十数年前、発表会の前々日にノロにやられて嘔吐と下痢を繰り返しました。
医者に行って二日間ほぼ絶食状態で寝込んで、発表会当日は嘔吐も下痢も収まってたから出かけたものの、ゲネプロ(本番と同じに通しでやるリハ)の後は、楽屋でぶっ倒れてるような状態。

出演するのは「花のワルツ」
 

私一人が抜けても、場当たり(舞台上の位置決め)の変更があるくらいでどうにかなるだろうから、ギリギリまで本番どうしようか悩んだが、とにかく出た。
こんなふうに お花の輪っかを持って踊るの♪

途中クラっときたが、なんとか転ばないで済んで良かった・・・・・
お腹の調子より絶食状態でHPほぼゼロなのがヤバかったのかも。

見に来てくれた友人から「ああ、それで元気がなかったんだ」と言われました。
「そうなの~これこれこうで大変だったのよ~」と応えたものだけど、後にそれって、とっても恥ずかしいことだと思った。。。。。


だって言い訳タラタラで踊ってたようなものだから。
「私、具合悪いから上手く踊れないのよ~」って。
具合が良くても大した差はないのにさ。

あ。友達とか同好の士相手に言い訳するのは構わんと思うの。

私が言ってるのは「踊り」の問題。


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       ウチの教室では発表会は2年に一度。
     出るのは必須ではないので、その点 気楽です。
 

ノロでぶっ倒れた何年後の発表会だったかな

ウチで一番上手い子の発表会の舞台姿を見て、すごい衝撃を受けました。

演目は『くるみ割り人形』
物語の主役は「クララ」だけど、バレエの主役は「金平糖の精」と言われます。


大人の女性として、バレリーナとして、

クララの憧れの象徴の お菓子の国の女王様。
金平糖の精。


 

その子は発表会の半年前、すでに「金平糖の精」と決まってる頃に大腿骨を骨折しました。
発表会どころか、バレエを続けることが出来るか否かのレベル。

でも彼女は諦めなかった。
その気迫に先生は「金平糖の精は あなた以外には踊らせない」と言ったそうな。


そして彼女はギプスをしたままで「金平糖の精」を踊りました。
お菓子の国の女王様。クララの憧れの象徴を。
 

彼女と長らく一緒にレッスンしてたから、それが彼女の力の半分も出てない・・・いや それ以下だと分かる。
本人も悔しかったと思うけど、見てるほうも悔しかったわ。


  もっともっと踊れるのに!!!



でも、彼女は それを顔に いっさい出さなかったんです。

得意の回転系もジャンプも、全て封じられたその身体で。

踊るというより歩くに近い動きの中で。

 

無事なほうの脚でバランスしながら、
お菓子の国の女王様そのままに、華やかで誇らしげなキラキラした笑顔を浮かべてた。


そこには何の言い訳もなく。


当時はまだ、小学6年生だったと思う。
凄い子だと思いました。

いい大人が嘔吐と下痢と腹ペコ状態くらいで、言い訳タラタラで踊っていたことを、そのとき心底 恥じ入りました。

 

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昔 バレエ関係のコラムで読んだのだけど、あるバレリーナが後輩のバレリーナたちに道を示すような、金平糖の精を踊ったそうです。

ギプスを付けて踊っても微笑みを絶やさなかった彼女は、その意味でもまさしく、金平糖の精でした。