昨晩真木ようこのMCですすめる「アナザストーリー」というNHKの番組があった。、美空ひばり最後の公演となった小倉での命を懸けた模様が映し出された。  俺は、生前、美空ひばりはあまり好きでなかった。ふてぶてしい若作りの歌手と思っていた。一方島倉千代子は、頼りなげでいじらしく、薄幸という印象から応援していた。   今思うと全くの間違いで10歳未満からスターだったためベテランの印象があったが、俺と歳もそう離れていない。


彼女の唄は抜群に音感、リズム感に優れ、演歌は言うに及ばず、ポップス、ブルース、民謡果はジャズまで歌いこなした。

音域は、太い野太い声から裏声の返ったかわいらしい表現まで自由自在。小林幸子は美空ひばり2世と嘱望された時があったが歌のうまい歌手で終わりそうだ。  美空ひばりの歌には、「報われることが少ないけれど、社会の底辺で必死に生きる人への愛」がある。それを唄で見事に表現しきっている。それと「挑戦」。いつも「昔のヒット曲、持ち歌」に頼らずその時代、時代にふさわしい新曲で死ぬ時までチャレンジしていった。


今年、ビートルズの来日50周年企画でビートルズおたく歌手が唄いつづるそうだが、いつか美空ひばりでもやってほしい。似た企画があったけど歌唱力に差がありすぎて歌の心まで表現できなかった。それだけ「難しい曲」を思い通りに唄ってみんなを感激させていたのだ。


いつまでも「無理!」と言わずにこれに挑戦し歌い上げる歌手が続いてほしい。歌番組が激減し、「氷河期」と言われているが、歌手の力量のせいでもあると思う。心に響いてこない!

国民はそんな歌、そんな歌手を期待していると思う。 ジャンルちがいの10数人の歌い手が美空ひばりを追悼して熱唱する、そんな場面を見たいもの、それをやり通せる、力のある歌い手が出て欲しい!


彼女は戦後の混乱期、国民を癒し、奮い立たせた歌手であった。

死ぬまで戦後の復興と繁栄に寄り添った歌手でもあった。

俺たちは伝説の歌手と一緒に歳をとって幸せだった。

もう一度言おう。

美空ひばりを継ぐ歌手に会ってみたい!生きているうちに!