どうも、はちごろうです。

ここ数年、お正月映画ってあんまり盛り上がらないですね。

昔はクリスマスとかお正月にヒットを見込んで

洋邦問わず大作映画を投入するのが一般的でしたが、

近年ハリウッド大作は世界同時公開が当たり前で、

そのため、各国の興行の都合が考慮されないわけですよ。
しかも今年は特にこのご時世で公開作品が溜りに溜まり、

作品の公開期間もどんどん短くなってる。

下手したら１２月公開で、１２月中に終わってしまうようなのも。

なんかこう、お正月映画がどんどん価値が低くなってる感じがします。

では、映画の話。

「ヴェノム　レット・ゼア・ビー・カーネイジ」

２０１８年に大ヒットしたマーベルヒーロー映画の続編。
捕食と破壊を好む地球外生命体シンビオートに寄生され、
ダークヒーロー、ヴェノムとなったフリーライターの活躍を描く。
出演はトム・ハーディ、ミシェル・ウィリアムズ、ウディ・ハレルソン。
監督は「モーグリ　ジャングルの伝説」のアンディ・サーキス

あらすじ

事件報道専門のフリーライター、エディ・ブロック。
数年前、事件取材の過程で地球外生命体シンビオートに寄生され、
体内に凶暴な生命体ヴェノムを宿してしまう。
その事件以来、サンフランシスコ警察から疑惑の目を向けられ、
さらに行きすぎた手法の取材が露見した影響で仕事にも恵まれずにいた。
そんなある日、警察のマリガン刑事から連続殺人犯の死刑囚クレタスの取材を依頼される。
彼にはまだ遺体未発見の案件があると噂され、それを探って欲しいというのだ。
早速サンクエンティン刑務所でクレタスを面会したエディだったが、
彼に寄生しているヴェノムはクレタスの独房に刻まれた画を一瞬で記憶。
帰宅後、それを紙に再現して見事ロデオビーチに埋葬された遺体を発見。
この一件でエディは報道の一線に復帰する一方、
知事が二の足を踏んでいたクレタスの死刑執行が許可される。
数日後、エディの元に別れた恋人のアンから連絡が入る。
エディは違法取材の件で彼女にも迷惑を掛け、
それをきっかけに破局。現在は医師のダンと交際中だった。
まだ未練があるエディは一縷の望みを掛けて待ち合わせの場所に向かうが、
彼女が告げたのはダンと婚約したという知らせだった。
翌日、死刑執行直前のクレタスから会いたいというハガキが届く。
早速ヴェノムと共に彼の元に向かったエディだったが、
クレタスは彼の出自を挑発。怒ったヴェノムがクレタスを襲おうとするが、
逆にクレタスは近づいてきたエディの手に噛みついてくる。
その際、クレタスは噛んで出来た傷からエディの血を舐め、
それをきっかけに彼の体内にもシンビオートが流れ込んでしまう。
そして死刑執行の最中、クレタスの体内のシンビオートが覚醒。
周囲の看守や囚人達を皆殺しにしながら刑務所を脱走した彼は、
かつてクレタスが収容されていた聖エステス矯正施設で知り合い、
永遠の愛を誓った女性フランシスを探すため町を彷徨うのだった。

今日は一緒に食べよう！

マーベルコミックでは珍しい、ダークヒーロー映画の続編なんですけどね。
元々はこのヴェノムというキャラクター、スパイダーマンの敵として登場するんですよ。
いわゆる主人公のエディに寄生した地球外生命体シンビオートが
のちにスパイダーマンことピーター・パーカーに寄生して、
例の赤いコスチュームを黒くしてしまうというね。
ちなみにそのエピソードはすでに
サム・ライミ版の「スパイダーマン」シリーズの３作目でやってる。
スパイダーマンを追う若い記者エディがシンビオートに寄生されてね。
だから前作の段階から将来的にはスパイダーマンと戦うことはわかってたんだけど、
本作のラストでその方向で話が進むことが明らかになります。

さて、今回はシンビオートのヴェノムに寄生されたエディが
死刑囚のクレタスを取材中に噛まれたことをきっかけに、
ヴェノムよりさらに強い生命体カーネイジが誕生する。
なにしろそもそも理性とか倫理観とかが欠落している快楽殺人者に
本能で動くシンビオートが寄生したんだから、
お互いの利害が一致しているわけですよ。
それに対してエディとヴェノムは性格的には水と油で。
社会正義のために行動するエディは常に本能むき出しのヴェノムに手を焼き、
ヴェノムはヴェノムで常識の範囲内で欲望を抑えつけるエディに苛立ってる。
で、結局ヴェノムとエディはカーネイジを倒すために
ようやくバディとして結束を深めることになるんですが、
なんかね、その課程で一旦二人（？）は大げんかをするんですよ。
この様子が同性カップルの痴話ゲンカっぽくも見えるんですね。
常識の仮面を被って欲望を抑えて生きるエディに対し、
もっとオープンに生きろよ！と焚きつけるヴェノムって感じでね。
その後、エディの身体を一旦離れたヴェノムは、
新たな宿主を探して夜の街をさまよい歩いて仮装パーティーに遭遇。
そこで参加者の前で自分の胸の内を吐露するシーンが出てくるんですけど、
そこなんかもう、ちょっとしたカムアウトですよ。
さらにそのあと、ヴェノムは自分の存在を知る数少ないキャラクターとして
近所のスーパーの女主人チェンさんに助けを求めるんですね。
ここなんか、パートナーとケンカして自暴自棄になって羽目を外した末、
互いの公平な立場の異性の知人に愚痴りに行ったみたいなんですよ。

一方エディもエディで、ヴェノムとケンカ別れをしたあとに
クレタスがカーネイジと刑務所を脱走したことを知り、
彼が離ればなれになった恋人フランシスを求めてることを突き止めるんですね。
でも警察側は今回のカーネイジの件が前作のヴェノムの件と繋がりがあり、
さらに両方ともエディが絡んでることから彼を警察に拘留するんですよ。
で、エディはやはりヴェノムの存在を知るアンに助けを求めるわけです。
そして彼女の手引きでどうにかエディとヴェノムは仲直りをするというね。

で、そんなエディとヴェノムに立ちはだかる敵クレタスとカーネイジ。
クレタスを演じるのは名優ウディ・ハレルソン。
最近だと「スリー・ビルボード」の警察署長役でオスカー候補になりました。
このときの彼はサム・ロックウェル扮する部下の警官を
影ながら見守る人格者として登場するんですけど、
９０年代の頃は粗野な悪党ばっかりやってたんですよ。
特に有名なのは９４年の「ナチュラル・ボーン・キラーズ」。
恋人と共に殺人を繰り返してきた男が警察に逮捕され、
収監中に取材に来たＴＶプロデューサーをだまくらかして暴動を起こし、
恋人と共に脱獄を成功させて姿を消す、という話で。
なんかもう、今回ウディが演じたクレタスはまさにそんな感じなんですよ。
幼い頃に祖母と母を殺して矯正施設に入所した彼は、
そこでフランシスという少女と出会うんですね。
彼女は口から大音量の超音波を出す異音攻撃（シュリーク）の能力から
矯正施設での隔離処置を受けてきたんですが、
フランシスはさらに別の矯正施設に隔離されることが決まる。
そして脱走したクレタスはフランシスを探し出し、
自分たちを引き裂いた連中に落し前を付けさせようとする。
今回ウディをキャスティングしたのは
間違いなくこの作品が念頭にあるんじゃないかな？と思いましたね。
だから観てて懐かしかったですね。

最終的にクレタスとカーネイジ、シュリークを倒したエディとヴェノムは、
警察からの追跡を逃れて南の島に辿り着くんですね。
そして暮れゆく夕陽を眺めながら二人で生きていくことを決意するんですよ。
なんかもう、愛の逃避行みたいというか。ＢＬっぽさ全開の一本でした。

[２０２１年１２月５日　ユナイテッド・シネマとしまえん　８番スクリーン]

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映画「ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ」について （ネタバレあり）

映画「ヴェノム　レット・ゼア・ビー・カーネイジ」について　（ネタバレあり）