嵐粧堂です。
BL要素もラブラブ要素もない……。

いや、まぁ、仕方ないっ(笑)



ではでは。



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rougeの佐野さんからの電話は例の物をもう1つ用意できないかって事だった。

カズに聞くと2~3日で用意出来るという。

「では来週また社の方にお伺いしますよ。……あ、マジっすか?いえいえ、ありがとうございます!ではまたその時にそのお話も伺えれば。……はい。はい、失礼します。」

スマホを切ると丁度智くんがアトリエから出てきた所だった。クレンジングが無いとか言ってまた戻っていく。
クレンジングってことは作業一旦止めるのかな。
そいえば何だかいい匂いがする。

キッチンを見ると潤が何かを準備してた。
まだ飯には早いから……あぁ、智くんの昼メシこれからかぁ。俺もなんか……小腹が空いたな。

「翔さん?」

少しボーっとしてた俺をニノが覗き込んできた。

「おぁっ!ごめん(笑)腹減ったと思ったらボーっとしちゃった。」

「あぁ、何かいい匂いしますもんね。」

「うん。あ、そいえば今の人さ、あのゼリーのお礼に仕事くれるってよ?」

「えっ⁉︎マジで?」

思わぬ副産物にまた2人して笑った。



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「お世話になります。嵐粧堂櫻井です。」

rougeの受付で佐野さんをお願いする。

「すぐ来ますので少しだけお待ちください。」

と対応してくれた受付嬢に

「嵐粧堂さんには相葉さんって方いらっしゃいますか?」

と聞かれた。

「へっ?」

営業先で雅紀の名前を聞くことが普段ないから驚いて思わずタメ口になる。

「あ、いえ、いないならいいんです。」

あわてて頭を下げる受付嬢にこちらも慌てる。

「あ、ごめんなさいっ、いますよ、相葉。相葉雅紀の事でしたら、うちの社員です。すみません、普段外で相葉の名前聞かないものですから、びっくりしちゃいました。」

「あ、すみません(笑)営業の方ではないんですか?」

少し笑った顔がかわいい。

「相葉はウチの経理ですね。どうしてご存知なんですか?」

「以前、お客様にお渡しする品を和菓子屋さんに買いに行かなくてはいけなくなってしまって。予約はしてあったので取りに行くだけで良かったのですが、普段していないので勝手が分からなくて。」

そりゃそうだ、受付嬢が手土産の手配なんてしない。

「行ってみたらすごいかさばる品だったので車に入りきらなくて困っていたんです。載せるのも大変で往復する時間もなくて。」

どうして配達にしなかったんだろ。

「そうしていたら相葉さんが声を掛けて下さって。車に入るだけ載せて下さって、載りきらない分はご自分の車に載せてここまで一緒に運んで下さったんです。」

受付嬢の話につい顔が綻んでしまう。雅紀らしいなぁ。

「そうだったんですか。」

「はい。お礼をしたくて名刺を頂きたかったのですがお礼はいいからと断られてしまいまして。」

雅紀め……こんなかわいい子と連絡先を交換しないとは。

「名前だけは教えて頂いたので和菓子屋さんに電話して聞いてみたんです。そしたら嵐粧堂さんの方ではないかって。」

「あぁ、なるほど!そこまでして頂いて逆に申し訳なかったですね。」

ここまで話していると佐野さんの姿が目に入った。

「櫻井くん、ごめん!待たせたね!」

軽く会釈すると佐野さんが近くのテーブルを指さす。

「相葉はそういうヤツなので、お礼とか本当にいらないと思いますよ。」

それだけ言ってその場を離れた。



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「どうしたの?何だかすごく嬉しそうだけど?」

佐野さんに言われて口元が緩んでいた事に気づく。

「あぁ、すみません。思わぬ場所で身内の話が出たので。」

顔、引き締め直さなきゃ。

「身内?もしかして大野さん?」

「え?」

またしても意外な名前に驚く。

「あ、違ったか。」

「えぇ、まぁ。あれ?大野に会ったことありましたっけ?」

rougeには去年から営業に来てるけどまだ仕事貰ったことはないから、俺以外に会ってる人間いないハズだけど。

「話はしていないけどね。ホラ、新年会で踊ってたの、大野さんでしょ?」

「あぁ!」

そうだ、この人もあの会場に居たわ。

「カッコイイねー!大野さん。櫻井くんの演奏も素晴らしかったよ!最初ピアノが聴こえてきてさ、俺好みのアップテンポなジャズだなって見たら櫻井くんが弾いてるじゃない。俺びっくりしちゃって。」

「いやいやいや///」

あの時の話をされるのは初めてで、何だか照れてしまう。

「いやー!即興でしょ?上手だったなぁ。指使いが滑らかなんだよね。ピアノの上で踊ってるみたいだった。で、それに負けず劣らず綺麗だったのが大野さんだよ。すごいね!一般人であんな流れるような踊りを観たのは初めてだったよ。」

いやいやプロなんですよ!と言いたいのを必死で堪え、笑顔で返す。 
やっぱ身内の欲目じゃなく、あの人ダンス上手いんだなぁ……。

「もう俺忘れられなくてねぇ。でも名前も知らなくて。櫻井くんの知り合いなんだろうなぁって何気におたくのHP見たら写真が載ってるじゃない?しかも社長!いや~、面白い人だねぇ!」

そっか、俺のピアノから見始めてるから最初の挨拶は聞いてなかったんだ。
いやしかし、これは相当気に入られたな智くん。
さすが、人誑し。

「ショーウインドウの製作も大野1人でやっていますよ。案は社内で考えますが、作るのは彼1人なんです。」

「そうなんだよね!HPに載ってるパッケージを見せてもらったけど、とても繊細で気品溢れるものだった。だから仕事をしてもらいたくなったんだよ。」

気品溢れる部分は潤が考えてるんじゃないかな(笑)

「ありがとうございます。では、お話を伺いましょうか。」

半年営業に来てHPに載ってるパッケージも見てもらったハズだけど、仕事貰えたのはニノのゼリーと智くんの人柄とはね……。
貰えるんなら何でもいいけど、ちょっとやるせないなぁ(笑)