自傷癖が止まらない。アーメダバード旅行⑤ | O.S.D.さり オフィシャルブログ powered by Ameba

自傷癖が止まらない。アーメダバード旅行⑤

いろんな事に絶望しながら朝を迎える。

週末を家でゆっくり過ごしたいのになぜかまた放浪している自分、
お部屋の外から聞こえる謎の怒号、
繋がらない携帯のネット、
ウェイティングリストのままの復路の電車。

辛い。
生きていくのはこんなにも辛いのか。
外に出たくない。
チェックアウトしたくない。
おうちに帰りたい。

夜、乗れるかもわからない電車の時間までたっぷり1日ある。

チェックアウトぎりぎりまで
やだよーやだよーお外出たくないよー
とゴネながら渋々外へ出る。

今年は雨が少ないらしく、外は晴れていた。
日本でもエルニーニョだかで異常気象がニュースになっているみたいですが、
インドでも異様に雨の少ないこの雨季、
断水だけはご勘弁。

まずは駅近くの、揺れるミナレットがあると言う、
スィディ・バシールモスクへ。

ミナレットは揺れていなかった。
地球の歩き方のあほ!
嘘つき!


そしてモスクに飽きる。
もういいよ、モスクは。
飽和状態だよ。
モスクの供給過多だよ。

次に、キャリコという更紗の織物を展示した、
キャリコ博物館へ向かう。
これはガイドツアーで、中の撮影は禁止。

待合室にいるのは、これでもかと言うくらい悪人顔の、
お金さえ渡せばきっと人だって殺す様な、
強いものには弱く、弱いものにはとことん厳しいって顔に書いた様な、
そんな警備員。

入場料もガイド料も無料と言う、これは多分だまされている。
私たぶんだまされてる。
おかしい。
博物館でガイドツアーがあって無料ってもうこれはおかしい。
終わったと同時に追い剥ぎられるのか、
飲み物に何か混ぜられて東南アジアに売られるか、
フライデーに撮られて意気消沈ゴリラになるか、
4-1で負けるかどれか。

こわいこわいこわいこわい
インドで無料こわい。
お願いお金払わせて。
こわいからマジで。

このガイドツアーが意外とめちゃくちゃ良かった。
インド伝統の織物で物語を紡いだり、
彫刻類や像の類も、統一感があって見応えがあって、
集団で回るガイドツアーが英語なのでおもしろい。
豪華な更紗を、200年前に紡がれた糸のくすまない輝きを、
「ドントタッチ!」って何回も怒られながら堪能。
緑の美しい庭園には孔雀。
羽を広げた孔雀をあんな近くで見たのは、
越谷市蒲生にある鹿公園で見た以来です。

越谷市蒲生には鹿と孔雀のいる小さな鹿公園があった。
都島区高倉町にはてっちゃんと言う駄菓子屋のあるてっちゃん公園。
実家は鹿県。
そして私は今グジャラート州アーメダバードで迷子。

2時間近くのツアーを満足で終えて、いよいよ行くところが無い。
まだ電車まではたっぷりある。
本当に行くところが無い。
携帯の電波も無い。
Wi-Fiが使えそうなお店も無い。
スタバも無い。
マクドも無い。

昨日からずっとぐるぐるしている旧市街は川の東側なので、
地球の歩き方には何ひとつ掲載のない新市街つまり西側、
そこならもしかしたらスタバがあるかも知れない、と思い立ち、
祈る様な気持ちで川を渡ってみました。
英語の一切通じないオートのドライバーにいざなわれて。

そしてあったのはフリマっぽいマーケット。
ただし欲しいものは相変わらず1つも無い。
変なデザインのインド服や変なデザインのインドかばん。
本当に要らない。

暑くて若干あっち側の世界が見え始めて、アイス屋さんで涼をとる。

何をしたらいいんだ。
どこに行けばいいんだ。
もう一度階段井戸、というのも頭をかすめないでもない。
しかし少し距離があるのと暑いのとで足が向かない。

よし、ひきこもろう。
そうだ、私、お部屋で引きこもっておもろないフランスの本読む。



その辺にあったホテルの門をたたく。
たのもー!

夜までしか居ないのに、1泊分を払わされて、
それでもスタバ3回分ほどなので私もうここで良いです。
外で行くところもわからないまま、
全員の視線を浴びながら灼熱地獄を彷徨うぐらいなら、
私ひきこもります。

そこで6時間ほどただ後悔をしながら、
また旅に出た自分を呪いながら、
おもろないフランスの本しか持ってこなかったことに絶望しながら、
ひたすら自分を責め続け、
少し余裕を持って乗れるかわからない電車の時間に駅へ向かう。



チャートを祈る様な気持ちで探し、
自分の名前を見つけた時の私の気持ちは、
大学受験に受かった時の2億分の1ほどにも大きな感動だった。

あー帰れるー!
ムンバイ帰るー!

往路と同じ、凍える様な1等車の中で、
ただ早く帰りたい気持ちを胸に眠る。

そして無事何もなくムンバイへ朝到着、やっと終えた。

何やかんや言いながら本当は結構楽しかったんです。
やっと見れた階段井戸は美しかったし、
初めて入ったジャイナ教のお寺は感動ものだったし、
何もかも無料で全然騙してこないしみんないい人ばっかだったし、
それなりに楽しかったんです。

だけどもう行きたくない。
できることなら本当に週末は誰とも会わずに誰ともしゃべらずに、
インターネットをしていたい。

なのにまた多分すぐ行ってしまうんだ。
お願い、誰か私を止めて。