皆さんのサラリーマン人生において、忘れられない上司が何人かいると思う。
自分にも、そういった人がいる。
旧帝大を卒業。グロービスの経営大学院のMBAコースを首席で卒業。
業務においてもその発言は切れ味鋭く、同僚や上司レベルのみならず、経営陣クラスにも、言いにくいこと、きちんと言っていく。任された仕事は完璧。
そんな人が数年間私の直属の上司になったことがあった。
当時私は、管理職になりたてであり、かつ営業部門から本社事業部門に異動になるというかなり環境の変化に戸惑っていた時期であった。おまけにそんな上司に元についたものだから、毎日毎日マイクロマネジメントかつ、嫌味がすごかった。
まず、議事録を書いて提出したら、ほとんど原型を留めないほど赤で修正される。
普段の成果物にも恐ろしく細かくチェックされる。本人は夜中まで働いているので、そんな時間にもあれやこれやと指示が飛んでくる。
あるメンバーから資料のチェック依頼があり私が「異論ありません。」と返信したら、
「『異論無い』と返信したあなたに異論ありです」と。
こんなやりとりがいつも続き、精神的にほとほと参っていた。ただ、その分、ものすごく面倒見もよく、会議では絶対守ってくれる、梯を外したりしない絶対的に信頼できる存在でもあった。
このような尖った存在は、日本企業にあまり馴染むものではないようで、同僚や彼のことを理解する上司以外からは、かなり疎まれていた。あまり優秀でないとわかった上司や同僚に対して、正論で徹底的にやっつける。完膚なきまでに。
360度評価というのが年一度あるので、そこで、正論で倒れている相手を刺さなくても、と書いたこともあった。
しかし、行動変容は見られない。かくいう私も360度評価で指摘されていることを自身の変革に活用したことはほぼない😆
彼は、事業部でグループを率いても良いほどの優秀さを持っていながら、各部署をわたり歩き未だチーム長である。
ただし、経営企画部兼務など要の部署との接点は持たされ、彼が得意な領域で便利遣いをされている状況(本人談)。
正しいことを、ぐうの音も出ないほど相手に見せつけることが、ことサラリーマンの人間関係において必ずしも良い結果を生むわけではないことを、彼から学んでいるのである。
正直、彼は皆から嫌われている。
私は彼がいなければ今の自分はなかったと思っており、未だに敬意を抱いている。
彼はいつも彼のいない飲み会で噂にでる。
彼の評判を求められた時、彼との業務経験をおもしろおかしく軽く落としながら話す。
でも私は必ず、「彼は絶対に信頼できる男」だとコメントしている。