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今回のテーマは「線路の構造」です。

 

「線路の構造」

 

線路は鉄道車両が走行する通路で、「軌道」とも

呼ばれています。

 

鉄道車両が安全に走行するために、線路は「レール」

「枕木」「道床」などで構成されています。

 

(線路 レール)

 

直接車両が触れる部分で、車両を案内する役割を持ちます

 

見た目は同じですが、列車の速度や本数、車両の性能に

より、重さや形は異なります。

 

普通レール

 

日本の営業路線では、30・37・40・50・50N・50T

60㎏レールが使われています。

これらを普通レールと呼びます。

 

重量の大きいものほど、乗り心地に優れ線路の狂いが

生じにくく、重量のある列車が通る路線、列車が高速で

走る路線、運行頻度の高い路線に適しており、

その後の改良設計により、従来より高さを高くして、

断面二次モーメントを大きくした、N型レールが在来線

用として使用されております。

 

30㎏レール

37㎏レール   

40㎏レール    在来線

50㎏レール    在来線

50㎏Nレール   

50㎏Tレール    初期の新幹線

60㎏レール    現在の新幹線

 

軽レール

 

通常の鉄道用の普通レール以外に、工事用や鉱山用の

トロッコなどで使う細いレールもあり、これを軽レー

ルと呼びます。

 

6㎏レール

9㎏レール

10㎏レール

12㎏レール

15㎏レール

22㎏レール

 

 

(双頭レール)

鉄道創業時はこの双頭レールが使用されました。

しかし、レールの底部が平らなところはなく、上下とも

走行用に使用可能なT字型となっていましたが、

バランスが悪く、評価は低かったのです。

 

(30㎏レール)

一部の地方私鉄では30㎏レールを使用していた

ところもありました。

 

(37㎏レール)

(40㎏レール)

在来線で使用されているレールです。

 

 

(50㎏レール)

東海道本線は速度が速く、本数も多いので50㎏レールが

使用されています。

 

(60㎏レール)

新幹線は200~300キロで運用するため、60㎏レールが

使われています。

こちらの方が頑丈なので、新幹線の速力や自重に耐えら

れるのです。

 

(つなぎ目)

レールは端部同士を繋いで用いています、この接続には

左右のレールを対に接続する「相対式つなぎ目方式」と

左右のレールが対ではなく、それぞれをほぼ交互に接続

する「相互式つなぎ目方式」の2種類あります。

 

「相対式つなぎ目方式」では、レールの下に設置された

枕木の補強や信号回路の分断がやり易いですが、つなぎ

目の沈下が発生しやすいのに対し、

「相互式つなぎ目方式」では、つなぎ目の沈下や走行中の

列車の揺れは減りますが、

逆に列車のローリング(車輪がふらつくこと)が走行中

に起こりやすくなるという短所がそれぞれあります。

 

最近は揺れを抑えるため、つなぎ目を埋めて溶接する

方法がとられています。

しかし、これでも「ガタンゴトン」の音は小さい音で

鳴ったり、鳴らなかったりします。

 

(定尺レール)

 

25mレールを使用したものを定尺レールと呼びます。

 

レール同士を繋ぎ目で繋いで連続して用いています。

断面形状により短冊型・Ⅼ形・I型が使用されます。

 

レールのつなぎ目の間は、適当な隙間つなぎ目板の

中間で設定しています。

これはレールが気温や日射の変化に応じて伸縮するため

であり、レール自身の温度は60~80℃となります。

 

そのため、定尺レールでは40℃において10㎜、0℃に

おいては13㎜程度とされ、車輪がレールを通過する際

に発生する「ガタンゴトン」という音は、ここから

鳴っております。

これを「ジョイント音」と呼びます。

レール同士をつなぎ目板で繋いで連続して使用しています。

 

ここを列車が通過すると、「ガタンゴトン」という音

が発生します。

 

(短尺レール)

 

定尺レールと比べて短いレールを、短尺レールと呼びます。

長さは5~25mで、調整用レールに使われているほか、

ごく一部ですが、地方ローカル線の古い規格のレールで

使われています。

 


(ロングレール)

 

全長200m以上のレールをロングレールと呼びます。

 

つなぎ目を減らすことで、補修作業の省力化や、振動や

騒音対策で乗り心地の向上が目指せます。

 

ロングレール中央部は枕木に固く締結(ていけつ)し、

枕木の周辺にバラストを十分に突き固めることで、気温

変化によるレール方向の伸縮(しんしゅく)は抑えこま

れており、常にレール内部には応力が発生しています。

 

端部は定尺レールよりも大きく伸縮するため、通常の突

合わせつなぎ目ではなく、伸縮つなぎ目を使用していま

す。

枕木への締結力や枕木の周辺に敷きつめられたバラスト

の量、レール温度の管理が十分ではないと、猛暑時にレ

ールが座屈(ざくつ)する事故や極寒時にレールが破断

する事故が発生してしまいます。

 

これらはロングレールが気温変化によりレール方向に伸

縮する軸力に耐えきれなくったときに発生します。

 

「枕木」

線路を直接支える部品です。

線路の間隔を同じ幅に保つ役割と、列車の重みを道床

やその下に分散する役目を持ちます。

 

枕木にもいろいろな種類があります。

 

「軌道の種類」

 

(木まくら木)

日本の鉄道創業時から使用されている木製の枕木です。

線路とは犬釘やつなぎ目板で固定します。

 

レールの固定が余裕で加工しやすく、絶縁電気性が

高いという長所があります。

しかし、木製なので割れたり腐食しやすく、寿命が短い

ので、交換する回数が多いという短所があります。

 

木まくら木を使用した軌道。

(犬釘)

レールを枕木と固定するために使用する釘です。

頭部が犬の耳に似ていることから、この名前が

付きました。

スパイキハンマーで打ち、線路を固定します。

 

(PCまくら木 コンクリート製のまくら木)

 

木まくら木に代わって用いられているコンクリート製

のまくら木です。

内部に鉄筋が入っており、高い強度と耐用年数をもち、

重量のあるまくら木です。

 

寿命は50年程度と、木製と比べて狂いが生じにくく、

交換する回数も少ないのが長所です。

また中にPC鋼材が入り、それらに緊張を与えることで

コンクールに圧縮する力を与えつづけ、ひび割れなどを

発生しにくくなります。

 

しかし、短所は1本あたり数百キログラムと重いため、

施行が非常に難しく、橋梁では使用できません。

 

コンクリート製まくら木を使用した軌道

 

コンクリート製まくら木では、こちらのストッパーを

締めて固定します。

 

(合成まくら木)

 

重さの問題を改善したまくら木です。

 

材質に強化プラスチック発泡材が使用されており、

重さは木製まくら木と同程度で施行しやすく、

耐久性はコンクリート製まくら木と同じです。

そのため橋梁などでも使用が可能です。

 

(スラブ軌道)

コンクリートの下に、スラブと呼ばれるコンクリートの板

を設置し、レールを敷く方法です。

 

強固な軌道のため、雪や雨に強く、保守に手間がかから

ないことが特長です。

 

おもに高架線や新幹線で使用されています。

 

(弾性まくら木直結軌道)

コンクリートの道床の上に、ゴムでできた弾性材を挟んで

コンクリート製まくら木を固定し、レールを敷く方法です。

 

弾性材が振動や騒音を低減することができ、保守の手間も

かかりません。

スラブ軌道と組み合わせて用いられることもあります。

 

「線路を支える器具」

 

(アンチクリーパー)

列車が通過する際にレールが移動するのを防止するため

の特殊な器具です。

 

レールの底部に取り付けて、バネ力・くさび作用でレー

ルと一体となった突起を作り、

枕木の側面に定着しレールが移動するのを止める役をします。

 

(スパイキプーラー)

犬釘を抜くための器具です。

 

分岐器(ポイントとも呼ぶ)の一部の箇所などで、

バール単独では抜くことができない場合に用いられ、

爪部を犬釘の頭に掛けバールをてこ(ハンドル)とし

ます。

 

「道床」

地面とまくら木の間の部分を言います。

列車の揺れや振動を減らし、重みを地面に分散

したりする役割をもちます。

また水が溜まって路盤(地面)が崩れないようにして、

枕木が動かないようにする役割もあります。

 

線路の下に敷いてある砕いた石を道床と言います。

 

お次は「線路を守る編」です。

 

これで終わります。

ありがとうございました。