十数年前、発表会の前々日にノロにやられて嘔吐と下痢を繰り返しました。
医者に行って二日間ほぼ絶食状態で寝込んで、発表会当日は嘔吐も下痢も収まってたから出かけたものの、ゲネプロ(本番と同じに通しでやるリハ)の後は、楽屋でぶっ倒れてるような状態。
出演するのは「花のワルツ」
私一人が抜けても、場当たり(舞台上の位置決め)の変更があるくらいでどうにかなるだろうから、ギリギリまで本番どうしようか悩んだが、とにかく出た。
こんなふうに お花の輪っかを持って踊るの♪
途中クラっときたが、なんとか転ばないで済んで良かった・・・・・
お腹の調子より絶食状態でHPほぼゼロなのがヤバかったのかも。
見に来てくれた友人から「ああ、それで元気がなかったんだ」と言われました。
「そうなの~これこれこうで大変だったのよ~」と応えたものだけど、後にそれって、とっても恥ずかしいことだと思った。。。。。
だって言い訳タラタラで踊ってたようなものだから。
「私、具合悪いから上手く踊れないのよ~」って。
具合が良くても大した差はないのにさ。
あ。友達とか同好の士相手に言い訳するのは構わんと思うの。
私が言ってるのは「踊り」の問題。
・*:.。.☆.。.:*・゚・*:.。.☆.。.:*・゚・*:.。.☆.。.:*・゚
ウチの教室では発表会は2年に一度。
出るのは必須ではないので、その点 気楽です。
ノロでぶっ倒れた何年後の発表会だったかな
ウチで一番上手い子の発表会の舞台姿を見て、すごい衝撃を受けました。
演目は『くるみ割り人形』
物語の主役は「クララ」だけど、バレエの主役は「金平糖の精」と言われます。
大人の女性として、バレリーナとして、
その子は発表会の半年前、すでに「金平糖の精」と決まってる頃に大腿骨を骨折しました。
発表会どころか、バレエを続けることが出来るか否かのレベル。
でも彼女は諦めなかった。
その気迫に先生は「金平糖の精は あなた以外には踊らせない」と言ったそうな。
そして彼女はギプスをしたままで「金平糖の精」を踊りました。
お菓子の国の女王様。クララの憧れの象徴を。
彼女と長らく一緒にレッスンしてたから、それが彼女の力の半分も出てない・・・いや それ以下だと分かる。
本人も悔しかったと思うけど、見てるほうも悔しかったわ。
もっともっと踊れるのに!!!
でも、彼女は それを顔に いっさい出さなかったんです。
得意の回転系もジャンプも、全て封じられたその身体で。
踊るというより歩くに近い動きの中で。
無事なほうの脚でバランスしながら、
お菓子の国の女王様そのままに、華やかで誇らしげなキラキラした笑顔を浮かべてた。
そこには何の言い訳もなく。
当時はまだ、小学6年生だったと思う。
凄い子だと思いました。
いい大人が嘔吐と下痢と腹ペコ状態くらいで、言い訳タラタラで踊っていたことを、そのとき心底 恥じ入りました。
・*:.。.☆.。.:*・゚・*:.。.☆.。.:*・゚・*:.。.☆.。.:*・゚
昔 バレエ関係のコラムで読んだのだけど、あるバレリーナが後輩のバレリーナたちに道を示すような、金平糖の精を踊ったそうです。
ギプスを付けて踊っても微笑みを絶やさなかった彼女は、その意味でもまさしく、金平糖の精でした。