ちょっと目を離した隙に…
夕食を終えて、嫁さんがデザートのメロンを切り分けにキッチンに向かい、私も食器を下げに席を立った瞬間でした。ドスン!という音で振り向くとハイチェアに座っていたはずの息子くんが床にあおむけに転がっていました。椅子の上に立ち上がっていて足を滑らせたのか、背もたれを越えてそのまま後ろ向きにダイブして後頭部を打ったようです。
彼は、一瞬の間をおいて大声で泣き始めました。あわてて抱き起して外傷を確認しますが特に見た目ではわかりませんでした。嫁さんにあやしてもらっているうちに落ち着いて「あたまうった」などと自分で申告するなど受け答えもしっかりしていました。
「まだどこか痛い?」と聞いても特に主張するわけでもなく、30分もするといつもの元気な様子に戻り、機嫌よくお風呂に入って、いつものように就寝しました。
翌朝、異変が
祝日の朝、私だけ仕事だったので起きて朝食の準備をしていると、ベッドから抜け出した息子くんが「たたたっ」と廊下を駆けてリビングにやってきました。私が朝食の準備をしている時は彼も心得たもので、独りでおもちゃで遊び始めます。そうこうするうちに
「うんこでた」
まだトイレトレーニングがうまくいっていないので、事後申告です。お尻を洗ってオムツを替えて服も着替えさせます。
ここまではいつもと変わらない朝の光景でした。
中断した朝ごはんの支度を彼の分も併せて再開していると、珍しくキッチンのゲート越しに「抱っこ」と心細そうな目で訴えてきました。まだ私は異変に気付かず、抱っこしていては準備がはかどらないので寝ている嫁さんのベッドに息子くんを投げ入れ託します。
30分ほどして、嫁さんに抱っこされて彼は起きてきました。嫁さんにべったりくっついたままだったのですが、そこで異変が起きました。
突然吐いたのです。
まだ何も食べていないので透明な胃液のようのものが出ました。彼も「びっくりした」と動揺した様子で、服を着替えさせますが元気がありません。
「昨晩なにか悪いものたべさせたかなぁ?」
と胃腸の具合を心配して、頭を打ったこととの因果関係に思い至りませんでした。
祝日ということもあり、「何か異変があったら躊躇なく救急車呼んでな」と嫁さんに言い残して私は仕事に向かいました。
仕事も手につかず、合間を見て嫁さんに様子をうかがいます。
「熱はなし、本人が行きたがったから図書館と公園に行ったけどやっぱり元気がない」
とのこと。
「幼児」「頭を打った」などのキーワードで検索してみると、頭部打撲の後に吐くことはよくあるようで、「連続しない3回の嘔吐」が救急判断の目安のような文献を見つけます。嫁さんにその後吐いたかどうか聞くと、「午前中に1回吐いた」とのこと。計2回、リーチじゃないですか。
「元気がない」というのも該当するので、医者に連れて行ったほうがいいかもと思いながら検索を進めると、乳幼児は頭部CTによる被爆のリスクとのバランスが難しいということがわかりました。
さらに嫁さんからの追加情報で
「公園で滑り台5回すべって、お昼はチャーハン食べた」
とのことで判断に迷っていると
「お昼寝から起きたら機嫌がいい」
これで、様子見するという嫁さんに同意しました。
退社時刻と同時にダッシュして帰宅した私を迎えてくれたのはいつも通りの元気な息子くんでした。顔を見て「もう大丈夫」と確信しました。
保育園から呼び出し
翌朝も体調、機嫌とも良好そうだったので保育園に預けました。念のため、おとといの夜に頭を打ったことは伝えておきました。
そして通勤電車の中でスマホがなりました。園からです。
「何かあったら責任が取れない、医師の診察を受けてください」
とのこと。そりゃそうですよね。
嫁さんは途中下車して園に取って返し、かかりつけの小児科を受診。問題なしとの診断を受けました。
反省
息子くんが椅子の上に立つ動作をするのは何度も見ていました。その都度「危ない、落ちるよ」などとやんわり注意するにとどまっていました。高いところ、危険なところ、落ちたら痛いことなどわかってきているので無茶はしないと過信していました。今回どうやって落ちたのかは謎のままですが、直前に椅子に立っていたのは覚えています。こんな状態で一瞬でも目を離すと大惨事になりかねないことを肝に銘じ、きつく注意するべきだったと反省しきりです。
※注意
今回運よく大事に至りませんでしたが、素人判断は大変危険です。あくまで医者に判断を仰ぐのが大原則です。