどこでも運用でき、且つ自由度の高いコース設定もできる。
※しかし、現時点ではまだ飛行している映像を見せていないため、実際のところどういう動きなのか、どの程度の音なのかが分からない。
https://www.businesswire.com/news/home/20190603005366/ja/
https://wired.jp/2019/07/16/alakai-flying-car-air-taxi-evtol-hydrogen/
http://tokyoexpress.info/2019/06/09/エアタキシー用の水素燃料電池使用evtolが間もなく/
参考