今日女房が録画しておいた「ジエーンエア」を見た。最初は聞こえてくる話を聴くともなしに聞いていたが途中で気が付いた。イギリスのオースチン女史の名作「ジエーンエア」だと、、、、、。俺は中学生の時、末永先生と出会った。 社会と英語の先生で東京下町生まれ。 今思うと授業を離れた先生はべらんめえで、あの「ふーてんの寅さん」そっくりの口調だった。先生の娘さんはクラスこそ違え小学校の同学年、俄然先生に親しみがわいてくるではないか!   


先生の「噂」を聞くと小説それもイギリス古典を話させたら絶品らしい。俺は4つの小学校から集まってきた1年生の級友に提案した。 俺が先生の代わりに「地理」を6時間のところ3時間でやる。余った3時間で末永先生の「イギリスの小説」を聴かないか!、、、、みんな賛成してくれて早速先生に頼んだ。俺の「授業」は皆真剣に聞いてくれ驚異的な理解度だった。みんなも聴きたい一心だったと思う。


その後翻訳された小説も読んだ。今日本場のドラマも見た。でもジエーンエアは末永先生の話に尽きる。

ジエーンが火事で廃墟となった屋敷跡でかつて雇い主だった貴族と会う。「ジエーン! 僕には君に挙げるもの全てを失った!おまけに火事で視力も失った。君の邪魔者だ。」、ジエーンは「あなたが生きていてくれただけで私は幸せよ! これからは私があなたの目となり耳となるわ! 私、遺産を相続してお金持ちになったの。このお屋敷を昔通りにしてあなたと幸せに暮らしたい!」、、、、この大団円がたまらない!

それぞれで変わる声色といい、特に女性の感に迫った「訴える口調」は俺たちの想像を搔き立てた。


同じやり方でねだった「嵐が丘」は更に絶品だった。俺は「ヒースクリフ」に傾倒し、またキャサリンの愚かさに唇を噛み、彼女への彼の愛に共鳴し、泣いた。 今でもこの世で最高の作品は嵐が丘だと思っている。ヒースクリフを「偏執狂」とか「暴漢」とか悪く形容する人が多いが男として一途に愛を貫き、相手の幸せにわが身をこれだけ捧げた人間はいないと思う。キャサリンは彼への裏切りを謝りつつ亡くなるが女としてこれだけの愛を一身に受け望外の幸せな女性だったと思う。、、、、、、、と、これだけ熱く語るのも末永先生の「末永ワールド」の影響だ。


あれから50有余年、今でも鮮明に覚えている。今日あらためて分かったことがある。

「名作」は数多くあれど人がどう感動し、どう伝えるかによって全然違ったものになる。

末永先生!  先生の「ジエーンエア」今でも俺の中で熱く生きています!

有難うございました。