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ブログをご利用ありがとうございます。
お次は「線路を守る編」です。
「線路を守る」
線路(軌道)は列車が通過することで、すり減ったり
傷ついたり、重みで上下したり、左右に曲がるなどし
ます。
これらを何もせずに放置してしまうと、乗り心地の悪化
や安全運行に影響を出したり、脱線などの事故の要因と
なったりしてしまいます。
そのため、定期的に点検や修理を行なって、線路の安全
を守っています。
「線路検査する」
線路や路盤の検査は、列車の運行によって生じた摩擦
やゆがみ、傷みなどで、列車運行の安全性の低下を
防ぐため、定期的に行なっています。
検査では線路に異常の有無を調べますが、列車通過時
のレール状態や異音の有無などの検査は日中に、
列車の運行時間にできない、保守作業などは運行終了後
の夜中に実施します。
(検査する種類)
「通り」を調べる
レールが左右にずれていることを
通り狂いと言います。
「高低」を調べる
レールの浮き沈みを高低狂いと言います。
「水準」を調べる
レールの左右の高さがずれていることを
水準狂いと言います。
「軌間」を調べる
左右のレールのずれを軌間狂いと言います。
「検査するのに使用した道具」
(レール摩擦測定器)
レールの摩擦程度を測定するときに使用した
道具です。
携帯に便利で簡易に使用できました。
(カント測定用水準器)
左右のレールの水準ならびにカント量を測定する際に
使用された測定器で、中央に目盛が付いています。
(カントゲージ)
カントを測定する際に使用した板片です。
カントは線路の曲線部で車輪が外側に倒れるのを
防ぐため、外側レールを内側レールより高くした
具合をいいます。
(レール高低差測定器)
レールの高低を測定する器具です。
望遠鏡を用いたものと、測定器板を視準する簡易な
ものがあり、写真は望遠鏡を用いる本格的なものです。
(レール沈下測定器)
レールも路盤への沈み具合を測定します。
列車が走る際にどれだけ傾くかを調べる際に
使用されました。
(犬釘横圧支持力測定器)
犬釘が正しく打ち込まれているかを
確認する測定器です。
(カント小返り測定器)
カントの数値を測る機器です。
決められた左右のレールの高低差
が守られているかを調べる際に
使用されました。
(ボルト緊締測定器)
スパナなどにセットして、締める力
を測定する際に使用する道具です。
現在はトルクレンチが使われています。
(軌間定規 トラックゲージ)
軌間を測定する鉄道用具です。
線路の左右の間隔が守られているかを測定します。
現在は鋼製のものが使用されています。
(トラックレベル)
線路の左右軌条が一定の高さにあるかを測る
ための鉄道用具です。
木製定規の中央に目盛が付いています。
※写真のは撤去されている。
(スコヤ 軌道用直角定規)
左右レールのつなぎ目位置の直角狂い量や、
分岐器(ポイント)のトングレールの直角
狂い量の測定、及びレールと枕木の直角度
の測定に使用された道具です。
「線路を修理する」
軌道や路盤にゆがみが生じた場合、列車走行の安全と、
乗り心地を保つためには適切な修理が必要です。
修繕作業は、検査によって判明したゆがみによって
異なり、これらの作業のほとんどは列車の通行時間帯
では行えないので、最終列車終了後の夜間に行なって
います。
(修理に使う道具)
(ビーター)
枕木の下にバラストを押し込み、道床を突き固める
道具です。
尖っている方は木まくら木に突き刺して引き抜き
ます。
(スパイキハンマー) (スレッジハンマー)
犬釘を打つための道具です。
新しい線路と交換した後に犬釘を打ち込む際に
使用されました。
(クローバー)
バールとも呼ばれ、犬釘を抜いたり、通りなおし、
レール作業などあらゆる保線作業で使用される器具
です。
尖端部は犬釘の頭部が入る溝が付けられていて、爪と
柄を挟むようになっております。
(レールジャッキ)
線路の高低差を整正するときに、バラストを低い線路
の枕木の下にかき込んで搗き固めるさいに、線路をこう
上させるさいに使用するジャッキです。
(油圧ジャッキ)
(スパナ)
レールのつなぎ目板やボルトを締める道具です。
レールの種別により、大きさが異なります。
「線路・枕木を整正または加工する道具」
(皮すき)
(ちょうな)
木まくら木を削ったり、整正するときに使用された
道具です。
(可燃式軌条穿孔機)
レール腹部にボルトの孔(あな)を開けるための
器具です。
本器は現場で使用する手動式で、ほかに内燃式と
電動式とあります。
(二人挽きのこぎり)
(金切鋸)
レールなど金属類を切断する際に使用した道具です。
現在のように電動カッターが無かった当時はこれで、
レールを切断しました。
(ジムクロー)
ジンクローとも呼ばれ、レールを横方向に曲げるため
の器具です。
「夜間の保線作業をサポートする」
(アセチレンガス作業灯)
夜間の保線作業の照明として使用されました。
タンクの中にカーバイトと水を入れて、アセチレンガス
を発生させ燃焼し、照明としていました。
(合図灯)
夜間の保線作業において、見張り役が携帯し、
保線作業の存在を知らせるのに使用しています。
現在も夜間の保線作業で使用されていますが
ⅬEⅮ式のものが使用されています。
「線路を輸送する」
(レールキャッチャー)
線路を吊り上げて、運ぶときに使用されました。
「保線作業を補助する機械や車両」
(油圧式犬釘抜器)
油の圧力で犬釘を抜く機械です。
手で何度か棒で上げ下げすることで、
犬釘を抜くことができます・
(高速レール切断機)
金切鋸では、切断に時間がかかっていましたが、
この機械では、5分程度で行えるようになりました。
(マルチプルタイタンパー)
ゆるんだ軌道を自動で整正する機械です。
まわりのバラストをかき集めて、レールをもち上げた
際に突き固めて、レールの高低差を調整し、
乗り心地の良い線路に修正します。
(モーターカーと保線車)
レールや枕木を運ぶ車両を牽引する車両で、
冬にはラッセル車になるものもあります。
(ホキ800形)
低速で走行しながら、新しいバラストを撒く車両です。
(軌陸車)
道路と線路の両方を走れる特殊な車です。
おもに線路巡回などに使用されています。
「調べる車両」
(レール探傷車)
線路の状態を赤外線センサーを使って確認する機械
です。
線路の傷などを確認します。
(検測車)
レールや電車に電気を送る架線、通信装置や
信号の状態を走りながら検査する車両です。
ドクターイエローもこの一種です。
(建築限界測定車)
走行しながら駅やトンネルに車両が触れないかを
調べる特殊車両です。
車体側面に矢羽根を広げた状態が、簪(かんざし)
の花魁(おいらん)に見えることから、
オイラン車とも呼ばれています。
現在はJR東日本に1両、えちごトキめき鉄道に1両
が在籍しています。
「直す機械 修正する機械」
(レール削正車)
騒音の原因となる、レールの凹凸(おうとつ)を
無くすため、レールを砥石を使って削る機械です。
火花が出るのを防ぐため、搭載したタンクから、
水をかけながら行います。
これで「線路を守る編」を終わります。
ありがとうございました。