2019年5月のテーマ

「旅を感じる本」

第三回は、

「ダ・ヴィンチ・コード」(上・下)

ダン・ブラウン 作、越前敏弥 訳

角川書店 2004年発行

です。

 

アマゾンには文庫版しかなかったので、こちらをはりつけました。

 

2006年に映画化され、その後この作品のシリーズ作品も映画化されたので、ご存知の方も多いと思います。

 

主人公はハーバード大学のロバート・ラングドン教授。宗教象徴学の権威です。

ルーブル美術館で発見された奇妙な死体。それはレオナルド・ダ・ヴィンチのウィルトウィウス的人体図を模したものでした。

被害者と面会予定があり、象徴学を専門とするラングストン教授は、遺体をこのように配置した意図を探ってほしいと警察から依頼され、事件現場に足を踏み入れ、この事件に深くかかわってゆきます。

そもそも警察が彼から参考意見を聞きたいというのは口実。実際は強力な容疑者とみなしたからでした。

ラングドン教授は、警察から追われる身となり、追っ手をかわしながら死者の残した暗号を解いていきます。

 

この作品は、謎解きを主軸にしたサスペンスアクション物で、作者のダン・ブラウン氏はたくさんの伝説や歴史上の人物・事実、と、マニアックな流説を組み合わせて、この魅力的なエンターテインメント作品を作り上げています。

彼の知識は非常に豊富で、発想が奇抜なのに説得力を持たせることに成功しているため、作者自身がフィクションだと言っているにもかかわらず、多くの研究者の間で議論になっています。

正直、どこまでが歴史的事実でどこからがフィクションか、素人には見極めがつきません。

(だから議論になるんでしょうね。)

 

一見、『旅』というテーマにふさわしくない作品のようですが、こちらの作品では、謎解きの過程で名所、旧跡や観光地を回ります。話の本筋とにからめて、その観光地の歴史的背景や豆知識なども紹介されているので、読んでいる方は暗号の謎の他に、美術品、建築物、名所旧跡の背景など、膨大な情報量にお腹いっぱい・・・。

フィクションとは知りつつも、作中で主人公たちが暗号に導かれて訪れる観光地に行ってみたいと思う読者は私だけではないはず!

という思いがあり、この作品をチョイスしました。

 

ちなみに、この作品では、ルーブル美術館をはじめとして、エッフェル塔やウェストミンスター寺院、テンプル教会などを訪れます。

 

実はこの作品は、ラングドン教授シリーズの第二作目で、一作目の『天使と悪魔』では、イタリアのバチカン市国を拠点に、ローマ市内の観光名所を巡ります。(映画化された順は逆ですが。)

第三作目『ロスト・シンボル』はアメリカの首都ワシントンDCを舞台にした作品。(映画化していない)

第四作目『インフェルノ』はイタリアのフィレンツェ、ヴェネチアやトルコのイスタンブールを舞台にした作品。(2016年映画化)

 

どれもスリリングなストーリーと、暗号解読して各地を巡るという展開は健在です。

他の作品に比べると、この『ダ・ヴィンチ・コード』は登場する名所が、すごく有名!という場所が少ない気がしますが、私にとっては初めて読んだダン・ブラウン作品であったことと、ルーブル美術館やウェストミンスター寺院が憧れの場所だったので、非常に個人的な観点から、この作品をおすすめしたいと思いました。(^ ^)>

 

映画で観るもよし、本でじっくり楽しむもよし、世界を駆け巡って暗号を解読するラングドン教授シリーズ、おすすめです。(*^▽^*)