公開日を待ちわびて

 息子くん行きつけの映画館では公開予定の映画のパンフレットがずらりと並んでいて、気に入ったのを2枚ほど選んで持って帰るのが楽しみのひとつになっています。クレヨンしんちゃんの劇場版新作のパンフレットを見つけたのは6月ごろ。今回のテーマはなんと息子くんが大好きな「恐竜」!持ち帰ったパンフレットを眺めたり、YouTubeの予告編を観てはずっと公開日の8月9日を待ちわびていました。クレヨンしんちゃんの映画は意外と大人の鑑賞にも堪える作品が多いので実は私も楽しみにしていました。嫁さんが用事で出かけた盆休みに父子二人で映画館に繰り出しました。

https://www.shinchan-movie.com/2024/


世代ドストライク

 しんちゃんの設定年齢は5歳。今の息子くんと同じです。世代的にもドストライクで、言動や笑いのツボも(悲しいかな)同じレベルです。始まるや否や映画の世界に引き込まれて、面白いシーンでは声をあげて大笑いしていました。


そう、ラストまでは…。


クレヨンしんちゃんの映画は所詮子供向けとなめてかかっていると大人が不意打ちで泣かされることがよくあります。今回も覚悟はしていましたが、最後にやられました。ボロボロ泣いてるところを息子くんに悟られないようにしながら、大人しくなった息子くんの様子を横目で見ると…。


大きなショックを受けた表情のまま固まって、必至にこらえた涙があふれて頬を伝ってポタポタ落ちていました。


そっとハンカチを渡すと、パパの腕に顔を埋めて私のTシャツの袖は涙と鼻水でぐしょぐしょになりました。


エピローグ、エンドロールが終わって観客が席を立っても息子くんは放心状態で動くことができず、ほぼ全員が退館したころにようやく腰をあげることができました。


なんとか看板の前での記念撮影はしましたが、本人の名誉のために泣きはらした顔は載せないでおきます。



「優しい子」

 嫁さんが妊娠中に産院が開催する両親学級に参加したときのことです。グループディスカッションの席で助産師さんから不意に「どんなお子さんに育ってほしいですか?」と質問されました。まだ子を持つという実感すら持てなかった当時の私は答えに詰まり「健康で元気に育ってくれれば何も言うことない」というような感じの回答をしました。

子供が生まれ、成長を見守るにつれ、あの質問の本当の答えをずっと自問し続けてきましたが、最近はこう思うようになりました。


「優しい子に」


 今回、他人の気持ちや感情に寄り添い、思いやり、共感する力がいつのまにかこんなにも立派に育っていたことに気づかされました。


父の願いはとっくに届いていました。