『一番に望むこと』
『なんでっ、どうしてっ!!!』
荒れ狂いながら、涙を零しながら心のソコで思うことは、その疑問詞の後に続く言葉だった。
例えばどうしてこういう風になってしまったのかと考えてみると、ボクが我慢できなかったからだとか、ボクが何も伝えなかったからだとか、つまりボクが何もしなかったからいけなかった。それしか浮かばなくて。
でも、じゃあどうしてボクが何もしなかったのかと言えば、キミが全てを否定して、今の今までいたからだっていうことになる。
ボクはただ幸せになりたかった…?
違う。
ただ見てるだけで良かった。
キミが幸せになって、夢を叶えてくれさえすれば、それで笑えたんだ。
好きだなんて、伝えたかったわけじゃなく、ただ、力になりたかっただけ。
今更だと思えることばっかり。
ボクは、キミの支えになりたかっただけ。
なのに、それが叶わなくなって。
否、ボクを捕まえたキミはもうボクに飽きてしまったのか、なんて考えた。
捕まえて、本当のボクを見て嫌いになってしまったのかと、思って泣いた。
『いつも、泣かせてばかりだな…』
そんな言葉が聞きたいわけじゃない。
はぐらかさないで話をして欲しかった。
でも、いつも話すのは「繰り返し」だけ。
同じことにぶつかって、同じことでボクが怒って、泣いて、叫んで。
だからボクはいつも同じ問にぶつかってしまう。
「どうして?なんで?」
―こうなってしまったの?
キミは知らないけれど、ボクの中ではもう何が嫌で何が苛立つのかさえわからない。
時々、キミのことを嫌いなのかもしれないと考える。
全てにおいてボクより上なキミが、妬ましくて仕方ないのかとも思う。
ボクは、もしかしたらキミに嫌われたいのかもしれない。
『いつも同じことで文句を言われたくはない』
ボクも同じことを言いたいわけじゃない。
でも言ってしまう。どこまでも不幸を感じた自分の悲鳴を彼に浴びせた。
それがどれだけエゴであるか、知りながら。自分を抑えられずにずっと彼を責めてきた。
『あの人は反対なんてしなかった』
誰かと比較しないで。
それがずっと心に突き刺さったまま。自分が認めてあげられないことが苦しくなった。
どうして許せないのか。どうして認めてあげられないのか。どうして信じられないのか。
ずっと、同じことの繰り返し。ボクがとても駄目な人間に見えた。
彼と一緒にいる自信がなくなった。
一緒に居れば、自分も彼も傷つくだけなんだと。
何度伝えたってボクの気持ちは理解してもらえないと、また涙を流した。
『キミと一緒にいる自信がない』
そう伝えて
『ボクはキミに嫌われないのかもしれない』
そう加えて
『もう好きか嫌いかわからない』
本当のことを言葉にした。
そこで気づいた。
彼の存在の大きさを。
もう好きかも嫌いかもわからない相手を、それでも望んでいる自分がいることも。
信じられないと思っていた彼を、本当は期待して信じていたことに気づく。
ボクが言った言葉を全て否定してくれるかもしれないという淡い期待。
ずっと反発するような言葉を浴びせながら泣いていたボクに、彼なら気づくかもしれないという気持ち。
『ボクはキミのせいで不幸だ!』
と、言っていた時に叫んでいた「本当のボクの声」に気づいて欲しかった。
『助けて!黙らせて!』
好きだからこそ、嫌いになってもらいたかった。
大切だからこそ、遠ざけようとした。
キミと付き合う罪の意識から?
違う。
駄目な自分をこれ以上見ていたくなかったから。
『ごめんなさい、ごめんなさい…』
泣きなら言ったあの言葉が一番の真実。
今までごめんなさい。
ずっとずっと酷いことばかり言って、我が侭を言って困らせて。
でも本当はずっとずっとキミだけに笑顔を見せたかった。
もっともっと駄目な自分を直して、特別な存在に甘えてしまう自分を直して、キミを支えたかった。
キミはまだ知らない。
ボクが本当に望んでいることを。
一番に望むことは、キミに素直な笑顔を向けられるようになることなんだよ。キミがそれを望むから。
