不動産鑑定士&受験生必見!! “不動産鑑定評価基準の解説”

不動産鑑定士&受験生必見!! “不動産鑑定評価基準の解説”

こんにちは、不動産鑑定士の大島です。
これまでの実務経験、講師経験、実務修習指導経験を活かして、不動産鑑定評価基準の解説をしていきます。
初心者でもわかりやすい、目から鱗の解説を目指します。


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いつもこのブログをご覧いただき ありがとうございます!!

このブログの内容も参考にして、今年合格されたみなさん、本当におめでとうございました~拍手

毎週少しずつアップさせていただき、ようやく各論第3章まで終えることができましたグッ

 

たくさんのお問い合わせもいただき、書籍ではないのかというご要望もいただいておりましたが、この度 『不動産鑑定評価基準の解説書』 として発売にたどり着きました~チョキ

 

この内容は、実際には10年近く前から少しずつ書き続けていたもので、私の資格の学校で講師をしていた頃の講義レジュメや板書の内容を図表にし、マイクを通して説明していた内容を解説文として整理したものになります。

 

不動産鑑定士の試験用の教材はあまり充実したものがないので、受験生の応援ができればという思いもあり、最後まで書きあげて出版に至りました。

 

ブログでアップしていた内容にさらに加筆し、鑑定評価書のサンプルを掲載しています。最終的な鑑定評価書がどのようなものなのか、まさしくそれがゴールですが、それをイメージしながら勉強できるように工夫しています

 

また、CoffeeBreakとして、「なるほど~ニヒヒ」とか、「えー!そうだったのポーン」なんておもわず言ってしまう実務の内容鑑定業界のことなど、コラムとしても充実させて掲載していますので、勉強の合間にご覧くださいウシシ

 

新規地代の基礎価格は底地価格なの?

還元利回りと期待利回りって何が違うの?

標準、関連付け、比較考量ってちゃんと使い分けてる? などなど

 

書籍は、上巻下巻2冊になります。上巻には総論第7章の取引事例比較法までを掲載、下巻には収益還元法以降を掲載しています!!

 

目から鱗の解説が盛り沢山ですパー

 

あと、お買い上げいただいた方への特典として、3年間無料の質問対応 をさせていただきます真顔

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不動産鑑定士 大島大容

 


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Ⅱ DCF法の収益費用項目の統一等


(1)DCF法の適用により収益価格を求めるに当たっては、証券化対象不動産に係る収益又は費用の額につき、連続する複数の期間ごとに、次の表の項目(以下「収益費用項目」という。)に区分して鑑定評価報告書に記載しなければならない(収益費用項目ごとに、記載した数値の積算内訳等を付記するものとする)。この場合において、同表の項目の欄に掲げる項目の定義は、それぞれ同表の定義の欄に掲げる定義のとおりとする。


 

 


(解説)

不動産投資市場において、投資家は投資対象となる不動産の収益性を比較分析してその意思決定を行う。複数の投資物件を同一目線で比較するためにも、DCF法適用時の収益項目及び費用項目の統一を図る必要があり、各項目と定義づけをしている。

構成としては、〔図表3-3〕のとおりであり、運営収益から運営費用を控除して運営純収益が求まり、これから一時金の運用益を加え、資本的支出を控除して純収益が求まる。

 

 

 

 


(2)DCF法の適用により収益価格を求めるに当たっては、収益費用項目及びその定義について依頼者に提示・説明した上で必要な資料を入手するとともに、収益費用項目ごとに定められた定義に該当していることを確認しなければならない。

(3)DCF法を適用する際の鑑定評価報告書の様式の例は、別表2のとおりとする。証券化対象不動産の用途、類型等に応じて、実務面での適合を工夫する場合は、同表2に必要な修正を加えるものとする。



4.DCF法の適用等について

DCF法の適用等に当たっては、次に掲げる事項に留意する必要がある。

(1)収益費用項目及びその定義を依頼者に説明するに当たって、各項目ごとの具体的な積算内訳など不動産の出納管理に関するデータ等と収益費用項目の対応関係を示すなどの工夫により、依頼者が不動産鑑定士に提供する資料の正確性の向上に十分配慮しなければならない。


(解説)

前記のとおりDCF法の適用においては、収益項目と費用項目について精緻な査定をしなければならない。鑑定評価においては、収集した資料に基づいて判断をすることになるが、証券化対象不動産で既に稼働している収益物件のような場合には、それらの査定には過去から現在の収支実績に関する資料が不可欠となる。従って、依頼者に対して収益、費用の各項目についてその定義を説明し、必要な資料の提示を求める必要がある。その際、依頼者に対して各項目の具体的な積算内訳について、実際の賃貸不動産の運営における収支データとの対応関係を説明するなどの工夫をして、極力目的に合った正確な資料が収集できるようにしなければならない。また、収集し得た資料についても各項目の定義と照合し、適切な資料であることを確認する必要がある。

なお、必ずしも収集した資料内の収支項目が基準の収支項目の定義に一致するものではなく、また、名称は同じでも計上されている内容が異なる場合等があるので、評価にあたっては資料の項目を分析するとともに、その取扱いについても十分に注意を払う必要がある。

DCF法の適用で基準に定義された収益、費用項目により純収益を試算する場合、別表2を使用するとともに、証券化対象不動産の用途、類型等に応じて、実務面での適合を工夫する場合は別表2をベースとして必要な修正を加えて使用するものとする。

 


(2)収益費用項目においては、信託報酬、特別目的会社・投資法人・ファンド等に係る事務費用、アセットマネジメントフィー(個別の不動産に関する費用は除く)等の証券化関連費用は含まないこと。「純収益」は償却前のものとして求めることとしていることから減価償却費は計上しないことに留意する必要がある。また、各論第3章第4節Ⅱ(1)の表に定める「運営純収益」と証券化対象不動産に係る一般の開示書類等で見られるいわゆる「NOI(ネット・オペレーティング・インカム)」はその内訳が異なる場合があることに留意する必要がある。


(解説)

証券化スキームにおける信託報酬、特別目的会社・投資法人・ファンド等に係る事務費用、アセットマネジメントフィー(個別の不動産に関する費用は除く)等の証券化関連費用は、証券化対象不動産に関する費用ではないため、これらの費用は運営費用に含めるべきではない。

また、証券化対象不動産にDCF法を適用する場合に求める純収益は、償却前のものを求めるため、運営収益に減価償却費は計上しないことに留意する必要がある。

基準では、一時金の運用益と資本的支出を増減する前と増減した後の純収益をそれぞれ「運営純収益」と単に「純収益」と呼んでいる。この「純収益」は、一般的にはNOI(ネット・オペレーティング・インカム)と呼ばれる。

 


(3)各論第3章第4節Ⅱ(1)の表の収益費用項目のうち「運営純収益」と「純収益」の差額を構成する「一時金の運用益」と「資本的支出」の算出について、「一時金の運用益」の利回りの考え方を付記するとともに、「資本的支出」と「修繕費」の区分については、税務上の整理等との整合性に十分配慮する必要があることに留意しなければならない。


(解説)

賃借人から預かっている一時金は、所有者(賃貸人)によって運用されるが、入居者は一定期間のサイクルで入れ替わり、退去時には現金で返還する必要がある。そのため、一定額は直ちに返還できるように現金等で保有する必要があり、預り金の全てを他の不動産等へ投資することはできない。これらの背景を念頭に、一時金の運用利回りを査定して、その考え方を付記する必要がある。

また、資本的支出と修繕費の査定にあたってはその違いを明確にしてそれぞれを査定する必要がある。修繕費は、「対象不動産に係る建物、設備等の修理、改良等のために支出した金額のうち当該建物、設備等の通常の維持管理のため、又は一部がき損した建物、設備等につきその原状を回復するために経常的に要する費用」であり、資本的支出は、「対象不動産に係る建物、設備等の修理、改良等のために支出した金額のうち当該建物、設備等の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する支出」である。修繕費は、税務上の損益計算において、修繕費として費用計上されるものが対象となる。

 


(4)収益費用項目については、DCF法を適用した場合の検証として適用する直接還元法においても、同様に用いる必要がある。


(解説)

証券化対象不動産については、DCF法を適用し、直接還元法についても検証という位置づけで適用する。その際、DCF法で明確化している収益費用項目について、直接還元法においても同様に扱う必要がある。

 

■各論第3章終了■

 

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Ⅲ エンジニアリング・レポートの取扱いと不動産鑑定士が行う調査


(1)証券化対象不動産の鑑定評価に当たっては、不動産鑑定士は、依頼者に対し当該鑑定評価に際し必要なエンジニアリング・レポートの提出を求め、その内容を分析・判断した上で、鑑定評価に活用しなければならない。ただし、エンジニアリング・レポートの提出がない場合又はその記載された内容が鑑定評価に活用する資料として不十分であると認められる場合には、エンジニアリング・レポートに代わるものとして不動産鑑定士が調査を行うなど鑑定評価を適切に行うため対応するものとし、対応した内容及びそれが適切であると判断した理由について、鑑定評価報告書に記載しなければならない。

(2)エンジニアリング・レポートの提出がない場合又はその記載されている内容が不十分である場合として想定される場合を例示すれば、既に鑑定評価が行われたことがある証券化対象不動産の再評価をする場合、証券化対象不動産が更地である場合(建物を取り壊す予定である場合を含む。)等がある。



(2)エンジニアリング・レポートの活用に当たっては、不動産鑑定士が主体的に責任を持ってその活用の有無について判断を行うものであることに留意する必要がある。また、エンジニアリング・レポートの内容の適切さや正確さ等の判断に当たっては、必要に応じて、建築士等他の専門家の意見も踏まえつつ検証するよう努めなければならないことに留意する必要がある。既存のエンジニアリング・レポートの活用で対応できる場合がある一方、エンジニアリング・レポートが形式的に項目を満たしていても、鑑定評価にとって不十分で不動産鑑定士の調査が必要となる場合もある。


(解説)

証券化対象不動産の鑑定評価において、確認資料としてエンジニアリング・レポートを使用するため、不動産鑑定士は依頼者に対し必要なエンジニアリング・レポートの提出を求めなければならない。

エンジニアリング・レポートは投資判断の目的として作成されるものであり、鑑定評価のために作成されるものではない。従って、その内容が鑑定評価にあたって不十分な場合もあるので、できる限り鑑定評価の確認資料として十分な内容のエンジニアリング・レポートを入手する必要がある。不十分であると判断した場合には、依頼者にその理由を説明して追加調査を要請する必要がある。

これらの判断は、不動産鑑定士が主体的に責任を持ち、その内容を理解、分析した上で活用の要否を判断すべきである。必要な場合には建築士等の他の専門家の意見も踏まえてその内容を検証するよう努めなければならない。

 

依頼者に対してエンジニアリング・レポートの提出がなかった場合や提出があったもののその内容が不十分な場合でも、不動産鑑定士の判断で鑑定評価を行うことがある。この場合は、不動産鑑定士が調査を行うなど鑑定評価を適切に行うため対応する必要があり、不動産鑑定士が行った調査の内容及びそれが適切であると判断した理由について、鑑定評価報告書に記載しなければならない。

 

エンジニアリング・レポートの提出がなかったり、その内容が不十分ではあるが、不動産鑑定士の判断により鑑定評価が可能な場合を例示すれば、以下の場合が考えられる。

(1)既に鑑定評価が行われたことがある証券化対象不動産の再評価を行う場合

(2)証券化対象不動産が更地である場合(建物を取り壊す予定である場合を含む。)

(3)戸建住宅等で不動産鑑定士による調査により、多くの価格形成要因の把握が可能な場合

 

 


3)エンジニアリング・レポートの内容を鑑定評価に活用するか否かの検討に当たっては、その判断及び根拠について、鑑定評価報告書に記載しなければならない。この場合においては、少なくとも次の表の項目ごとに、それぞれ同表に掲げる内容を鑑定評価報告書に記載しなければならない。この場合における鑑定評価報告書の様式の例は、別表1のとおりとする。なお、(1)ただし書きの場合においても、同様とする。

 

 

 



 

(3)鑑定評価に必要な対象不動産の物的確認、法的確認等に当たっては、各論第3章第3節Ⅲ(3)の表に掲げる内容や別表1の項目に掲げる内容が必要最小限度のものを定めたものであり、必要に応じて項目・内容を追加し、確認しなければならないことに留意する必要がある。

(4)できる限り依頼者からエンジニアリング・レポートの全部の提供を受けるとともに、エンジニアリング・レポートの作成者からの説明を直接受ける機会を求めることが必要である。

(5)なお、エンジニアリング・レポートの作成は委託される場合が多いが、この場合には、エンジニアリング・レポートの作成者は調査の受託者を指すことに留意しなければならない。また、この場合においては、エンジニアリング・レポートの作成者を鑑定評価報告書に記載する際、調査の委託者の名称も記載する必要がある。


(解説)

エンジニアリング・レポートの内容を鑑定評価に活用するか否かの検討にあたって、その判断及び根拠について鑑定評価報告書に記載しなければならない。記載内容は以下の通りである。

(1)エンジニアリング・レポートの基本的属性

エンジニアリング・レポートの委託者及び作成者が誰によるものか。作成者については、氏名、所属会社、作成者の資格も記載する。また、調査が行われた日、作成された日を記載する。

(2)エンジニアリング・レポートの入手経緯、対応方針等

エンジニアリング・レポートの提示者の氏名、職業等、入手した日等を記載する。また、作成者からの説明の有無も記載する。

入手したエンジニアリング・レポートを活用するかどうかを検討し、その対応を記載する。

(3)鑑定評価に必要となる専門性の高い個別的要因に関する調査

鑑定評価に必要となる専門性の高い個別的要因として、公法上及び私法上の規制、制約等(法令遵守状況調査を含む。)、修繕計画、再調達価格、有害な物質(アスベスト等)に係る建物環境、土壌汚染、地震リスク、耐震性、地下埋設物があげられる。これらの調査についてエンジニアリング・レポートを活用するか、不動産鑑定士が独自に調査を実施するのかの別を記載する。なお、不動産鑑定士が独自に調査する場合には、他の専門家への調査を依頼する場合を含む。

(4)鑑定評価に必要となる専門性の高い個別的要因に関する調査についての不動産鑑定士の判断

上記(3)の各項目について、エンジニアリング・レポートの記載内容を活用したのか、不動産鑑定士の調査で対応したのかについて記載し、あわせてその根拠を記載する。

 

記載内容は、別表1に準拠して作成するが、別表1は必要最小限のものを定めたものであり、必要に応じて項目・内容を追加し、確認しなければならない。

また、できる限り依頼者からエンジニアリング・レポートの全部の提供を受けるとともに、エンジニアリング・レポートの作成者からの説明を直接受ける機会を求めることが必要である。

なお、エンジニアリング・レポートの作成は委託される場合が多いが、この場合には、エンジニアリング・レポートの作成者は調査の受託者を指すことに留意しなければならない。つまり、エンジニアリング・レポートの作成者とは実際に調査をしてレポートを作成した者をさす。この場合においては、エンジニアリング・レポートの作成者を鑑定評価報告書に記載する際、調査の委託者の名称も記載する必要がある。

 

 


(4)エンジニアリング・レポートについては、不動産証券化市場の環境の変化に対応してその内容の改善・充実が図られていくことにかんがみ、エンジニアリング・レポートを作成する者との密接な連携を図りつつ、常に自らのエンジニアリング・レポートに関する知識・理解を深めるための研鑽に努めなければならない。


(解説)

エンジニアリング・レポートは、対象不動産の物理的な状況を専門家が調査、分析した専門家の意見であり個別分析の有用な資料として活用すべきものである。エンジニアリング・レポートの内容について、不明な点や不明瞭な記載がある場合は、必ず依頼者を通じてエンジニアリング・レポートの作成者に確認する必要がある。そのためにもエンジニアリング・レポートを作成する者との連携と密接な連携を図る必要がある。

また、鑑定評価においてエンジニアリング・レポートは重要な資料となるため、不動産鑑定士は評価主体としてエンジニアリング・レポートに関する知識・理解を深めるための研鑽に努めなければならない。

 

 

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Ⅲ 鑑定評価の依頼目的及び依頼者の証券化関係者との関係


証券化対象不動産については、関係者が多岐にわたり利害関係が複雑であることも多く、証券化対象不動産の鑑定評価の依頼目的及び依頼が必要となった背景等並びに依頼者と証券化対象不動産との利害関係に関する次の事項を鑑定評価報告書に記載しなければならない。

(1)依頼者が証券化対象不動産の証券化に係る利害関係者(オリジネーター、アレンジャー、アセットマネジャー、レンダー、エクイティ投資家又は特別目的会社・投資法人・ファンド等をいい、以下「証券化関係者」という。)のいずれであるかの別

(2)依頼者と証券化関係者との資本関係又は取引関係の有無及びこれらの関係を有する場合にあっては、その内容

(3)その他依頼者と証券化関係者との特別な利害関係を有する場合にあっては、その内容



(4)各論第3章第2節Ⅲに、依頼者の証券化関係者との関係について記載する旨定めているが、不動産鑑定士の対象不動産に関する利害関係又は対象不動産に関し利害関係を有する者との縁故若しくは特別の利害関係の有無及び内容については、総論第9章第2節により記載する必要があることに留意しなければならない。


(解説)

証券化スキームの中でその関係者は多岐に渡る。主な証券化関係者としては〔別表3-2〕のような者が挙げられる。

 

 

 

証券化対象不動産の鑑定評価の処理計画策定時に確認する依頼目的及び依頼が必要となった背景は鑑定評価報告書に記載しなければならない。

また、依頼者と証券化対象不動産との利害関係に関する次の事項も鑑定評価報告書に記載しなければならない。

(1)依頼者が証券化関係者のいずれであるかの別

(2)依頼者と証券化関係者との資本関係又は取引関係の有無及びこれらの関係を有する場合にあっては、その内容

(3)その他依頼者と証券化関係者との特別な利害関係を有する場合にあっては、その内容

 

なお、不動産鑑定士の対象不動産に関する利害関係又は対象不動産に関し利害関係を有する者との縁故若しくは特別の利害関係の有無及び内容については、総論第9章第2節により記載する必要があることに留意しなければならない。

 

 

 

 

 

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第2節  証券化対象不動産について未竣工建物等鑑定評価を行う場合の要件


証券化対象不動産の未竣工建物等鑑定評価は、総論第5章第1節Ⅰ2.なお書きに定める要件に加え、工事の中止、工期の延期又は工事内容の変更が発生した場合に生じる損害が、当該不動産に係る売買契約上の約定や各種保険等により回避されている場合に限り行うことができる。


(解説)

証券化対象不動産は不特定多数の投資家等の利益保護を最優先に考える必要がある。そのため、対象確定条件のうち未竣工建物等鑑定評価を行う場合、価格時点における現況とは異なる状況を前提とするため、条件設定の要件を厳格化している。総論第5章第1節Ⅰ2.なお書きに定める要件とは、「未竣工建物等鑑定評価を行う場合は、上記妥当性の検討に加え、価格時点において想定される竣工後の不動産に係る物的確認を行うために必要な設計図書等及び権利の様態の確認を行うための請負契約書等を収集しなければならず、さらに、当該未竣工建物等に係る法令上必要な許認可等が取得され、発注者の資金調達能力等の観点から工事完了の実現性が高いと判断されなければならない。」のことである。つまり、要件として、①利用者の利益を害するおそれがないことに加え、②価格時点の物的確認・権利の態様の確認ができること、③実現性・合法性を必要としているが、さらに、証券化対象不動産については、④工事の中止、工期の延期又は工事内容の変更が発生した場合に生じる損害が、当該不動産に係る売買契約上の約定や各種保険等により回避されている場合を要件として加えている。

未竣工建物等鑑定評価を行ったものの、請負事業者の破綻、天災等により、建物の工事が遅延、又は建物が竣工しないこと(建物竣工の実現性に係るリスク)や、竣工した建物が、評価の前提とした建物と相違すること(竣工した建物と評価の前提とした建物とが、結果として異なることとなった場合に生じるリスク)があると投資家の利益保護が図れない。よって、このようなリスクの担保ができている場合に限って未竣工建物等鑑定評価を行うことができるとしている。

例えば建物竣工の実現性に係るリスク回避がされている場合について、請負事業者の信用力、工事の完成に対する保証、建築工事保険等により回避することが可能である。

また、竣工した建物と評価の前提とした建物とが結果として異なることとなった場合に生じるリスクについて、売買契約における瑕疵担保や代金支払の約定等により回避することが可能である。

 

 

第3節 処理計画の策定

Ⅰ 処理計画の策定に当たっての確認事項


処理計画の策定に当たっては、あらかじめ、依頼者に対し、証券化対象不動産の鑑定評価に関する次の事項を確認し、鑑定評価の作業の円滑かつ確実な実施を行うことができるよう適切かつ合理的な処理計画を策定するものとする。この場合において、確認された事項については、処理計画に反映するとともに、当該事項に変更があった場合にあっては、処理計画を変更するものとする。

(1)鑑定評価の依頼目的及び依頼が必要となった背景

(2)対象不動産が第1節Ⅰ(1)、(2)又は(3)のいずれに係るものであるかの別

(3)エンジニアリング・レポート(建築物、設備等及び環境に関する専門的知識を有する者が行った証券化対象不動産の状況に関する調査報告書をいう。以下同じ。)、DCF法等を適用するために必要となる資料その他の資料の主な項目及びその入手時期

(4)エンジニアリング・レポートを作成した者からの説明の有無

(5)対象不動産の内覧の実施を含めた実地調査の範囲

(6)その他処理計画の策定のために必要な事項


(解説)

鑑定評価業務において、受付は鑑定業者が行うものの、依頼内容については不動産鑑定士が依頼者に直接確認すべきとされている。また、証券化対象不動産に係る不動産の鑑定評価は、その影響が広範に及ぶため、処理計画の策定に当たっては、あらかじめ、証券化対象不動産の鑑定評価に関する次の事項を確認してから処理計画を策定することとされている。処理計画は、鑑定評価の作業の円滑かつ確実な実施を行うことができるよう適切かつ合理的な計画でなければならない。

また、確認した事項を反映し、確認した事項に変更があれば、それに伴って処理計画も変更しなければならない。

 

1)鑑定評価の依頼目的及び依頼が必要となった背景

基準各論第3章の適用の有無は、鑑定評価の依頼目的によるところである。そのため、鑑定評価の依頼目的、依頼が必要となった背景を依頼者に確認する必要がある。

 

2)対象不動産が第1節Ⅰ(1)、(2)又は(3)のいずれに係るものであるかの別

第1節Ⅰ(1)、(2)又は(3)に係るものは、以下の取引に係る不動産である。

1)資産の流動化に関する法律に係る資産の流動化に係る不動産取引及び投資信託及び投資法人に関する法律に係る投資法人が行う不動産取引

2)不動産特定共同事業法に係る不動産特定共同事業契約に係る不動産取引

3)金融商品取引法に係る不動産取引

依頼者に対しては、依頼者の立場、利害関係等について詳細に確認した上で、当該確認の内容、各論第3章が適用の有無とその理由を、鑑定評価報告書に記載しなければならない。

 

3)エンジニアリング・レポート(建築物、設備等及び環境に関する専門的知識を有する者が行った証券化対象不動産の状況に関する調査報告書をいう。)、DCF法等を適用するために必要となる資料その他の資料の主な項目及びその入手時期

エンジニアリング・レポートとは、建築物・設備等及び環境に関する専門的知識を有する者が行った証券化対象不動産の状況(地下埋設物、耐震性等に関する内容を含む専門性の高い個別的要因)に関する調査報告書をいう。具体的には、別表1(エンジニアリング・レポートシート)に記載されたもの(建物状況調査、建物環境リスク調査、土壌汚染リスク調査、地震リスク調査)が含まれる。ただし、別表1以外にも更なる専門家の調査が必要となる場合があり、これらも全てエンジニアリング・レポートに含まれる。証券化対象不動産の評価を行うにあたってどのようなエンジニアリング・レポートが必要か、不動産鑑定士自ら判断する必要がある。既に作成済みのものや、作成依頼中のものがある場合でも、その内容を確認し、十分な内容であるかどうかを判断するとともに、不足する内容があれば追加での調査を依頼するなど対応しなければならない。

 

DCF法の適用にあたっては、運営収益の査定に必要な賃貸借契約状況の一覧(レントロール)や賃貸借契約書等、運営費用の実績や管理等に関する契約書等について、依頼者より提示される資料等の範囲及び入手時期を事前に確認する必要がある。

 

4)エンジニアリング・レポートを作成した者からの説明の有無

対象不動産の確認を行った結果が依頼者から示された内容と相違する場合や不明瞭な記載がある場合等はその内容を依頼者に確認する必要がある。他の専門家に依頼の上得られた確認資料(エンジニアリング・レポート、マーケットレポート等)であれば、その作成者等からの説明を聞く方法について事前に確認することが必要である。

 

5)対象不動産の内覧の実施を含めた実地調査の範囲

実地調査においては建物内部を含めて調査しなければならない。建物については、建物竣工図等の確認資料と照合する作業を行うが、建物の入居者等占有状況等によっては建物内部への立入調査ができない場合もある。そのため、対象不動産の内覧が可能な範囲を依頼者に確認し、鑑定評価報告書においては内覧を含め、実地調査をした範囲を明確にする必要がある。

 

6)その他処理計画の策定のために必要な事項

証券化関連の鑑定評価は、同時に複数の依頼を受ける場合も多く、大量の依頼の場合も少なくない。このような場合は特に慎重に、担当する不動産鑑定士の人数やの処理能力等を考慮して対象不動産ごとに作業の質、量に応じた処理計画を策定する必要がある。

 


(1)処理計画の策定に当たっての確認については、対象不動産の鑑定評価を担当する不動産鑑定士以外の者が行う場合もあり得るが、当該不動産鑑定士が鑑定評価の一環として責任を有するものであることに留意しなければならない。


(解説)

処理計画の策定に当たっての確認の作業は、対象不動産の鑑定評価を担当する不動産鑑定士以外の者が行う場合もある。このような場合でも、当該鑑定評価を行っている不動産鑑定士の責任の下での作業であり、当該不動産鑑定士が鑑定評価の一環として責任を負うことになる。

 

 

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第2節 建物及びその敷地

Ⅰ 新規賃料を求める場合

1.新規賃料の価格形成要因


建物及びその敷地の新規賃料固有の価格形成要因は、宅地の新規賃料を求める場合の鑑定評価に準ずるものとする。


(解説)

建物及びその敷地の新規賃料固有の価格形成要因は、宅地の新規賃料を求める場合の鑑定評価に準ずる。

 

 

2.建物及びその敷地の正常賃料を求める場合


建物及びその敷地の正常賃料を求める場合の鑑定評価に当たっては、賃貸借の契約内容による使用方法に基づく建物及びその敷地の経済価値に即応する賃料を求めるものとする。

建物及びその敷地の正常賃料の鑑定評価額は、積算賃料及び比準賃料を関連づけて決定するものとする。この場合において、純収益を適切に求めることができるときは収益賃料を比較考量して決定するものとする。

なお、建物及びその敷地の一部を対象とする場合の正常賃料の鑑定評価額は、当該建物及びその敷地の全体と当該部分との関連について総合的に比較考量して求めるものとする。



2.建物及びその敷地について

店舗用ビルの場合には、賃貸人は躯体及び一部の建物設備を施工するのみで賃貸し(スケルトン貸し)、内装、外装及び建物設備 の一部は賃借人が施工することがあるので、積算賃料を求めるときの基礎価格の判定及び比準賃料を求めるときの事例の選択に当たっては、これに留意すべきである。


(解説)

建物及びその敷地の正常賃料(正常家賃)を求める場合、賃貸借契約の契約条件(賃貸人が設定する条件である)により、使用方法に制約があり、その建物及びその敷地の効用を十分に発揮していない場合がある。このような場合に、家賃を求めるための建物及びその敷地の経済価値は、契約内容による使用方法に基づく建物及びその敷地の経済価値が基礎となる。

建物及びその敷地の正常賃料の鑑定評価額は、積算賃料及び比準賃料を関連づけて決定するものとする。この場合において、純収益を適切に求めることができるときは収益賃料を比較考量して決定するものとする。〔図表2-5

 

 

賃貸マンションや賃貸ビルの一室や一部の賃料を求める場合に、積算賃料を求める場合には区分所有建物及びその敷地の評価に準じて配分率により評価対象部分の基礎価格を求めるが、この場合に配分に当たっては全体建物及びその敷地と評価対象部分との関連を反映させる必要がある。

また、過大な敷地に比較的小規模な建物が存する場合には、基礎価格に土地価格が過大に配分されないように留意する必要がある。家賃の場合、契約する床面積の大小により賃料が異なるのは当然であるが、契約する床面積が同一であるが、全体敷地の規模が異なることで家賃に差異がでるのは理論的に矛盾が生じることとなる。

店舗の賃貸借契約を結ぶ場合、入居テナントが内装工事を行うことが多い。このような賃貸方式をスケルトン貸しというが、賃貸人は内装費をかけることなく賃貸するため内装工事を行わない分基礎価格が低くなる。よって、積算法を適用する場合はこの点に留意する必要があり、賃貸事例比較法をする場合も、賃貸事例の収集選択に当たってはスケルトン貸しの賃貸事例を採用することが望ましい。

 

 

Ⅱ 継続賃料を求める場合


建物及びその敷地の継続賃料を求める場合の鑑定評価は、宅地の継続賃料を求める場合の鑑定評価に準ずるものとする。この場合において、各論第2章第1節Ⅱ中「土地価格の推移」とあるのは「土地及び建物価格の推移」と、「底地に対する利回りの推移」とあるのは「建物及びその敷地に対する利回り」と、それぞれ読み替えるものとする。


(解説)

建物及びその敷地の継続賃料を求める場合の鑑定評価は、宅地の継続賃料を求める場合の鑑定評価に準ずるため、鑑定評価は、差額配分法による賃料、利回り法による賃料、スライド法による賃料及び比準賃料を関連づけて決定する。〔図表2’-6

 

 

その際、宅地の継続賃料の鑑定評価と同様に、各論第2章第1節Ⅱの事項を勘案して評価するが、継続家賃であるため、土地価格だけでなく土地及び建物価格の推移を、底地に対する利回りではなく建物及びその敷地に対する利回りの推移を勘案することとなる。

なお、同様に、①継続中の建物及びその敷地の賃貸借の契約に基づく実際支払賃料を改定する場合、②契約上の条件又は使用目的が変更されることに伴い賃料を改定する場合に分けられる。

■各論第2章終了■

 

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Ⅱ 継続賃料を求める場合

1.継続賃料の価格形成要因


継続賃料固有の価格形成要因は、直近合意時点から価格時点までの期間における要因が中心となるが、主なものを例示すれば、次のとおりである。

1)近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における宅地の賃料又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃料の推移及びその改定の程度

2)土地価格の推移

3)公租公課の推移

4)契約の内容及びそれに関する経緯

5)賃貸人等又は賃借人等の近隣地域の発展に対する寄与度


(解説)

継続賃料の鑑定評価にあたっては、継続賃料固有の価格形成要因があるので十分に分析して評価に反映させる必要がある。新規賃料と違い、継続賃料の場合は直近合意時点から価格時点までの期間における要因の変化を分析する必要がある。よって、基準に例示されているように各要因の過去からの推移に重点をおいて分析することになる。

 

1)近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における宅地の賃料又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃料の推移及びその改定の程度

宅地の賃貸条件の改定をする場合、賃貸人も賃借人も周辺の地代水準や地代の改定状況を意識して改定の交渉をするものである。従って、代替・競争関係の働く地代の推移や改定状況を分析する必要がある。

 

2)土地価格の推移

元本と果実の関係があり、地価の変動により継続賃料も変動する傾向がある。ただし、地価が上昇傾向にあるからといって、継続地代も常に上昇するわけではなく、直近合意時点の実際支払地代が既に相場よりも高額である場合は上昇するとは限らない。なお、元本と果実の相関関係があるものの、その動きは価格市場と賃料市場との特性の違いからタイムラグが発生するのが一般的である。

 

3)公租公課の推移

借地契約で賃料改定の条項に公租公課の変動が記載れているケースは多い。一般に、地代は公租公課よりも高額であるべきで(地主は地代から土地の公租公課を支払うため)、地代が公租公課の何倍であるかを基準に、実際支払地代の高低が把握されることがある。従って、地代の変動は公租公課の変動の影響を受けるので把握の必要がある。

 

4)契約の内容及びそれに関する経緯

賃貸借契約等において、地代の改定等は契約に従って改定されるものである。従って、契約内容を把握するとともに、過去の改定の経緯等について分析し、契約に従って改定がされてきたのかなどを把握する必要がある。

 

5)賃貸人等又は賃借人等の近隣地域の発展に対する寄与度

近隣地域が発展すれば、元本価値は上昇するため、正常実質(支払)賃料は上昇し、賃料差額が発生する。賃料差額配分法にみられるように、この差額を賃貸人と賃借人にそれぞれどの程度配分するかで適正な継続賃料を求めることができ、近隣地域の発展に対して賃貸人又は賃借人のそれぞれがどの程度寄与しているかによって配分率が左右されるものである。すなわち、賃貸人が近隣地域の発展に対する寄与度が大きい場合には、賃貸人に帰属する部分の配分割合が多くなり継続賃料の上昇率が大きくなる。他方、賃借人が近隣地域の発展に対する寄与度が大きい場合には、賃借人に帰属する部分の配分割合が多くなり継続賃料の上昇率が小さくなる。

 

 

2.継続中の宅地の賃貸借等の契約に基づく実際支払賃料を改定する場合


継続中の宅地の賃貸借等の契約に基づく実際支払賃料を改定する場合の鑑定評価額は、差額配分法による賃料、利回り法による賃料、スライド法による賃料及び比準賃料を関連づけて決定するものとする。この場合においては、直近合意時点から価格時点までの期間を中心に、次に掲げる事項を総合的に勘案するものとする。

1)近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における宅地の賃料又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃料、その改定の程度及びそれらの推移

2)土地価格の推移

3)賃料に占める純賃料の推移

4)底地に対する利回りの推移

5)公租公課の推移

6)直近合意時点及び価格時点における新規賃料と現行賃料の乖離の程度

7)契約の内容及びそれに関する経緯

8)契約上の経過期間及び直近合意時点から価格時点までの経過期間

9)賃料改定の経緯

なお、賃料の改定が契約期間の満了に伴う更新又は借地権の第三者への譲渡を契機とする場合において、更新料又は名義書替料が支払われるときは、これらの額を総合的に勘案して求めるものとする。


(解説)

継続賃料を求める場合には、次の二つのケースがある。

1.継続中の宅地の賃貸借等の契約に基づく実際支払賃料を改定する場合

2.契約上の条件又は使用目的が変更されることに伴い賃料を改定する場合

1はいわゆる賃料(地代)を改定する場合に適正な改定する支払地代はいくらになるのかという評価である。また、2は契約上の条件として非堅固建物所有を目的とする借地契約から堅固建物所有を目的とする借地契約に変更する場合、使用目的として、住宅使用を目的とする借地権から、店舗使用を目的とする借地権に変更する場合等が考えられる。このような場合に、支払地代を改定することがある。

 

まず、継続中の宅地の賃貸借等の契約に基づく実際支払賃料を改定する場合について説明する。

この場合の鑑定評価は、差額配分法による賃料、利回り法による賃料、スライド法による賃料及び比準賃料を関連づけて決定する。〔図表2’-3

 

 

評価にあたり総合的に勘案する事項は以下の通りである。特に、直近合意時点から価格時点までの推移に留意して評価する必要がある。

 

1)近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における宅地の賃料又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃料、その改定の程度及びそれらの推移

一般的、地域的な傾向として、類似の不動産の賃料と対象不動産の賃料とは代替競争関係があるため、その改定の程度や推移・動向を分析することで適正な改定の程度を把握することが可能となる。

 

2)土地価格の推移

地価の変動により継続賃料も変動するが、地価の変動と地代の変動は異なる動きをするものであるが、元本と果実の関係にあり相互に関連するものである。従って、それぞれの特性を把握し、土地価格の推移から継続賃料の改定率等を把握することは有用である。

 

3)賃料に占める純賃料の推移

賃料改定において、その純賃料に着目する場合があるため賃料に占める純賃料を把握する必要がある。純賃料の推移を把握することで適正な継続賃料の利回り水準を把握することも可能となる。

 

4)底地に対する利回りの推移

底地に対する利回りの推移を分析することで適正な新規賃料を把握するための期待利回りを求めることが可能となる。また、底地に対する利回りの水準を把握することで、地域の標準的な地代水準を把握できる。

 

5)公租公課の推移

公租公課の増減は継続賃料の増減に影響を与えるものである。また、公租公課に対して地代水準がどの程度かを把握することで、実際支払地代の水準が継続地代としての適正水準とどの程度乖離しているかを把握することが可能となる。

 

6)直近合意時点及び価格時点における新規賃料と現行賃料の乖離の程度

継続賃料は、一般的に新規賃料と現行賃料との間で形成される。また、契約時点や賃料改定時点において合意された賃料は、常に適正な賃料ではなく、契約当事者の様々な事情を包含しているものである。例えば、賃貸借当事者間の資本的な関係から割高な賃料が設定されたり、賃貸借当事者間の人的関係から恩恵的に割安な賃料が設定されるなどの事情が挙げられる。それ故、直近合意時点や価格時点における新規賃料と現行賃料の乖離の程度を把握し、その背景にあった事情を分析して継続賃料の評価に反映させなければならない。

 

7)契約の内容及びそれに関する経緯

過去に賃料改定があった場合でも、まず当事者合意の契約書の条項に基づいて改定していたことが推定される。しかしながら、実際には賃料改定を全く行ってこなかった場合や、改定されているが合意している契約内容とは異なるような改定に経緯を踏んでいる場合があったりとさまざまである。従って、そのような契約内容とそれに関する経緯を把握して評価に反映させなければならない。また、契約内容の確認は、鑑定評価報告書の記載事項としてもあげられている。

 

8)契約上の経過期間及び直近合意時点から価格時点までの経過期間

契約締結後、価格時点までの経過期間の長短と借得部分とは関連しており、一般に経過期間が長期に渡る場合は借得部分が大きくなる傾向がある。また、直近合意時点での賃料を基に継続賃料の水準を判断していくが、直近合意時点から価格時点までの期間の長短が賃料改定率に影響を与える。

 

9)賃料改定の経緯

継続賃料は、契約締結後に賃料改定を行ってきたか否か(長期間にわたり全く賃料改定が行われないケースもある)、前回の改定時点からどの程度の期間が経過しているか、各改定時期に適正な新規賃料との乖離がどの程度あったのか等の過去の賃料改定の経緯を踏まえて決まるものである。

 

総論第7章で説明したように、継続賃料固有の価格形成要因は、諸般の事情に関する要因と事情変更に関する要因に分けられる。

上記勘案事項は、継続賃料固有の価格形成要因であり、以下のように区分することができる。〔図表2-4

(※)直近合意時点から価格時点までに変更がある場合には事情変更に係る要因となる。

 

 

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第4節  特定価格を求める場合に適用する鑑定評価の手法

Ⅰ 各論第3章第1節に規定する不動産取引に基づく鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合


不動産鑑定士は、総論において記述したところに従い自己の専門的学識と応用能力に基づき、個々の案件に応じて不動産の鑑定評価を行うべきであるが、具体的な案件に臨んで的確な鑑定評価を期するためには、基本的に以下に掲げる不動産の種類別に応じた鑑定評価の手法等を活用する必要がある。


(解説)

総論第5章において、特定価格を求める場合の例示として、

1)各論第3章第1節に規定する証券化対象不動産に係る鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合

2)民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、早期売却を前提とした価格を求める場合

3)会社更生法又は民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、事業の継続を前提とした価格を求める場合

3例が挙げられている。

いずれの場合でも、市場性を有する不動産であるが、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を求めることとなり、特定価格として求めることとなる。

各論第3章第1節に規定する不動産取引に基づく鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合、資産の流動化に関する法律等により資産流動化計画等に基づき不動産を運用しなければならず、投資家はその運用方法による使用を前提に投資判断を行うこととなる。よって、証券化対象不動産の評価においても投資家保護の観点からその運用方法による使用を前提とした評価を行うこととなる。

投資家は、証券化対象不動産の収益性を考慮することとなるため、これをもとに鑑定評価の手法を適用する必要がある。投資家は、開示される資産流動化計画等の運用計画による保有期間中の収益(インカム)と転売による収益(キャピタル)を投資採算価値として判断するため、この考え方に即したDCF法による試算価格を重視する必要がある。よって、「基本的に収益還元法のうちDCF法により求めた試算価格を標準とし、直接還元法による検証を行って求めた収益価格に基づき、比準価格及び積算価格による検証を行い鑑定評価額を決定する。」としている。

 

 

Ⅱ 民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、早期売却を前提とした価格を求める場合


この場合は、通常の市場公開期間より短い期間で売却されるという前提で、原則として比準価格と収益価格を関連づけ、積算価格による検証を行って鑑定評価額を決定する。なお、比較可能な事例資料が少ない場合は、通常の方法で正常価格を求めた上で、早期売却に伴う減価を行って鑑定評価額を求めることもできる。


(解説)

民事再生法の下で財産を処分する場合に価額を評定することを要請されるが、その場合の鑑定評価は対象不動産の種類、性格、所在地域の実情に応じ、早期の処分可能性を考慮した適正な処分価格として求めることとなる。つまり、正常価格の条件の一つである「対象不動産が相当の期間市場に公開されていること」を前提とせず、通常の市場公開期間より短い期間で売却されることを前提とするものであるため早期売却による減価が生じないと判断される特段の事情がない限り特定価格として求めなければならない。

この場合の評価方法として、二通りあげられている。

まず、早期の売却市場(市場公開期間を短期とした市場)を前提として三手法を適用して求める方法である。実務的には原価法において一体としての市場性減価、取引事例比較法において、早期の売却市場で取引された事例の選択、収益還元法において利回りの査定などへの早期売却市場の減価を盛り込むことが考えられるが、客観性を付与するに値する事例や資料を収集できるかが課題となる。この方法では、三手法のうち原価法においては早期売却市場の経済価値への影響が反映され難いことが考えられるため、重み付けにおいても検証という位置づけとなっている。

もう一つの方法として、事例資料等が少ない場合には、まず正常価格を求めて、これに早期売却市場による減価を反映させる方法がある。実務上は減価の程度をいかに判断するかが難しいところであるが、前者の方法よりも比較的容易に適用できると考えられる。

 

 

Ⅲ 会社更生法又は民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、事業の継続を前提とした価格を求める場合


この場合は、原則として事業経営に基づく純収益のうち不動産に帰属する純収益に基づく収益価格を標準とし、比準価格を比較考量の上、積算価格による検証を行って鑑定評価額を決定する。


(解説)

会社更生法、民事再生法のいずれの場合においても、事業の継続を前提として鑑定評価を行うことを要請されることがある。この場合、対象不動産の利用現況を所与とすることにより、前提とする使用が対象不動産の最有効使用と異なることとなる場合には特定価格として求めなければならない。

建物及びその敷地の最有効使用の観点から、現況建物は取壊しをして、更地化することが最有効使用と判断される場合でも、取壊しをしないで現況建物の利用を継続することを前提とした評価となる。従って、現況建物の利用を継続した場合の効用に主眼を置く必要があるため、それに最も即した手法である収益還元法により、事業経営に基づく純収益のうち不動産に帰属する純収益に基づく収益価格を標準とするとされている。また、同様の業種の事業の用に供されている類似の取引事例等があれば一定の規範性を認めることができるので比較考量するとしている。原価法については、最有効使用でない使用方法を継続するため、敷地の減価、建物の減価等の把握に困難性があるため検証に留めている。

 

■各論第1章終了■

 

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2.区分所有建物及びその敷地の鑑定評価


1)専有部分が自用の場合

区分所有建物及びその敷地で、専有部分を区分所有者が使用しているものについての鑑定評価額は、積算価格、比準価格及び収益価格を関連づけて決定するものとする。

積算価格は、区分所有建物の対象となっている一棟の建物及びその敷地の積算価格を求め、当該積算価格に当該一棟の建物の各階層別及び同一階層内の位置別の効用比により求めた配分率を乗ずることにより求めるものとする。

2)専有部分が賃貸されている場合

区分所有建物及びその敷地で、専有部分が賃貸されているものについての鑑定評価額は、実際実質賃料(売主が既に受領した一時金のうち売買等に当たって買主に承継されない部分がある場合には、当該部分の運用益及び償却額を含まないものとする。)に基づく純収益等の現在価値の総和を求めることにより得た収益価格を標準とし、積算価格及び比準価格を比較考量して決定するものとする。

この場合において、前記Ⅱの1.から7.までに掲げる事項を総合的に勘案するものとする。


(解説)

区分所有建物及びその敷地の鑑定評価は、専有部分が自用の場合と専有部分が賃貸されている場合に分類される。

専有部分が自用の場合は、自用の建物及びその敷地の鑑定評価額を求める場合と同様に、積算価格、比準価格及び収益価格を関連づけて決定する。〔図表1’-33

 

 

専有部分が賃貸されている場合は、貸家及びその敷地の鑑定評価額を求める場合と同様に、収益還元法による収益価格を標準とし、積算価格及び比準価格を比較考量して決定する。〔図表1’-34

 

 

この場合、専有部分が賃貸の用に供されているので、貸家及びその敷地の勘案事項も勘案しなければならない。

原価法を適用して積算価格を求める場合、まず一棟全体の建物及びその敷地の積算価格を求め、これに配分率を乗じることによって対象不動産の積算価格を試算することとなる。配分率は、階層別効用比と位置別効用比によって求める。

階層別効用比とは、建物の基準階の専有部分の単位面積当たりの効用に対する各階層別に把握される専有部分の単位面積当たりの効用の比をいう。住居の場合、日照、採光、眺望、騒音等の観点から、上層階の方が効用比が高くなる傾向がある。店舗の場合、顧客の流れや視認性等の観点から1階の効用比が最も高く、上層階や地階になれば低くなる傾向がある。事務所の場合、一般的にはあまり階層によっての効用比に差がない傾向がある。ただし、超高層ビルの場合には、眺望等により高層階の効用が高くなる傾向がある。

一方、位置別効用比とは、同一階層内の基準となる専有部分の単位面積当たりの効用に対する他の専有部分の単位面積当たりの効用の比をいう。住居の場合、開口部の方位(日照・採光・眺望)、騒音、間取り、バルコニーの広狭、エレベーターとの位置関係等により効用の差が生じる。店舗の場合、顧客の流れや視認性、店舗の間口奥行、形状、規模、エレベーターや階段との接近性、角店舗・両側店か否か、通路の配置等の観点から効用の差が生じる。事務所の場合、一般的には位置による効用比の差が小さい傾向がある。

配分率を求める方法には、階層別効用比及び位置別効用比により求めるが、①階層別位置別効用比率に基づく配分方法と②地価配分比率に基づく配分方法がある。

① 階層別位置別効用比率に基づく配分方法

階層別・位置別効用の差は、土地と建物が一体となって発生したものであり、効用の差を敷地価格と建物価格の両方に反映させるべきであるという考え方に基づくものである。階層別効用比や位置別効用比は、分譲価格比や賃貸した場合の実質賃料比等から査定する。これに専有面積を加味して効用積数を求め、階層別効用比率と位置別効用比率を求めることで、配分率を査定することとなる。〔図表1’-35

 

 

この方法は、分譲マンションのように一棟の建物が単一の用途に供されている場合に多く採用されている方法である。

② 地価配分率に基づく配分方法

区分所有建物及びその敷地の経済価値を敷地価格と建物価格に分離して考える。まず建物の経済価値は、費用性の側面から考慮するとその建築コストに依存すると考えられ、階層・位置の違いにより建築コストに差がないのであれば、異なる階層でも経済価値は同一と考えられる。従って、階層、位置の違いにより効用の格差が発生し、経済価値に差異が発生するのは土地の寄与する度合いが階層、位置によって異なるからであるという考え方に基づくものである。この場合の配分方法は、土地と建物の経済価値を別々に配分することとなり、区分所建物及びその敷地の経済価値は、対象不動産の敷地と建物の経済価値を別々に求めて合計することにより求めることになる。

敷地の配分率は、階層別効用比と位置別効用比から建物に帰属する効用比を控除して敷地に帰属する効用比を求め、これに専有面積を加味して効用積数を求め階層別地価配分比率と位置別地価配分率を求めることで、敷地の配分率を査定することとなる。

一方、建物の配分率は、建築コストが階層、位置により差異がないことを前提とすると、一棟の建物の内部で同一と考えられるため、専有面積割合をもって建物の配分率を査定することとなる。建築コストが階層、位置により差異がある場合は、建物についても建築コストの比率で配分率を計上していくこととなる。〔図表36

 

 

この配分方法は、階層により用途が異なることで建築コストが異なる場合に、その相違を価格に反映できるため有効である。また、再開発の権利変換計画で土地と建物の価格を別個に配分する必要がある場合に有効である。

 

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Ⅲ 借地権付建物

1.建物が自用の場合


借地権付建物で、当該建物を借地権者が使用しているものについての鑑定評価額は、積算価格、比準価格及び収益価格を関連づけて決定するものとする。この場合において、前記借地権②、ア(ア)から(キ)までに掲げる事項(定期借地権の付着している宅地の評価に当たっては、(ア)から(ク)までに掲げる事項)を総合的に勘案するものとする。


(解説)

借地権付建物の鑑定評価は、建物が自用の場合と建物が賃貸されている場合に分類される。

建物が自用の場合は、自用の建物及びその敷地の鑑定評価額を求める場合と同様に、積算価格、比準価格及び収益価格を関連づけて決定する。〔図表1’-31

 

 

この場合、敷地の利用権原が借地権であるため、借地権の鑑定評価における勘案事項を勘案しなければならない。

 

 

2.建物が賃貸されている場合


借地権付建物で、当該建物が賃貸されているものについての鑑定評価額は、実際実質賃料(売主が既に受領した一時金のうち売買等に当たって買主に承継されない部分がある場合には、当該部分の運用益及び償却額を含まないものとする。)に基づく純収益等の現在価値の総和を求めることにより得た収益価格を標準とし、積算価格及び比準価格を比較考量して決定するものとする。

この場合において、前記借地権②、ア(ア)から(キ)までに掲げる事項(定期借地権の付着している宅地の評価に当たっては、(ア)から(ク)までに掲げる事項)及び前記Ⅱの1.から7.までに掲げる事項を総合的に勘案するものとする。


(解説)

建物が賃貸されている場合は、貸家及びその敷地の鑑定評価額を求める場合と同様に、収益還元法による収益価格を標準とし、積算価格及び比準価格を比較考量して決定する。〔図表1’-32〕

 

 

この場合、敷地が借地権であるため、借地権の鑑定評価における勘案事項を勘案しなければならない。また、建物が賃貸の用に供されているので、貸家及びその敷地の勘案事項も勘案しなければならない。

 

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