井上ひさし氏がこの世を去って5年余、いまだ作品の再上演は引きも切らないが、観劇の度に喪失感が募る。
特に構想のみで形を成さなかったものが作品化された時、喪失感はさらに高まる。
「木の上の軍隊」「母と暮せば」・・・
あの徹底的に練りこまれ選び抜かれた言葉で紡がれる濃密な日本語を新たに味わうことはもうできないいのだ。
もっともっと生きて、もっともっと書いてほしかった。
東日本大震災のもたらした「人災」について、日本と世界が迷い込んでしまった迷路について、語ってほしかった。
♪まるい地球の水平線に何かがきっと待ってる♪
氏は、人間に英知を信じ、明るい未来の到来を信じてこの言葉を綴ったにちがいない。
2016年元旦、新年を迎えたひょっこりひょうたん日本列島の未来は果たして明るいものなのだろうか・・・