打ち合わせの後に新しい機材を見にいく為に出掛けた大宮のお話です。

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〈side  O&N〉

「ねー、ホントにおいらも行かなきゃだめ?」
車はすでに動いているというのにまだ駄々をこねているリーダー。

「まだ言ってんの?もう車出てるんだからいい加減諦めなさいよ。アンタだよ?綿雪が見たいって言ったのは。」

そう、新しい依頼に綿雪を使いたいって言い出したのはこの人で、ホンモノは溶けちゃうから作んなきゃいけないから参考に実物が見たいって言ったのもこの人。

だから俺は人工雪作れる会社探してアポ取って今日見せてもらう為にそこに向かってるんじゃん。

「んー、まぁ、そうだけど……。」

「見たくないの?綿雪。」

「それは見たい!」

「じゃあ何よ?期待にワクワクしてればいいじゃない。」

だんだん俺の口が尖ってくる。

「そーなんだけど。この服が……窮屈なんだよ~。嫌なんだよ、カチッてしてる感じがさぁ。」

ただのスーツじゃん……。

「こうやって行く時って髪の毛も相葉ちゃんに構われてセットされてるし、靴もめっちゃとがってるし、もー上から下まできゅーくつっ‼︎」

そう言うとネクタイを緩めて、というか引き抜いて後部座席に投げ捨て靴も脱ぎ座席を倒してダッシュボードに足を投げ出す。

「仕方ないでしょ、サクライの名前背負ってるんだから。大手百貨店のグループ企業の人間がジーパンにギョサンで客先行ったらダメなの。イメージ‼︎」

「へーい……」

下顎を前に出してふてくされた物言いで返事をする。

「会社近くなったらちゃんとしてよ。あと、寛いでもいいけど服にシワ作ったり髪型崩したら俺怒るからね。」

「…へーい」


ったく、しゃーねーなぁ。
店でツナギで作業してるこの人もまぁそれなりにかっこいいけど、こうやって細身のスーツに身を通して髪型を整えれば纏う雰囲気がガラッと変わって一気に男前になるんだけどな。
窮屈な服のせいでちょっとイライラしてるだけなのにいつもの優しい目が鋭くなっていつものふにゃんって笑う口元が下がって……色気を纏う。

男も女も、魅了される。

もうちょっと自分をわかってればコレをいろいろ武器に使えるのに、翔さんと一緒に営業に回ればかなり売り上げも上がるのに、天然と面倒くさがりの性格が宝の持ち腐れにしてる。


ま、営業ってガラじゃないしそんな事してたらパッケージ仕上がらないから俺らも分かっていながらそこは求めてないけどね。

「そこのふてくされてるオジサン」

「オジサンじゃねー」

「綿雪見せてくれる会社の近く、海なんだって。」

「へ?」

チラッと横目で見ると、素っ頓狂な顔をしながらちょっと口元がニヤけているオジサン(笑)

「メシ食ったら、少し寄って行きます?」

「マジぃ?え?釣り?出来るの⁇」

「アナタの釣り道具は元々この車に常備してあるし?船は……そう言うと思って予約しときました。」

「まじかーーっ‼︎」

そう言うと起き上がりかけた身体をまた座席に沈め、両手を天井へ向けてガッツポーズをする。多分今は、すんごい笑顔だろう(笑)

「ニノぉ……ありがとう♡いやー、まじかぁ…えー、釣りぃ?ふへへ、嬉しいなぁ」

「ま、オレ調達係ですから?」

運転してるから顔は見れないけど、声で嬉しいのがわかる。いいプランを立てたな俺、と一緒にニヤけた。

「さっ!ご褒美は用意したんだから、ビシッとして下さいよっ‼︎」

俺が喝を入れると

「はいっ‼︎」

と座席を起こし、ネクタイを持った右手を振り上げて続けた。

「いざ行かんっ‼︎待ってろ海ーっ!」



あのね………(-_-#)