祖父はかつて、食料品店を営んでいました。決して人口が多くはない町の、沢山の人に愛されていた店でした。
朝7時半に祖父が市場から帰ってくると、わたしも荷を下ろすのを手伝いました。夕方閉店の時にはお店を掃き掃除しました。
学校から家に帰ると夕飯支度の買い物をするお客さんが店にいて、たくさんよくしてもらいました。
祖父は80で脳梗塞になるまでずっと働き続けました。
深夜の2時に起きて市場に行き、夜は8時に寝室に入る。判で押したような生活を繰り返し、弛みなく働き続ける祖父の背中を見て、この人には一生かなわないと思っていました。
その後の紆余曲折の後、明日、ついに自分の店が開店します。放射線治療とともに歩んだ店の準備でした。
立つことも座ることもできなかった時期もありましたが、今は痛みから解放され、腫瘍も縮小しているという実感を持ちながら迎えた人生の転機です。
自分が祖父のようになれるとは、今でも思いません。
でも、あのじいちゃんの店のような場所、もしかしたら、もしかしたら今の自分なら作れるかもという、淡い期待だけで突き進んでいます。
そして沢山の人の協力を得て、店に命が吹き込まれました。
あまり身体に障らぬよう、歩みを進めていこうと思います。