バイクに乗るのが大好きな得体の知れない筆者である。彼は執拗にファッション的にロンドンを好んでいて、何かとヴィヴィアン・ウエストウッドを奉じている。また、バイクの嗜好っていうのも執拗にロンドンに依拠していてカフェレーサーカスタムしたバイクに乗っている、否、鬼ことオスカー・リーヴマンである。
今彼が乗っているのはオスカー・アゲインっていう相棒で、カスタムとかに100万円くらいかかっちまったんだ。というのももうすぐであれから一年なんだけど去年の春、いやいい天気ですねえっていう日に環七を走ってたら、ふとワゴン車が急に横から来て気が付いたら、目黒にある東邦大学大橋病院の緊急なんたらか室にいたんだよね。しかも耳が切れてたから、起きたら縫っててビビったし、具合悪かったよね。首と耳以外に体にさして外傷はなくて肉離れと全身打撲が残ったよね。問題は首とバイクだったんだ。
その時乗ってたバイクもカフェレーサーカスタムを施してあった、オスカーと名付けたヤマハのSR400っていうバイクで、タンク、ロケットカウル、シングルシート、スカチューン、ローダウン、ハイスロットル、セパハン、キャブはFCR、スカスカのメガホンマフラー、という感じのカスタムを施してあった、ロックロックしいてるかわいい奴だったんだ。もうエンジンにしかSRの原型がないマシンだったんだ。ところが後日事故現場に警察と事故を起こした会社の上司さんと言ったんだけど唖然としたな。言葉が出なかったな。
タンクは穴が開いてガソリンが漏れないようにテープが貼ってあって、なんか車体は歪んでるし、シートは破れて綿がこんにちはして、カウルは激しくバキバキ、それで極めつけがフロントフォークっていう前輪のタイヤを支えてるちょっと太めの鉄の棒が、単車が街頭のポールに突っ込んだせいで真っ二つに折れてたことだよね。これが腕とか足、首じゃなくてよかったよ。もし首だったら、植物かあの世に行ってるところだったんだ。
それから、保険の関係で彼を修理にするか、全損にして新しいのに乗るかで迷ったんだ。だけど私はそのオスカーといろいろな所にいった思い出があったんだ。いろいろな記憶を彼とともにアスファルトに刻み込んできた。だから、金はかかるけどもっともっと彼をかっこよくまた走れるようにしてあげようってことで川崎にあるお世話になってるバイク屋さんとタッグを組んで、工場で修正したフレームとタイヤだけを残して完全に生まれ変わらせたんだ。それで今の彼がいるんだ。どう考えてもオスカーは男前になった。涙もんだ。
交通事故にあってから、私は二度とは二人乗りだけはしたくないって思ってるんだ。事故前は別にそうは思ってなかったけど、ふと死がちらつくと死ぬなら自分だけで結構だって考えに至るもんだ。だから修理、カスタムした今の単車も一人使用なんだよね。タンデムステップすら付けてない。
ただ、やっぱりバイクって楽しいんだ。風を浴びて、コーナー攻めて、景色眺めて、たまに転けて(笑
高性能とかのバイクは嫌いだけど、すごいかっこいいルックスで乗ってて味があるのは好きだよ。味がないと人もバイクも飽きちゃうんだ。理想の人間像をマシンに投影してる節があるよ。
世の中には色々なバイクの種類がある。アメリカン、レーサーレプリカ、ネイキッド、オフロード。カスタムの種類ならカフェレーサー、チョッパー、ボバー、ストリートファイターとか。だけど、皮ジャンが一番似合うのがどう考えてもカフェレーサーなんだよね。一番ファッションにこだわらなくちゃいけないスタイルなんだ。嗚呼、ロンドンの文化ってクールだよ、ほんと。
奇抜な格好で、クールなマシンに乗るんだ。それっつーのも、そのファッションをしていて恥ずかしくない精神世界にファッションを装置として高めてもらって、そしてマシンは私を連れてってくれるんだ、ここではないどこかへ。
季節さえも迎えに行くことができる。そして冬以外ならナイトライダーはやっぱり夜に出現する。乗ってるときはただ無心でいいんだ、タンクに齧りつくようなものすごい前傾姿勢で。
奇抜な格好で、クールなマシンに乗るんだ。それっつーのも、そのファッションをしていて恥ずかしくない精神世界にファッションを装置として高めてもらって、そしてマシンは私を連れてってくれるんだ、ここではないどこかへ。
季節さえも迎えに行くことができる。そして冬以外ならナイトライダーはやっぱり夜に出現する。乗ってるときはただ無心でいいんだ、タンクに齧りつくようなものすごい前傾姿勢で。
永遠の階段なんて踏み外せばいい。
