雨上がりの夜で
蒸した新緑の匂いがした。

ついさっきまで
あんなにはしゃいでたのに
今は怖いくらいの沈黙。

アルコールが冷めてきたのかな。

疲れちゃったのかな。


「もう帰ろうかー。」
「かえらなーい。」

「眠いのー??」
「ねむくなーい。」

「酔っ払いー。」
「よってないー。」

「平成??」
「もう令和ー。」

君のTシャツに描いてあった
平成おじさんを茶化したら
やっと笑ってくれた。

「そろそろ帰ろ。」

答えるかわりに
僕を静かに見つめて

君は。
「…帰りたいの?」

僕は。
「そうじゃないんだけど…」

君に好きだと言ってしまったのが
3日前で。
僕たちはお互いのスタンスを探っていて
こうしてふたりで車内でいたら
いつもはしゃいでた雰囲気とは
今夜は少し違って。

窓の外ばかり見ている君に
どうしよう。って思っている。

どうしよう。って思っていたら。

君の柔らかい唇が
ゆっくりと僕の唇に重なって
僕は呼吸をとめた。

「…いや??」

「…いやなわけない。」


こんなに
柔らかな優しいキスを
僕は初めて知った。