大好きなかばんが裂けちゃった。また使いたい！

お仕立て屋 いでこです

今回のご依頼は「親戚の大切なカバンを修繕してもらえませんか？」です。

気に入っているカバンはついついヘビーローテーションしてしまいますよね。

一緒に出かけるのは気分が上がるものの、傷みも出てきます。

ご相談内容

依頼者さまのご親戚のカバンをお預かりしました。

「お気に入りだからどうしてもまた使いたいんだって」

状態を確認させてもらうと、ご覧の通りの裂けっぷりです。

まずどういう風に修繕するか考えるお時間をいただきました。

1番大きく裂けている部分

今から裂けてしまいそうな部分

帆布(キャンバス)と本革を使ったカバンはとてもおしゃれでかわいいデザイン。

しかし違う素材がミックスされているだけに、長く使うと弱い方に傷みが出てきます。

今回も革と革に挟まれている布の部分が大きく裂けてしまっています。

今から裂けそうな部分も革のすぐそばです。

修繕方法

「かけつぎ(かけはぎ)」や「ダーニング」という名前を聞いたことがありますか？

かけつぎはスーツや洋服に虫食いなどで空いた穴をまるでなかったかのように修繕する手法です。

クリーニング店などの付帯サービスにあったり、職人さんを紹介してもらったりして依頼します。

ダーニングはかけつぎと似ているのですが、修繕後をデザインとして楽しむ繕い方です。

靴下やズボンのひざ部分など、いろいろな部分で楽しめます。

調査の結果

「両方を合わせたようなやり方で何とか直りそう」ということで、修繕をお引き受けしました。

修繕過程

帆布のマルチストライプ、それぞれの色に近い糸を購入します。

糸の太さは裂けてあらわになっている部分の太さを参考にして探しました。

実店舗で探すのがオススメです。ネットの方が色々な色がありますが、実物に直接当てて色を見るのが1番です

修繕途中

上側は修繕前、下側は修繕途中です。

バラバラに出ているほつれた糸をカットして整えたら、機織りをするように糸をかけていきます。

裂けていた部分に新しく布ができているように見えると思います。

穴がふさがったら第一段階はクリアです

これではまだ弱いので使っているうちに直ぐ穴が空くでしょう。

今度は避けていた部分の強度を増す作業をします。

新しく糸をかけた部分の裏側から光を当ててみるとたくさん光が漏れてくる場所があります。

光が見えなくなるように糸を足していきましょう。

表のできあがり

糸が何度も入ることで色も元の布に近付きます。

修繕なので、元通りとはいきませんが目立たなくなりました

裏面

革が縫い付けてある境界だったので難しい部分でした

縁かがりの方法でこれ以上ほつれないように囲みました。

仕上げにほつれ止めを塗って乾けばできあがりです

できあがり

引きで見た修繕部分

パッと見ただけではどこが裂けていたか分からなくなりました。

小さな裂け部分の修繕

こちらの方が少し目立ちますね修繕の場所にもよるので、ご容赦ください。

最初はうまく直せるか心配もしましたが、なかなかの自信作です✌️

持ち主様にも喜んでもらえるよう、祈ってます😊

皮を磨くオイルがあったので磨いて、艶と柔らかさを出しました。布の部分もキレイにならないかとチャレンジはしたものの、思ったほどキレイにならかったのは残念です。

注意点

穴はキレイに塞がりましたが、やはり荷重がかかるところです。修繕したからといって、このカバンをどれくらい楽しめるかは私にも分かりません。

それもお客さまにはお伝えしました🙇‍♀️

気持ちよく「分かったよ」と言っていただきありがとうございます😊

また残念ながら私はカバン修復のプロではありません

カバンを専門に直してくれるお店では、糸を解き革の色も合うように徹底的に修繕んしてくれるところもあります。

作業工程を全て見ていたいくらいすごい仕事をしてくれますよ！

今回はご依頼者さまと別のことでご縁をいただいており「いでこちゃんができることまでで大丈夫」というお話しでした

オールメンテナンスをご希望の方はお店を探してみてくださいね。

私の技術の引き出しが増えるようなお仕事をいただき感謝です。少しずつ直っていく過程がとても楽しかったです

ご用命いただき、ありがとうございました