3年生卒業式の準備をしている娘達。
1年生・2年生、各々クラス内で役割班があり、
式の準備をすすめる。
Yは、その役割班が分からないらしく、
自分達の係仕事以外の生徒が帰ってたり、違う係仕事をしていると、
「何で帰ってんの?!」
「うちらやってるんだから、手伝えばいいのに!」
と、いちいち怒ってる。
「それぞれ係仕事あるから、あの人達は、今日は仕事がないんだよ」
と話すと、
「何で仕事ないの?! ズルいじゃん!」
「私達も仕事ない日は帰ってるでしょ。同じだよ」
「だからって、帰るなんてありえないでしょ!」
Yがこうなると何をどう説明しようと無理だから、娘は黙った。
『自分は仕事があるから残る。
仕事がない人達は帰る。』
『自分は仕事がないから帰る。
仕事がある人は残って仕事する。』
これが理解出来ないY。
ただただ、“帰りたい”“やりたくない”しかないから。
仕事がある時も、“やりたくない”気持ちが大きくて、
枯れ枝で遊び始めた。
娘はYも仕事をやるよう声かけをするが、
枝を集めたり積んだりして遊んでる。
何度も声かけをする娘。
そのうち、枝を両手に掲げてキャーキャーしながら楽しそうに走り回る。
娘は、枝を持って走り回るYを見て、
「小さい子みたいだ」
と思ったらしい。
「よく、小さい子がママに注意されても、ニコニコしながらママの顔見て、注意された事を続けるってあるでしょ?」
「で、またママが注意して、小さい子はまたニコニコしながらやり続けて、っやつ」
「Yがやり始めたのはそれ。私が 声かけるたびに私見ながらキャーキャーしてたから」
と、娘が話していた。
『Yのそれ』に気付いた娘は、声かけをやめた。
Yのキャーキャーを無視して作業を続けたら、
両手に枝を持ち、あ然と娘を見るY
気が向いたら作業をやり出すだろうと作業を続けていたら、
枝で一人遊びをしだした。
それに対しても声かけはしなかった 娘。
一緒に作業していたNはソワソワ・オロオロ。
ソレに気付いた娘はNに、
「Yが自分の気持ちで作業しようと思わない限り、言ってもやらないから。」
「う、うん……」
作業がない生徒達が、枝遊びをしてるYの横を通り過ぎる。
みんな、異様な目を向けていた。
娘の横を通り過ぎる上級生達が、
「あの子何やってんの?」
と話してる声が耳に入り、娘が見ると、
枝をたき火のような形にしていた。
その高さは30~40センチ。
まだまだ高くしようと、せかせかと枝を集めていた。
娘も驚いた。(°□°;)
これはマズイと思い、Yに、
「それはマズイんじゃない?」
と声をかけた。
「何で?!凄いじゃん!」
そこは式に来る保護者も目につく場所。
卒業式にはいらないオブジェが出来上がっていた。
「凄いけど、卒業式には関係ないからね」
「3年生のパパやママ達もビックリするじゃん!」
「…ビックリさせなくていいんだよ…」
「卒業式なんて暇なんだから楽しくしたい!」
「楽しくしなくてもいいんだよ…」
「何で?!先生に聞いてくる!ウチ間違ってないし!」
と、どこかへ行った。
しばらくしてYが怒った顔して戻ってきて、
「マジむかついたから帰る!」
と、怒って帰ってしまった。
Yが、帰って少し経った時、担任が来た。
「Yさんは?」
「……帰りました…」
「……そっか…。あ、これかぁ…。悪いけど、この枝片付けるから手伝ってくれる?」
「…はい」
「…はい」
「ごめんね」
「いや…、私達もYを説得したり、止めさせたり出来なかったから…」
「そうだよね…。難しいよね」
担任は、『 娘はYがADHDという事を知っている』ということを知っている。
卒業式準備に、さらに枝撤去という作業が加わったけど、
担任と楽しくお喋り出来た事が楽しかった娘。
翌日、枝のオブジェがなくなってYは怒るかな、と思いながら登校したら、
枝のオブジェの事は忘れたようで、
相変わらず、
「推しがかわいいのー!」
が始まった。
怒って男子達に八つ当たりしだすよりマシか…と思ったらしい。
しかし、時間が経つにつれ、枝のオブジェがなくなった事を怒りだした。
「何で片付けたの?!」
「 せっかく作ったのに!」
「ウチの気持ちを返して!」
「担任に言って」
を繰り返した。
しかし、Y
「推しがかわいいのー!枝返して」
「トイレ行こう?枝返して」
「今日の給食何かなー?枝返して」
帰るまでずっと、語尾に
「枝返して」
がついた。
「あの時と同じだよ…」
と娘は精神的に疲れた。
(↓あの時)
翌日、娘は学校を休んだ。