初訪。

浜松中心街の北の外れ。
しっとりと夜霧の似合う、裏通りの水路沿い。
ポツンと、しかし暖かく輝く看板ひとつ。
人通りがほとんど無いのに、
中からは、沢山の人の気配が洩れてくる。
八代●紀の唄にありそうな、情緒纏綿たる風情。
あぁこの感じ、実に久しぶり。

店内に入れば、案の定の賑わい。
カウンターのみの、狭く細長い客席ながら、
不思議に落ち着ける “何か” がある。
奥を見れば、2階に上がる階段。
上からも伝わる人の賑わい。

『チャーシュー麺』 を麺固めで。

透明感が印象的な、スッキリとした醤油スープ。
昨今流行りの <インパクト系> にはあらず。
豚骨・鶏・野菜 のエッセンスの塩梅が、
いかにも昔風で、そこはかとなく、
その “淡いタッチ” が、タマラナク懐かしい。

麺は、中太・中加水・ややウェーブ。
表面のモチモチ感と、芯のコシ。
固めで頼んだが、単なる <浅茹で>ではない、
実に丁寧な仕事だ。

具材も魅力的。
“見ただけで旨い!” 見事なチャーが4枚並ぶ。
しっかりと香ばしい風味と、
とろけるクリーミーさが共存。 これは凄い。
長めに切り揃えられた、細切りメンマ。
存在感と食感が倍加する この長さが嬉しい。
丁寧に置かれた1枚海苔と、
目にも鮮やかな、散らし青ネギ。
以上、簡潔にして完全なる布陣である。

『昔から変わらぬ味を一生懸命つくるだけ』
とは、ある本で見た店主の言。
現代ラーとは明らかに別趣ながら、
決して色褪せていない、その存在感。

そして、更に驚くべきことは、
世間のラーのほとんどが、まだまだ
<ジャンク&アバウト> の段階にあった時代に、
既にこのクオリティであったらしいこと。

これは充分 “名店” といえるだろう。



(情緒纏綿たる風情)