折り返しを過ぎて

 大阪・関西万博は開幕から3ヶ月を過ぎ、7月13日に半年の開催期間の折り返しを過ぎました。

私たち家族が開幕券で初めて訪れたのが開幕5日目の4月17日でした。

 

 

 その後通期パスを買いなおしてそこそこ通い詰めてきました。6歳の子供連れで、親だけ単独で、実家の母親を招待してなど様々パターンでの来訪回数はのべ15回となりました。


 開幕前は批判意見ばかりだった万博も、今では好意的な感想がそれを上回っています。気持ち悪いと酷評だったミャクミャクも今では大人気キャラクターとなりましたね。

 人々をそこまで惹きつける魅力はどこにあるのでしょうか?SNSにもパビリオン、グルメ、イベントなどのレビュー、攻略情報があふれていますが、現時点での私たちなりの中締めをしつつ万博最強説を7つあげてみたいと思います。ただ、万博の混雑状況、各施設の運用などは日々変化していて「昨日までの常識は、今日の非常識」ということを念頭に読んでいただければと思います。

1.通期パス最強説

 私たちが最初に訪れた4月は来場者数も現在の半分ほど。今にして思えば夢のような環境だったにもかかわらず、やりたいこと、観たいもののごく一部しか体験できませんでした。とにかく疲れはしたものの、「もうこりごり」という気持ちはさらさらなく、「また行きたい」という思いで家族の意見は一致しました。「今後何度も通うことになるのであれば」ということで早期来場キャンペーン期間の間に24,000円で通期パスを入手しました。いくら割引価格とは言え、家族全員分となると結構な出費です。「本当に元が取れるかな?」などと思いながら購入したものです。今はキャンペーンも終了し通期パスは30,000円です。4回以上行かないと元が取れない通期パスですが、それでも推す理由を挙げていきます。ちなみに入場が8月31日までに限定される夏パスであれば12,000円で入手可能です。

★3つの日程予約枠、日付変更無制限
 通期パスは異なる日付で3日まで来場日を予約でき、それぞれ予約した来場予定日ごとにパビリオンの事前予約が可能です。またそれぞれの来場予定日もキャンセルや変更を無制限に行うことができるのです。なお、通常パスの場合は来場日変更は3回までしかできません。

★2ヶ月前抽選で予約困難パビリオンをゲット
 来場予約枠が3つあるということは、空いた枠を使って2ヶ月前抽選にチャレンジできるということです。高評価にもかかわらず予約が困難を極める住友館、モンスターハンターなどの人気パビリオンは当選確率が高い2ヶ月前抽選で狙うのが一番効率的だと思います。それ以外にも7日前抽選、3日前先着、当日予約と機会はたくさんあって様々な攻略方法がSNSにあふれていますが、単独(ソロ)参加ならばともかく家族全員でとなるとぐ~っとハードルがあがってしまいます。

 

 7日前抽選の全落選結果通知に肩を落とし、3日前先着を取るために日付が変わる1時間以上前から繋がりにくいサイトと格闘したあげく、サーバーエラーで寝不足となり、現地で当日予約の開放時間にあわせてずっとスマホとにらめっこした挙句、早押しに負ける。こんな苦労とおさらばです。

 

忌まわしい画面の数々…


 ただ、いくら当選率の高い2ヶ月前抽選と言え、住友館などの人気パビリオンは全落選の可能性は大いにあります。そんな時はさくっとキャンセルして来場日を少し後にずらして抽選に再トライということを当選するまで延々と繰り返すのです。そんなことが可能なのは通期パスだけです。夏パスは利用期限まで2ヶ月を切っているのでこの作戦は不可です。


 親子3名セットで申し込んだ住友館の当落履歴はこんな感じです。7日前抽選はいくらやっても全外しでしたが2ヶ月前抽選はチャレンジ3回目で家族3人分の第一希望をゲットです。



 同様にして、モンスターハンターの予約も家族全員分とれました。ただ、7歳以上という年齢制限に当選後気づき、息子くんは参加できなくなってしまいました。同様の制限があるガスパビリオンは特に年齢を確認されることなく入れたのですが、ここは子供本人に年齢を聞かれるということなので、息子くんに嘘をつかせるわけにもいかないので泣く泣くキャンセルし、親だけが行ける日に再度予約を取り直しました。


 どうしても家族で行きたいけど予約困難なパビリオンを2つ2ヶ月前抽選押さえておくことができれば、心に余裕ができます。会場で当日予約に躍起になって「せっかく来たのにずっとスマホを見て何をやっているんだろう」という状況はなんとしても避けたいものです。

★疲れない万博
 初めて行った時はとにかく一日で可能な限り制覇しようととにかく歩き、どっと疲れました。通期パスの場合は「また来ればいい」という安心感から「今日はお目当てのイベントだけ」、「東エリアだけ」、「ミャクミャクくじだけ」、「午後からサクッと入場」、「仕事の後にソロで」といった感じで「いかに疲労をためずに楽しんで帰るか」という方向に思考がシフトできます。疲れない万博の実現です。

 

ブルーインパルスは2日間ともそれだけサクッと見て帰ってきました。

 

やはり会場で観るのが一番です。

 

 ただ花火などの大きなイベントがある日は花火はゲート付近で観る、西ゲートのバスを予約するなどして帰宅ラッシュをうまく避けないと会場を出るのに1時間、そこから駅改札まで1時間などという恐ろしい目にあうことと思います。

 

5月31日の大曲花火の日。すでに東ゲートを出ていますが、迷路のように設定された駅までの迂回ルートをひたすらぐるぐる回らされています。小さい子連れには辛いと思います。

2.朝イチ最強説

 パビリオン、レストラン、物販などお目当てはいろいろあるかとおもいますが、いずれも入場予約は朝一番9:00の枠、かつその枠内でもできるだけ前のほうで入場するのが圧倒的に有利です。

朝イチバンに入るといろんなメリットがあります。

  • 自由入場のパビリオンがガラガラで入り放題
  • アイルランド館の入場整理券を狙える
  • ガラガラの予約専用端末で誰でも失敗なく予約が取れる
  • 9:00空き枠開放のパビリオン(null2, 大阪ヘルスケア, モンハンブリッジ, 電力館, 関西パビリオン)の当日予約が狙える
  • 大行列のミャクミャクくじにほとんど並ばない
  • 他にも人気のサウジのレストランに並ぶ、売り切れ必須のポルトガルのエッグタルトを買う、ブラジル館のポンチョが欲しいなど…

 他に、「住友館の当日予約無し待ち列に並べる」という説もありましたが、ゲートオープン直後にゲートを通過してもすでに待ち列定員オーバーで成功したことはありませんでした。(後に、スタッフパスを悪用してゲートオープン前に並ぶ不正があったと聞きました)。今はそんなこともあってか、住友館の「予約なし枠」に関してはLINEの当日抽選法方式が導入されています。

 

 

 あとミャクミャクくじはあまりの大行列で、場所を西ゲート付近に移転して処理能力があがっていました。

 

★朝イチを目指すには

 朝イチが圧倒的に有利だというのはほぼ常識化してきたせいか、どんどんハードルがあがってきています。私の実績はこんな感じでした。

  • 4月17日 夢洲駅8:15着、東ゲート最終並び列先頭から約20番目 9:17ゲート通過
  • 5月9日 桜島シャトルバス始発8:10経由の西ゲート最終並び列先頭から12番目 9:06ゲート通過
  • 5月28日 夢洲駅7:12着、東ゲート最終並び列ポールポジション 8:55ゲート通過
  • 6月15日 夢洲駅7:12着、東ゲート最終並び列先頭から7番目 8:59ゲート通過
  • 7月30日 夢洲駅6:45着、東ゲート最終並び列先頭から8番目 8:58ゲート通過

 とにかく誰よりも先に入りたいという人が増えてきたせいか、6月の段階で東ゲートのオープン前の混雑に危機感を覚えました。特にかたまりとなった待機集団からゲート毎の縦行列への並びが開放される瞬間が危険でした。走る人あり、押す人あり。いつ将棋倒しの惨事が起きてもおかしくない状況でした。その時は6歳の息子くんを連れていて「子連れの時は次からやめよう」と思ったものですが、その後誘導方法に改善が加えられました。7月30日に行った時は、7時前まではゲート前広場の外周に沿って横4列ぐらいの細長い待ち行列を形成させて、7時ごろに各ゲート前最終待ち列へ直接分散させる方式となり安全性が増しました。

 

6:48の時点で画面左上を先頭に外周の国旗が並んでいる付近まで細長い待機列(赤塗部分)が形成されていました。

 

6:56ごろに警備員(赤丸)を先頭にゆっくりと誘導を開始、一気に最終待機列まで行きます。

 

外周の長い待機列がすべてなくなると、あとは到着順にバラバラと分散して埋まっていきます。簡易椅子などや荷物などで場所を取って周りの人に一声かければトイレにいくなどの自由はありました。

 

ちなみに会場では折りたたみの簡易椅子を持っている人がたくさんいます。目立つのは従来の折りたたみ式と、丸い伸縮式のものの2種類です。

 

 私が買ったのは会場でよく見かけるこれです。なんといっても軽くかさばらず、座面が収納カバーを兼用していてカバーをなくすこともないのがうれしいです。家族分複数個持ち歩いても苦になりません。

 

 

もう一種類よく見かけるのがこれです。

 

 

 

高さ調整が可能で、最大限伸ばすと結構な高さになり快適に座れそうです。ただ重量が1kg越えで複数個持ち運ぶのは辛いと思います。

 

あと、日傘の無料貸し出しサービスもありました。借りた日傘はゲート入場の際に返却します。

 

7:15ごろにトイレに立った時のゲート前の待ちはこれぐらいでした。

 

いざゲート前に並ぶと意外と少ないと思うでしょうが、これでも数百人はいます。この日も開場後8分ほどで入場できましたが、アイルランド館の整理券受け取り列には長い列。結局満員で並ぶことすらできませんでした。ちなみにこの時点で9:01です。

 

それでも、朝イチの優位性を活かして、カナダ館、オーストリア館、ブラジル館に並ばずに入館。ハンガリー館の生歌も聴くことができました。

 

ハンガリーの入場待ちの間に、当日開放予約もゲットできました。

 

その後も当日予約されたパビリオンをこなしながら空いているパビリオンをまわり、夜の「アオと夜の虹のパレード」の当日予約鑑賞から花火まで堪能できました。

 

 

1日だけしか来れない人は特にとにかく朝イチを目指しましょう。

 

★そもそも9:00枠が取れない問題

 そんな有利な9:00枠ですが、そもそも入場予約の段階で直近は9:00枠が埋まっていることがほとんどです。

 

 ここであきらめてはいけません。とりあえず、取れる時間で予約を取ってから変更手続きの画面でキャンセルなどで9:00枠が空くタイミングをひたすら狙うのです。7日前抽選のあと、3日前先着のあとなどにキャンセルがよく出ます。いろいろ試していると効率的に狙う要領がつかめると思います。私はいつも1時間程度格闘して9:00枠を取っています。家族分まとめて変更はできないので、家族で行く場合は人数分それぞれ格闘する必要があるので、まる一日がかりの場合もありますが、それでも9:00枠を押さえる価値はあります。

3.当日予約端末最強説?

 かつては最強だったのですが、今は少し微妙になってきたのであえて?マークを付けました。当日予約端末とはパビリオンの当日予約専用の端末で会場内の6か所に設置されています。狙えるパビリオン枠は個人のスマホで操作するのと同じなのですが、当日予約に特化されていて操作性、レスポンス、画面のわかりやすさなどスマホサイトに比べ圧倒的に有利です。またこの端末で先に予約を取った場合に限り、スマホで別の当日予約が取れるということからも人気となりました。(※先日は不可でした。たまたまだったのかシステムが変わったのかは不明です)

 

 特に決まった時間に一気に空き枠が開放されるパビリオンが増えてきたので、その時間に予約端末の前にいればほぼ確実に狙ったパビリオンの予約が取れると思います。スマホだとエラーになったり、操作にもたついてなかなか争奪戦に勝てません。

 

 そんな専用端末でしたが、少し前から一組あたり3分という利用時間制限がつきました。画面の左上にキッチンタイマーが装着されて、時間になると予約がとれなくても交代を余儀なくされます。

 

 当日登録センターには16台の端末がありますが、この3分制限のおかげで建物の外に伸びた長い行列もどんどん流れていくようになりました。ただ、特定のパビリオンの空き枠が開放される狙った時間にこの専用端末を操作するというのはほぼ不可能となってしまいました。列の長さと端末までの所要時間を何度か見極めて、えいやっと並んであとは運任せです。

 

 12:30ちょうどを狙って約20分並んで、時間ちょうどに専用端末の前に立てた奇跡のような時は、見事にモンハンブリッジが取れました。

 

 3分制限が導入された今、始めて万博に来てどこでも予約が取れればいいという場合を除き貴重な時間を費やしたあげく、狙った予約が取れない可能性が高いので、パビリオンに並びながらスマホで空き枠を狙うほうがいいかもしれません。

4.大屋根リング最強説

 開幕前は否定意見もちらほら見られた世界最大の木造建築、大屋根リング。かくいう私も「意味ある?」と思っていたクチでした。しかし行った人のほとんどは大絶賛だと思います。想像をはるかに超えて大きい。とりあえず大屋根リングに出れば迷わないといったことに加え、夏が来て本領を発揮しています。大屋根リングの下だけ異様に涼しいのです。会場内には他にも日よけスポットはたくさんありますが、大屋根リング下だけは別格です。木造だから?天井が高いから?風が通りやすいから?理由はよくわかりませんが熱中症警戒アラートが発動しているような日でも大屋根リングの下であれば余裕で過ごせます。椅子もたっぷりと用意されているので「疲れたら大屋根リングへ」が間違いないと思います。

 

5.夜万博最強説

 嫁さんはなかな平日は休めないので仕事帰りの夜に何度も通っています。日没後はなんといっても涼しくなり、さらに夜のショーが始まる時間にはパビリオンも空いてきて回り放題だからです。予約必須のパビリオンは最初からあきらめて他のまわれるところを楽しむのです。夜しか行われないショーもたくさんあり、サウジアラビアの夜限定のショー「水の物語」も夜に散策していなければ出逢えませんでした。

 

6.車椅子最強説

 私の母は90歳。腰椎圧迫骨折や脳梗塞を経て、腰もすっかり曲がってしまいました。杖をつきながら歩けはしますが、せいぜい数十メートルが精いっぱいです。広大でとにかく歩く万博はとても無理に思えました。そもそも若いころから混雑と行列が苦手な母は万博開幕時「もうこの歳でとても無理」と自らリタイア宣言していました。ところが万博のニュースが連日メディアを賑わすのを見るにつけ、「一度でいいから会場の雰囲気だけでも見てみたい」と言い出しました。パビリオンに入れなくてもいいが、書道をずっとしてきたこともあり中国館に入れるなら入りたいとのこと。もし連れて行くのであれば万全を期してということで車椅子のアクセスについていろいろと調べました。会場でも車椅子のレンタルを行っていますが、数に限りがあること、レンタルの手続きに並ぶ必要があることなどから万が一借りることができなかったときのことを考えて市の無料レンタルの車椅子を事前に用意して持参することにしました。アクセスは自家用車ですが会場のある夢洲に駐車できるのは障がい者のみです。隣の人工島、舞洲からのパーク&ライドとなります。

★P&R駐車場利用記

 P&R駐車場を利用するには事前予約が必要です。駐車場はA~Eまでありますが、一番近いEを予約しました。

駐車場の予約にも時間枠があり、私たちは8:45の枠でした。意外と高速道路が空いていてかなり前の8時ちょうどぐらいに到着しました。事前に登録した車両ナンバーを認識して自動でゲートが開くシステムなのですが予約時間前であっても問題なく通過できました。予約の際にETCカード番号も登録しておけば駐車場料金の割引もあります。

 

 駐車場は広く、シャトルバスの乗り口までそこそこの距離を歩きます。車いすを会場でレンタルするプランを強行していたらこの時点で詰んでいました。事前に車いすをレンタルしておいてよかったです。

 

 シャトルバスの乗り口には少し行列ができていましたが。車いすは優先して乗せてもらえました。乗降もバリアフリーです。

開場前の8:35に西ゲートに着いてしまいました。

 

 すでにゲート前はたくさんの人であふれかえっていましたが、車いすは向かって右端の専用ゲートから入場できます。前に20人ほど並んでいました。

 

9:00ちょうどにはゲートを通過。お目当ての中国館を目指します。

 

朝イチで行列もなくスムースに入館、ゆったりと見学できました。

 

★車椅子優先の恩恵にあずかる

 これであとは大屋根リングを観れば目的は達成なのですが、せっかくなので少しパビリオンを見て回ることにしました。近くのクウェート館は人気ですでに行列ができていましたが優先して入場させてもらえました。続いてフランス館にも優先入場させていただいた後、「暑くなる前に帰りたい」という本人の希望もあって大屋根リングに登ったのち、大屋根リング下をぐるっと一周して帰ることにしました。猛暑ということもあって最短の滞在時間となりましたが、本人は楽しんだようで、帰りの車中で「涼しくなったらまた行きたい」と申しておりました。足腰が不自由、高齢だからとあきらめている親や知り合いがいたら教えてあげてください。車椅子最強ですよ。

7.今が最強説

 いろいろ書いてきましたが、何が最強って万博自体が最強です。世界中の人が集まって楽しそうに盛り上がるこの空間自体が最強です。こんな巨大な木造建築の大屋根リングは未来永劫出てこないのではないでしょうか?これもあと2ヶ月ちょっとでなくなってしまうのです。「あの大屋根リングは凄かった」と爺さん婆さんになっても死ぬまで語り継げる生き証人になれるのもあと少し。私のまわりにも躊躇している人はたくさんいます。開催期間の今が最強なんです。一度足を運んでみることをおすすめします。