恐るべき感染性胃腸炎

 その日は朝から胃が痛いほどにむかむかしていました。食欲もあまりありませんでしたが食べられないほどではなく、夕方には会社の泊まり勤務に普通に出社しました。そして勤務中、深夜0時をまわったころ激しい下痢に見舞われます。それも時間を置かずに何回も。6回を数えて落ち着いたころに終業。仮眠室に入りますが寒気と関節痛、そして全身のダルさで寝られません。未明に仮眠室を出て熱を測ってみると37.6度とそこそこの熱でした。その日も夕方近くまでの勤務ですが早退させてもらうべく日勤の人の出社を待ちます。下痢が続いて脱水気味なのはわかっているのですが、水もスポーツドリンクもあまり受け付けません。朝8時すぎにようやく許可をもらって早退。自宅近くのかかりつけの内科に行くことにします。体のダルさはピークで、もより駅までの一時間が倍以上に感じました。病院にたどり着くのがやっとの気分だったので嫁さんに頼んで診察券を持ってきてもらいます。
 
 診察の結果は感染性胃腸炎。ノロとかロタなどのウイルスが感染して発症するそうで、県内では発生数がインフルエンザを超えて一位で流行中なのだそうです。
 家族に感染者がいる、生牡蠣などの魚介類を食べたなどの思い当たることを尋ねられ
『きっと一昨日食べた鴨鍋に入れたメガドンキホーテで買った鴨肉だ!残った鴨肉は照り焼きにして弁当にしてもらって夜食べたし、やっぱドンキで生鮮食品ってのは、』
 …などと脳内で高速に結論づけようとしていたら「火を通していたら問題ありません」と即否定。第一嫁さんはぴんぴんしている(後で聞いたら同じ日に一日吐き気がして何回か吐いて何も食べられなかったとのことでしたが関連は不明)。結局原因は特定できませんでした。もしかしたらずっと下痢していた赤ちゃんのお尻の洗浄を洗面台で行っていたので伝染ったのかもしれません。
 
 尿検査では比重が測定範囲を振り切っており脱水が激しいとのことで水分摂取を勧められます。漢方薬と整腸剤と頓服をもらって自宅に帰ります。医師から指示された経口補水液(OS-1)とリンゴジュースを買ってきてもらうようにお願いして布団に潜り込みます。薬を飲んでも胃のむかつきは一向に収まらず「もしかしたらつわりってこんなのが何か月も続くんだろうか」などと考える余裕も最初のうちだけでした。
 

そして大惨事!

 深夜を超えたころ胃の痛みは限界に達してきました。「赤ちゃんがいるから嫁さんに病院に連れて行ってもらうにはいかないし、自分で運転は無理。救急車を呼ぼうか」と考えていた時です。突然猛烈な吐き気に襲われます。トイレに向かおうとしますが廊下に出たところで盛大に吐き散らかしてしまいました。吐しゃ物は透明で2リットルのペットボトルの水を全部撒いたくらいの信じれられない量です。そうこうするうちに第二弾が来てトイレに入ったところで今度は便所全体にぶちまけてしまいました。気が付くと吐しゃ物で廊下も便所も満たされてしまいました。昼間医者から吐しゃ物の恐るべき感染性について警告を受けていただけに絶望感ハンパないです。何も考えられずに立ち尽くします。異変を察した別室の嫁さんから「どうしたの?」と声がかかりましたが「こっちに来ないで」と静止します。
 
 このままでは嫁さん・赤ちゃんは部屋も出られない。伝染ってしまう。まる2日ほとんど寝ていないボロボロの体に何かのスイッチが入りました。徹底除染の開始です。汚染された衣類、トイレマットなどの布類はすべてビニール袋に入れて廃棄。床や壁はネットで調べた対処法に従い徹底的に拭き取った後に塩素系漂白剤をきっちり200ppmの濃度で調合した水に浸した雑巾で浸すように消毒してその後水拭きしました。2時間ほどかけて作業を終えたころには胃の激痛は収まっており、そのまま倒れこむように朝まで寝てしまいました。
 
 翌朝、嫁さんと赤ちゃんは実家に疎開してもらうことにして、義父に迎えに来てもらいました。
 吐いてからは胃痛は収まりましたが、吐き気は相変わらず。熱も思ったように下がらず経口補水液やリンゴジュースをちびちび飲みながら1日過ごしました。3日目にしてようやく楽になってきておかゆなどを食べ始め、このブログを書いている今日が4日目です。嫁さんは元気に里帰り生活を満喫しているようで一家総倒れという最悪の惨事は免れました。赤ちゃんは今日でちょうど生後7か月と先ほど知らされました。明日には実家に迎えに行く予定です。なお、ネットには感染性胃腸炎について予防に気を付ける点など情報がたくさんあります。特に赤ちゃんのいる世帯はこの季節十分に気を付けましょう。