いつもお世話になっております。
ブログをご利用ありがとうございます。
今回は気動車の仲間、「軽快気動車」について
お話します。
「軽快気動車とは何?」
単純で言うと、車体を軽くした車両を意味しており、
かと言って、車体の重量をあえて軽く設計するので
はなく、車体長を短くしたり走行装置に工夫を出すなど、
して車体の重量を抑えております。
しかし、初期の軽快気動車では、バス用部品が多用に
使用されており、車体の軽量化には貢献したものの、
劣化が早く、強度不足も指摘されたため、課題となり
ました。
軽快気動車は、2つの鉄道車両メーカーが生産しており、
2代グループを作りました。
まず1番目は富士重工業(現スバル)で、富士重工業は
バス車体を生産した経験から、まずはⅬEーカーと呼ばれる
レースバス車両を生産しました。
車軸が2つで、観光バスのようなパノラマガラスを
採用するなど、まるでバスに似た車両でした。
しかし小型であることから、定員不足が要因となって、
10年間で主力の座を奪われることに、
その後はⅬE‐ⅮⅭ(エコノミーディーゼルカー)を開発
その実績を上げていき、その1作品目が、
滋賀県の信楽高原鐡道 SKR200形からはじまりました。
その後ⅬE‐ⅮⅭは全国の第三セクターに普及しますが、
1991年の信楽高原鐡道 正面衝突事故が引き金となり、
劣化の進行の早さ、衝撃に弱いという弱点が浮き彫りに、
結果、次第にⅬE‐ⅮⅭの初期型を中心に置き換えられること
になりますが、
改良などを加えて、バス用部品の多用をやめて、
本来の鉄道車両用部品が使われるようになりました。
結局、2003年に富士重工業は鉄道車両の生産部門から
撤退してしまい、ⅬE‐ⅮⅭは生産中止となりました。
「ⅬE‐カー」
2軸車
初期のグループで、バス用部品が多く使われていました。
近江鉄道のキハ10形が最後の導入となりました。
名古屋鉄道 キハ10形(1984年)
樽見鉄道 ハイモ180‐100・200形(1984年)
三木鉄道 ミキ180形 (1985年)
北条鉄道 フラワー1985形(1985年)
近江鉄道 キハ10形(1986年)
「ⅬEカー」大型車
要望に合わせて大型となりました。
明知鉄道 アケチ1形(1985年)
樽見鉄道 ハイモ230-300形(1985年)
甘木鉄道 AR100形(1986年)
長良川鉄道 ナガラ1形(1986年)
天竜浜名湖鉄道 TH1・2・3・4形(1986~1988年)
伊勢鉄道 イセⅠ形 (1987年)
名古屋鉄道 キハ20形 (1987年)
いすみ鉄道 いすみ100形(後に200形と変更)
(1987年)
真岡鐡道 モオカ63形 (1988年)
わたらせ渓谷鉄道 わ89-100・200形(1989年)
「ⅬE‐ⅮⅭ」
1987年から生産され、ⅬEカーでは前面非貫通型と
貫通型がありましたが、ⅬE‐ⅮⅭでは、大半が貫通型
となっています。
現在は7形式が廃止されています。
信楽高原鐡道 SKR200形(1987年)
のと鉄道 NT100形・800形(1988年)
宮福鉄道(現京都丹後鉄道)MF100形・200形
(1988年)
わたらせ渓谷鉄道 わ89‐300形・310形
(1989年)
平成筑豊鉄道 100形・200形・300形(1989年)
甘木鉄道 AR200形 (1994年)
天竜浜名湖鉄道 TH2形 (1994年)
くりはら田園鉄道 KⅮ95形(1995年)
信楽高原鐡道 SKR300形(1995年)
天竜浜名湖鉄道 TH3000形 (1995年)
明知鉄道 アケチ10形(1998年)
三木鉄道 ミキ300形(1998年)
長良川鉄道 ナガラ3形(1998年)
樽見鉄道 ハイモ295-310形(1999年)
北条鉄道 フラワー2000形(2000年)
信楽高原鐡道 SKR310形(2001年)
甘木鉄道 AR300形・400形(2001年)
以下の車両はⅬE‐ⅮⅭのフルモデルチェンジした車両。
伊勢鉄道 イセⅢ形 (2003年)
真岡鐡道 モオカ14形(2002年)
新潟トランシスが受け継いだⅬE‐ⅮⅭ規格の車両。
樽見鉄道 ハイモ295-510形(2005年)
長良川鉄道 ナガラ5形(2007年)
ⅬE‐ⅮⅭを基にした普通気動車。
北近畿タンゴ鉄道 KTR700・800形(1989年)
智頭急行 HОT3500・3520形(1994年)
以上になります。
2番目は新潟鐵工所、のちの新潟トランシスです。
新潟鐵工所は、過去に多くの鉄道車両を生産しており、
軽快気動車でもその実績は高く、
新潟鐵工製の軽快気動車は「NⅮⅭ」と呼ばれるチーム
で、
富士重工業がバス用部品を多用にした軽快気動車を生産
しているのに対し、
新潟鐵工では、鉄道車両用部品を使用しつつ、軽快気動車
を生産していました。
NⅮⅭは評価が高く、第三セクターだけにとどまらず、
JR旅客会社なども採用するほどの人気ぶりで、
2003年に新潟鐵工が経営破綻し、そのあとを新潟トラン
シス社が受け継ぎ、その後に富士重工業が鉄道車両の
生産をやめたため、
その後のⅬE‐ⅮⅭ一部の技術が新潟トランシスに譲渡され
たのち、
現在も新潟トランシスが第三セクター向けの軽快気動車を
生産しております。
またNⅮⅭは30年以上という長期間にわたり生産されて
いるため、
現在で1代目から3代目のグループが登場しております。
「NⅮⅭ」
(初代)
16.5m
1986年から生産され、南阿蘇鉄道 MT-2000形から
はじまりました。
当初は16mからスタートしました。
南阿蘇鉄道 MT‐2000形(1986年)
会津鉄道 AT100・200・300形(1987年)
錦川鉄道 NT2000形(1987年)
JR北海道 キハ130形 (1988年)
北海道ちほく高原鉄道 ⅭR70・75形 (1988年)
松浦鉄道 ⅯR100・200・300形 (1988年)
鹿島鉄道 KR500形(1989年)
くま川鉄道 KT-100・200形 (1989年)
高千穂鉄道 TR100・200形(1989年)
三陸鉄道 36-300・400形(1989年)
JR西日本 キハ120形(1991年)
18m級
鉄道会社によっては車体長が大きい車両もあり、
以下の車両はやや大きめの18m車体です。
神岡鉄道 KⅯ100・150形(1984年)
若桜鉄道 WT2500形 後の3000形(1987年)
JR東海 キハ11形(1988年)
秋田内陸縦貫鉄道 AN8800形・8900形(1988年)
山形鉄道 YR880形(1988年)
高千穂鉄道 TR300形(1991年)
NⅮⅭ「2代目」
1992年から生産されたマイナーチェンジ車で、
JR九州キハ125系からはじまりました。
車体長は16m~20m。
ドアチャイムや車椅子スペースを備え始めたグループです。
ステップの高さも控えています。
16m級
南阿蘇鉄道 MT-3000形(1993年)
18m級
JR九州キハ125系 (1992年)
三陸鉄道 36-500形(1994年)
島原鉄道 キハ2500形(1994年)
茨城交通(現ひたちなか海浜鉄道)キハ3710形
(1995年)
津軽鉄道 津軽21形(1996年)
井原鉄道 IRT355-100・200形(1998年)
松浦鉄道 ⅯR400形(1998年)
松浦鉄道 ⅯR500形(1999年)
由利高原鉄道 YR2000形(2000年)
21m級
水島臨海鉄道 MRT300形 (1995年)
「NⅮⅭ」3代目
2001年から生産されたグループで、
天竜浜名湖鉄道 TH2100形からスタート
しました。
ステップの高さが2代目よりも控えられ、
ディーゼル車情報制御装置の搭載や、
一部はステップを廃止、
さらにデザインも一新されました。
車体長は18mと20mです。
2022年に登場した3代目車両は17mの車体を採用
しています。
17m級
長良川鉄道 ナガラ600形(2022年)
南阿蘇鉄道 MT-4000形(2023年)
若桜鉄道 WT3300形(2001年)
秋田内陸縦貫鉄道 AN2000形(2001年)
天竜浜名湖鉄道 TH2100形・9200形(2001年)
肥薩おれんじ鉄道 HSОR100形・150形(2003年)
高千穂鉄道 TR400形 (2003年)
会津鉄道 AT500・550形(2004年)
会津鉄道 AT600・650形(2005年)
のと鉄道 NT200形(2005年)
錦川鉄道 NT3000形(2007年)
平成筑豊鉄道 400形(2007年)
平成筑豊鉄道 500形(2010年)
樽見鉄道 ハイモ330形(2010年)
会津鉄道 AT700・750形(2010年)
わたらせ渓谷鉄道 WKT500形(2010年)
わたらせ渓谷鉄道 WKT550形(2012年)
いすみ鉄道 いすみ300形(2012年)
いすみ鉄道 いすみ350形(2013年)
わたらせ渓谷鉄道 WKT510形(2013年)
三陸鉄道 36-700形(2013年)
くま川鉄道 KT-500形 (2014年)
信楽高原鐡道 SKR400形(2015年)
のと鉄道 NT300形(2015年)
いすみ鉄道 キハ20形(2015年)
信楽高原鐡道 SK500形(2017年)
明知鉄道 アケチ100形(2017年)
わたらせ渓谷鉄道 WKT520形(2019年)
京都丹後鉄道 KTR300形(2019年)
20m級
三陸鉄道 36-600形(2005年)
三陸鉄道 36-Z形(2014年)
三陸鉄道 36-R形(2014年)
NⅮⅭは今も増備が続き、今後も形式と両数
が増加すると思われます。
今度は4代目の登場も期待できそうです!
これで終わります。
ありがとうございました。