2020年6月18日
痛みのコントロールを目的にした入院から10日が経ちました。

主人はこのところ、病院の食事も残さず食べ、差し入れも口にしている様子。

「また甘いもの持ってきてください!」
というリクエストに応え、次男と2人で病院へ行ってきました。

立ち入り禁止の赤いラインを挟んで向き合う私たち。差し入れは直接手渡しできません。
主人は今までより足取りも軽く、血色も良いように感じます。
久しぶりに次男の顔を見られて、うれしそうにニコニコ顔おねがい

主人の現状を知りたい!
本人が「じゃあまた」と差し入れを手に病室へ戻ったあと、私と次男は先生から話を聞く時間を取っていただきました。

今日担当してくださったのは、初めてお会いする女医のT先生。主人担当の看護師さんも同席してくださいました。

入院に際して大きな障害になったのは3つ。
1 身体の痛み
2 右胸にパンパンに溜まった胸水
3 左肺のがん性リンパ管症

先生によると10日前は「かなりシビアな肺の状態」だったそうです。

1. 痛みについて。
毎日私に身体が痛い痛い!とLINEしてきた主人。緩和ケアチームはモルヒネの種類や量を変えながら、なかなか治まらない痛みと対峙、前日になりやっと痛み軽減に成功。
 ・パシーフ (朝1回120mg)
 ・オプソ (痛みに合わせて1回2包。1日5〜6回)

2. 胸水について
入院初日から水抜き。その後も2回目、3回目とチャレンジするものの、胸の中に形成されたいくつもの小部屋に阻まれ、少ししか抜けず。1番多くて3回目の300cc。胸水はどろっとした汚れた色。抜いてもまた溜まるため、現在の胸水の量は入院時と変わっていない。

3. 左肺がん性リンパ管症
10%の人にしか効かないと聞いていた炎症を抑えるステロイド治療が、なんと主人に奇跡的に効いた。呼吸の苦しさは今は落ち着いている。

ここ数日は、出された食事もすべて完食できていることもあり、痛み止めのモルヒネは点滴から内服薬に変更、水抜き用のチューブも脇からは外されています。

ただし血液検査やレントゲンから見れば、厳しい状況に変わりはない。
右胸は気胸のまま胸水で満たされており、ステロイドで今は抑えている左肺のがん性リンパ管症も、近いうちに悪化が予想されるとのこと。

先生、主人に残された時間はどれくらいだと思われますか?

「う〜ん、データを見れば、今こうして小康状態なのが既に奇跡なんですよ。でも薬の効果はずっと続くわけではないんです。余命は週単位。1ヶ月は厳しいと思います」

私は動揺しませんでした。
隣に座る息子も、黙って説明を聞いていました。
前の病院の主治医から1ヶ月前、余命は1〜2ヶ月と宣告を受けていたし、女医さんの予想もほぼ同じでした。

それでも、入院前の痛みや息苦しさが緩和され、本人が少しでも楽になったことはとても嬉しい。

「ここ数日は調子が良いこともあり、ご本人がご自宅へ帰りたがっています。なんでも家でやらなければいけない仕事あるとか。自分しかできないから、日帰りでもいいから一旦帰宅させて欲しい、と懇願されています」

帰宅したい!とは聞いていましたが、やらないといけない仕事があるとは初耳。
なんだろう?ちょっとびっくりしました。

「画像上ではかなり厳しく、個人的には最期まで入院されるのではと思っていました。ただ、ご本人の意思は尊重してできるなら叶えてあげたい。外出は今のタイミングを逃すと難しいでしょう。残された時間は長くありません。最悪なことを言えば、明日急変してそのままという可能性だってあるのです。帰宅するなら早いに越したことはありません」

自宅で苦しくなったらすぐにレスキューを飲むこと。効かなければ何度も。それでおさまらなければ救急車で病院に来るように、と説明を受けました。
それから持ち帰る薬の準備や手続きを考慮し、

⚫︎ 6月20日 (土) 午前退院
⚫︎ 6月23日 (火) 夕方入院
 ※ 間に緊急入院有り
という帰宅スケジュールが組まれました。

女医さんとの別れ際、再度念を押されました。
「結構元気そうに見えますが、実はそうではありません。肺がんはある時グッと悪くなります。今度その波が来たら、たぶんお別れの時だと思ってください。自宅ではほぼ介護ベッドで過ごし、ご家族がお世話してあげてくださいね」


コロナの影響で
「外泊・外出は許可できません」
と看護師さんからマニュアル通り説明を受け、帰るのをあきらめていた主人は、いきなり退院という形で4日間も家に帰れることが分かり、目を白黒びっくり
急転直下で許可が下りたことで、なぜ帰宅できることになったのかを私に執拗に聞いてきました。

「家族の中には、急変を恐れて退院して欲しくないって人もいるんだって。だから先生も私が引き受けるか確認してから、パパに伝えようと思ったんじゃない?帰ってこないでって家族が言ってるのを知ったら、患者さんが超落ち込むじゃん」

主人を動揺させないよう、女医さんから聞いた話をそのまま聞かせたら、本人もやっと納得してくれました。

私からも質問。
パパにしかできない、家でどうしてもやらなきゃいけない仕事って何?

「退職伺い。退職に伴う手続きを進めないと。退職のひと月前だから、今月がリミット」

結婚してからずっと、平日はいつも終電帰り。休みも返上して仕事ひと筋に生きてきた主人。
やっぱり真面目なんだなぁと思いました。
それと同時に、仕事人間の主人が退職伺いを出すことがどれほど辛いことか、考えるだけで泣けてきました。

浜松の長男にも主人の容体の連絡を入れました。
厳しい状況を知り、帰宅はどうしても難しいと言っていた今週末、主人の退院に合わせて帰る、とうれしい返事がありました。

奇しくも21日は「父の日」。
家族4人、自宅で揃って迎えられることになりました花束

週単位しか生きられないなんて信じません。
だって今の主人は家にいる時より元気だし。
何より本人が良くなることしか考えてない!
とりあえず7月20日の主人の61歳の誕生日は迎えさせてあげたい。
それを目標に頑張りたいと思います。