ミトコンドリアは、


酸素からエネルギーをつくる

私たちの細胞内の小器官です。



私たちが

酸素がないと生きていけないのは


ミトコンドリアでエネルギーを

つくることができないからです。



そんなミトコンドリアですが、


もともと

細胞内に存在していたものではなく、


実は約20億年前に、

私たち真核生物の先祖が、


酸素からエネルギーをつくれる細菌を

外部から取り込み、


それがミトコンドリアとなったのです。



そもそも、ミトコンドリアは

別の生物(細菌)だった


のですね!




だから、私たちが持っているDNAとは


別のDNAである


『ミトコンドリアDNA』

を持っている訳です。




ところで、

通常行っているDNA鑑定は、


DNAの塩基

(おなじみの『プリン体』もコレの一種)

の配列そのものではなく、


正確にいうとDNA型鑑定といって、


DNAの塩基配列のうち、


同じ塩基配列が繰り返して存在する数が

人によって違うことを利用して


鑑定しているそうです。



ですから、計算上、


数百億人以上に1人という高い確率で

個人識別ができ、


同じDNA型をもった別人が

存在する可能性は極めて低いのです。



このことを利用して、


唾液、血液、骨、毛髪などを使って

DNA多型を検査し、


犯人のDNAと比較したり、


子供のDNAは父親および母親から

1対ずつ受け継がれるため、


それを利用して親子鑑定をおこないます。



ただ、長期間に渡って

紫外線や雨風にさらされた場合、


DNAが劣化してしまい

個人を識別できないことがあります。

 


そのような場合に、

代わりに行われるのが、


ミトコンドリアDNA型鑑定なのです。



ミトコンドリアは

細胞の中に数多く存在するので、


時間が経っていても、

変性していないDNA


残っている可能性が高いのです。




今回話題の

「ミトコンドリアDNA型鑑定」では、


母方のミトコンドリアDNA

というフレーズをよく耳にしますが、



私たち自身のDNAは、

父方・母方から半分ずつ受け継がれる

のに対し、


ミトコンドリアDNAの場合は、


母方のDNAだけが

子孫に受け継がれるのです。



そのメカニズムは、


受精の時には、精子のミトコンドリアが

受精によって卵子に持ち込まれますが、


受精卵が分裂していくうちに


父方のミトコンドリアは

徐々に排除されるということが

明らかになってきました。



ここで、なぜ私たち生物は、


ミトコンドリアDNAを母方のものだけ

遺伝させようとするのか?


という疑問が生まれますが、


残念ながら、

まだそこまではわかっていません。



ただ、父方のミトコンドリアDNA

遺伝している生物もいるので、



私たちの先祖が、


ミトコンドリアを細胞にとり込んで

共生関係を築く過程で、


何かしらの避けられない理由があって、


その後の進化の過程で

広く受け継がれている


というのが、真相のようです。



ミトコンドリア、不思議ですね…