スタジオについて。 | O.S.D.さり オフィシャルブログ powered by Ameba

スタジオについて。

そうね、ここから始まったのね。

先日大阪で機会があって、
その昔私が初めてリハに入ったスタジオの前を通った。
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蘇る吐き気と感情たち。
愛しいものたちを一つずつ指折り数える。

もう一箇所、行ってみた。
恐らく回数的には一番多くリハに入った堺筋本町のMAXが、なくなっていた。
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一体何回、リハに入ったんだろうか。

単純計算で、
週一と仮定しても、700回近くとなった。
もっと入ったはずだ。
気が遠くなる。

今思ったらしょーもないことで怒って、
音ばっか鳴らして、
色んな人とぶつかって、
それでも、楽しかった。
のだと思う。

私は今が一番やと常に思っているから、
今のスタジオが一番好き。
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重い楽器を背負って、
雨の日も風の日もせっせと通ったものだ。
もう一度やり直せと言われたら、それは即座に断る。

吹田のYOUは駅から遠かった。
吹田駅からだいたい2千里ほどあった。

東京のNOAHは店員がすぐ変わる。
変わり過ぎで全然覚えられへんのじゃー!
あの下ぶくれはどこ行ったんやー!

そして断トツで奇特な名前のスタジオは、大阪のアイコアイコだ。

変すぎるやろ。
何でせめてアイコじゃあかんかったんかいな。

カブトムシカブトムシて変じゃんか。

あーまぁぁあいぃー
におーいーぃにいぃ
誘われた私は
カブトムシカブトムシー

って譜割りも何かおかしいしポップ過ぎて、
悩んでる体が熱くならない。

いや、これはB'zのライヤーライヤーをディスってるわけじゃないよ。
言い掛かりはやめてよね。
私は愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけないを、
TSUTAYAでレンタルしたことがあるほどの、
大のB'z信者なのだから。
他はちょっとB'zの曲はわからないけど、
愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけないがわかれば、
B'z信者としては立派な澁谷さんなんだからね。

とにかく。
ほんまにたくさんスタジオに通った。

普段温和なけんいちくんをブチ切れさせたこと、
ゆたちゃんと帰りにお茶したこと、
スタジオの外でラジオを録音したこと、
けーちゃんの話していた恋話、
メンバーがスタジオの外で殴り合いしてて
それが何かおかしくて笑いこらえるのが必死やったこと、
スタジオ後にみんなでカラオケに行ったこと、
とーるちゃんと長話ばっかしてたこと、
こーへーの車で送ってもらった帰り道、
こーじと終電ギリギリまで話したこと、
全部は思い出せないけど、
それはつまり思い出さなくて良いんだろ。



バンドをやったことのある人ならわかると思うが、
練習スタジオは例外なく、結構な精神力と体力を消耗する。

好きと嫌い、のそれと同じ様に、
楽しいと苦しい、はいつだって一体だ。

だから多分やけど、
あんなしんどかったスタジオが今はきれいな思い出なぐらいやから、
このどうにも行き場のない感情みたいなもんも、
どうにかなるんだろ。

若干やっと現実味帯びてきた。

そうか、私もうすぐバンドマンじゃなくなるのね。
音楽は前述に違わず続けるし、
私はO.S.D.のサリのままのつもりやけど、
毎週スタジオでケンカしてライブやって、ってゆうバンドマンじゃなくなるの。

十年以上バンド命やったから、
ちょっと想像できひんやないか。
大学の卒業式すらライブのために欠席したり、
授業や仕事を休むために何回親戚が死んだかもう数えられない。
会ったこともないじーちゃんは、多分五回は危篤から死んでいる。

スタッズの付いた革ジャンも、
ダメージだらけのジーンズも、
「ROCK」ってプリントされたTシャツも、
ドクターマーチンのラバーソールも、
金髪と黒髪半分にした髪型も、
誰よりも似合うザ・バンドマンやったのに。

八割以上の初対面の人に、
「あなたはバンドマンですね?」と気付かれていたはずなのに。




もしかしたら、もう一生会えない人や、
死ぬまで行けない場所や、
そう言うのをひとつひとつ、
愛の歌を口ずさみながら噛み締めている。

あんなにしんどかった時間も、
全部結局はきれいな思い出になってしまうんやろ。

そうやって全部忘れてしまうんだろ。

そんな自己憐憫を梅酒で割る。

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