はな子さんが、運動場から寝部屋に入ってくる姿を見るのが好きです。



季節や天気によって多少時間が変わるけれど、「そろそろ時間かなぁ・・・」という頃になると、運動場のはな子さんの姿を眺めていたい気持ちもありつつ、寝部屋の中に出たり入ったりしてしまいます。

飼育員さんが2人やってきて、はな子さんを迎える準備を始めたら、私も、寝部屋の二重になっている柵の前でスタンバイ。

一人の飼育員さんが、寝部屋と運動場の間のドアを開ける操作をします。もう一人の飼育員さんが、はな子さんの大好物の食パンを抱えて待っています。

ゴロゴロとドアが開き、飼育員さんがはなこぉ~と呼びかけると・・・
向こうから、はな子さんが歩いてきました。あれ? 木の枝を、楊枝みたいに口に挟んでいますよ。

はな子さんが寝部屋に入ったら、飼育員さんがドアを閉める操作をします。はな子さんは、もう一人の飼育員さんの所にまっしぐら。食パンを口に入れてもらいました。

こんな時、はな子さんのことを「はなちゃん」と呼びたくなります。



はな子さんと飼育員さんの、繰り返される日課の中にある、ほのぼのとした空気が大好きです。







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はなちゃん、まっしぐら。右側に、食パンを抱えた飼育員のおねえさんが。










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はなちゃん、食パンをたべさせてもらう。






ー ー ー ー ー

モノクロフィルムでの撮影を始めました。
まだコツがつかめないけれど、丁寧に少しずつ撮りためていきたいです。

4月に入りましたね。外はすごい風! 明日(もう今日)は、外出に気をつけて下さいね。
明日〈もう今日)も仕事だけど、フィルムスキャンに時間がかかってしまい、こんな時間に!
いつも愛読しているブログ「イージー・ゴーイング」。書いているのは、作家で、ロックンロールバンドのヴォーカリストで、アメーバブックス新社・編集長の山川健一さんです。3月5日には、こんな記事が書かれていました。


「山川健一の言葉」を選んでもらえないかな。


忘れられない、また、今や私の根底に深く染み入っているような言葉があるのだけど、ちょうど「御苗場+CP」の準備・展示本番と重なってしまい、〆切りに間に合いませんでした。
でも、せっかくの機会だから、自分のブログにエントリーしちゃいます。


ー ー ー ー ー

以下の3点を書いてほしい、ということなのですね。

●ぼくの文章の引用。
●どの本に収録されていたか。
●それを読んであなたが感じたこと。

ー ー ー ー ー


ぼくの文章の引用。

「あの子には、この地上にあるものを、すべてそのまま受け入れてしまうようなところがあるんです。それが、心配です。あの子には外敵と闘う意志が最初からないのです」


どの本に収録されていたか。

セイヴ・ザ・ランド
講談社/1989年12月24日 第1刷発行


それを読んであなたが感じたこと。

「この地上にあるものを、すべてそのまま受け入れる」というあたりが、「まるで自分のようだ」と感じた。そして、「そのままでいい」「そういう感覚や姿勢を、心配し、理解しくれる人が、現実の世界にもいるのかもしれない」と希望を持てた。


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★補足★

『セイヴ・ザ・ランド』は、ロックと環境問題が縦糸と横糸のように織りなされ、世界を語りながら個別的な愛に辿り着く・・・という感じの小説です(私の要約ですが)。

登場人物は、ロックシンガーの圭一と、その恋人の侑美を中心に、圭一の取り巻きの女たち、隣家の少女、侑美の父である老気象学者など。

引用した文章は、年老いた気象学者(妻は先立っている)が、一人娘の侑美のことを、侑美と別れ話になっている、その恋人の圭一と2人きりで語りあう場面のセリフ。

引用した文章の前にも、老気象学者が、娘について圭一に語っています。子供の頃の侑美の、繊細さを伺わせるエピソード。そんな侑美が、圭一と出会い、心を開いて幸せそうに見えること、など。

人生の終着点を見ているであろう老父が、娘を思う心を圭一に託す。どちらの男性も、その女性の、この世界を生きるにはあまりに脆いと見えるパーソナリティを肯定している。

「あなたは、そのままで大丈夫。そういうあなたを理解してくれる人と出会い、その出会いを積み重ねてゆけばいいんだよ」 たった2ページのやりとりから、そんなことを教わった気がしました。

こうして書いてみると、ずいぶん時間が経っているのね?
読書がもたらす、もうひとつの時間を感じます。培われる時間。とでもいえばいいかな?

降り注いだ雨が、大地に染み入り、やがて地下水となり湧き出てくるように。『セイヴ・ザ・ランド』から受け取ったものが、私の中で、そんなふうに培われていたらステキなんだけど・・・。



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山川健一さんは、2011年、東北芸術工科大学に開設される見込みの、文芸学科の学科長に就任の予定だそうです。ライティングコースと編集コースの2コースが設けられ、作家や編集者を養成するのだとか。

素晴らしい作家や編集者が、たくさん生まれ育ちますように。

【こゆびまゆみ ブロフィール】


こゆびまゆみ = はな子グラファー。

昭和の高度成長期、東京都保谷市生まれ・田無市育ち(現在は、両市が合併して西東京市)。現在も西東京市在住。


2000年1月、写真家・テラウチマサト氏が講師を務める写真教室『Following Succession』(現・『PHaT PHOTO写真教室』)に通い始め、現在も在籍。


仕事のかたわら、マイペースで写真を撮り続ける。主な被写体は、日常のなにげない風景・姪(四姉妹)・猫・植物など。


写真教室に通い10年が経過したのを機に、自分ならではの視点で、なにかを継続して撮り続けたいと考え、昨年末、井の頭自然文化園の「はな子さん」を訪れ魅了される。以来、毎週撮影に通っている。



今後の目標(情報を求めています)

●戦中の動物園の猛獣処分や、戦後の象の招致に関わった台東区子供議会や象列車に乗った人たちに会い、お話を聞き、撮影をしたい。


●はな子さんに縁のある場所(吉祥寺・上野・名古屋・神戸・タイ)で個展を開きたい。


●自転車(or車)に写真を積んで、公園や病院や福祉施設などをまわる「吟遊ギャラリー はな子は、います」をやりたい。
【アジアゾウのはな子さん】



はな子は、戦後、日本に最初にやってきたゾウです。1947年(昭和22年)、タイで生まれ、1949年(S24年)、平和の使者として、タイから日本の子どもたちへ贈られました。


上野動物園で暮らし、東京都内の各地をめぐる移動動物園に参加したのち、武蔵野市・三鷹市の住民の熱烈な呼びかけにより、1954年(S29年)、井の頭自然文化園にやってきました。


現在、はな子は、63歳。国内で飼育されているゾウの中では最高齢です。正確な誕生日がわからないため、年が明けた時に一つ歳をとる、という数え方をしています。


まともな歯が1本しかないので、飼育係が毎日、はな子スベシャル食を作って与えています。飼育係や、会いに来てくれるお客さんに支えられ、はな子は今日も元気に暮らしています。


~井の頭自然文化園・象舎前のプレートより転載させて頂きました~

【展示について】



はな子さんは、開園時間の半分を屋外の運動場で、残りの半分を「寝部屋」と呼ばれる屋内で過ごします。


寝部屋は、はな子さんの体には、ちょっと気の毒なほどの広さ(狭さ)ですが、お客さんにとっては、間近で はな子さんに会える場所でもあります。


ここの雰囲気は、一種独特です。人によっては、苦手と感じるかもしれません。でも、少しその場にいれば、寝部屋が特別で当たり前の場所だと、気づけるのではないでしょうか。


鉄柵の前に立って、心で、または声に出して。「はな子さん」「はなちゃん」と呼び掛けてみます。心を打ち明けてみます。はな子さんは、きっと応えてくれますよ。


タイでは、ゾウは神様の使者と言われているとか。一直線に見つめ返してくる瞳は気高く厳か。一方で、とても無邪気で愛らしい。


人間にとても近い場所で暮らしてきたからでしょうか、親愛の気持ちを、はな子さんは表わしてくれるのです。


そんな様子が伝われば嬉しいです。
この展示を見て下さり、どうもありがとうございました。