どうも、はちごろうです。



東京・有楽町の複合施設「有楽町マリオン」に入店していた
「TOHOシネマズ 日劇」が2月4日の営業を持って閉館する。

現在「マリオン」のある土地にはかつて「日本劇場」という施設があり、
戦前から戦後、そして80年代にかけ、娯楽の殿堂として
数多くのコンサートや歌謡ショーが行われた場所だった。
その後、1984年に有楽町マリオンが完成。
開店当時は晴海通り側の入り口にある時計を目にして右側が西武百貨店、
左側に阪急百貨店が地上8階まで入り、
9階から上は西武側に松竹系の丸の内ピカデリーが2館、
そして阪急側には東宝系の映画館が3館入ってオープンした。
その東宝系の3館は9階に東宝邦画系の「日劇東宝」と洋画系の「日劇プラザ」、
そして11階にはその名も「日本劇場」という、
まさに日劇からの歴史を引き継ぐ映画館が誕生したわけです。

しかし、25年ほど前から日本にも海外から複合型映画館、
いわゆるシネコンが台頭してきた影響もあり、
全国にあった東宝系の封切り専門映画館は次々閉館。
「TOHOシネマズ」名義で次々とシネコンが建てられ、
その影響を受けてマリオン内の映画館も
「TOHOシネマズ 日劇」と名称変更されて現在に至る。
(その前に「日劇PLEX」って名前だった時期もありましたが)
そして今年3月末、日比谷地区にオープンする複合型ビル「東京ミッドタウン日比谷」内に、
「TOHOシネマズ 日比谷」が入る影響で「日劇」の閉館が決まる。
これにより、80年以上続いた「日劇」の名前が有楽町から姿を消すこととなった。

(そのくせ向かいの「TOHOシネマズ シャンテ」は残るのね。
 駄話会のメンバーのスターリング・エレファントさんは
 「あそこは客のマナーが悪いから絶対に行かない!」といつも怒ってますがw)



私も、この映画館には若い頃から本当にお世話になった。
現在はどこのTOHOシネマズに行ってもインテリアデザインは統一されていますが、
まだ「日本劇場」「日劇東宝」「日劇プラザ」だった頃はもっとゴージャスな内装で、
「大人の娯楽に触れている」という、ちょっと誇らしげな気分になったものです。
ま、いまのシネコンの設備から考えると、
例えば劇場内に傾斜がないので前の人の頭でスクリーンが見えづらいとか、
指定席が場内中央の数列しかなく、後は全席自由席なので
座って観たい場合は上映時間の何十分も前から並ばなければならないとか、
各回入れ替えなしだったので、映画の途中から入って途中で出ていく客がいたりとか、
鑑賞環境としては結構劣悪な面もあったのだけれども。



当時、西武の8階にはなぜかチケットぴあがあり、
当然ながら映画の前売りチケットも扱っていた。
考えてみれば不思議な話で、1階には当然チケット売り場があり、
そこでは一般料金で当日券を売っているのにもかかわらず、
施設内で上映中の作品の前売り券が買えたのである。
それに気づいてからは1階でチケットを買うことはなくなり、
直接8階のチケットぴあまで行って前売り券を買っていた。
しかし、この作戦には一つだけ難点があり、
ぴあの営業時間は西武の営業時間と同じ。
つまり営業開始時間は西武百貨店と同じ朝10時。
だから10時前から始まる映画を観るためには使えないのである。

(その後しばらくして8階からチケットぴあは無くなったが、
 何のことはない、2階に店舗を移動してただけだったのだが。
 ま、そこもしばらくしたら無くなりましたけど)




確かマリオンで最初に観た映画は、中学2年の時にクラスメートと一緒に観に行った
「おニャン子・ザ・ムービー 危機一髪!」と「そろばんずく」の二本立て。
当時はロードショーの段階で二本立てってのがまだあったんですよ。
劇場はいまの2番スクリーンである「日劇東宝」でしたが。











平日夕方に放送していたバラエティ番組「夕やけニャンニャン」から生まれた
アイドルグループ「おニャン子クラブ」の初主演映画とはいうものの、
内容的には「おニャン子クラブ」の横浜スタジアムでのライブ目指して、
二人の若者が遠方からジョギングで会場を目指す物語と、
「おニャン子」を担当する女性プロデューサーの息子が、
狂信的なファンによるスタジアム爆破計画を阻止しようとする、
二つの物語が並行して描かれていく不思議な構成だった。
スタジアムを目指す若者二人を江口洋介と宮川一朗太、
「おニャン子」の女性プロデューサー役を桃井かおり、
そして狂信的なファンの男を関根勤さんが演じていたのが印象的でした。

一方、「そろばんずく」は当時やはり「夕やけニャンニャン」に出演し
人気急上昇中だったお笑いコンビ「とんねるず」が、
「の・ようなもの」「家族ゲーム」といった作品で当時若手注目株の森田芳光監督の下、
初の主演映画を撮るということでやはり注目を集めた作品でした。
内容は実力重視の「ト社」と学歴・家柄重視の「ラ社」、
二つの広告代理店の間で繰り広げられる戦いを描いた作品で、
この作品で木梨さんはヒロイン役の安田成美さんを知り合い、
この共演をきっかけにして後に二人は結婚することになるわけですが。



現在のシネコンなら平日でも当たり前にやってますが、
当時レイトショーやオールナイトというと土曜日の夜しかやってなかった。
特に初日レイトショーってのをマリオンまでよく観に行ったんですよ。
いまは違いますが、昔はマリオンの裏手、JR有楽町駅の方に面した通りは、
夜8時以降になると路上駐車可になるんですね。
だから9時過ぎから始まるレイトショー目当てに車で行って、
通りに路上駐車して劇場に急ぐ、なんてこともよくやりました。
たまに駐車スペースが確保できずに四苦八苦して、
結局一か八かで道路の右側に停めて劇場に駆け込んで、
上映終わって「つまんなかったな」とか思いながら車に戻ると、
駐車違反の切符切られてて踏んだり蹴ったり、みたいなこともありました。



それと、最近のシネコンはそういうことはなくなりましたが、
昔の映画館は上映前に流れる予告編に配慮がなかった。
つまり東宝系なら東宝系、松竹系なら松竹系の作品を、
ジャンルや対象年齢層問わず、公開時期の遅い方から順に上映していたんですね。
だからかつては親に連れられて「ドラえもん」を観に行った子供が
ゴールデンウィーク以降に上映するホラー映画の予告を見せられ、
激しいトラウマを心に刻みつけられるなんてこともあったし、
逆に正月にアクション映画を観に行った大人たちが
「クレヨンしんちゃん」の予告を見せられ思わず失笑する、
なんていう光景も昭和の映画館には良く見られたものです。



そんな、個人的にも思い入れの深い
「TOHOシネマズシネマズ 日劇」の3スクリーンで、
明日から過去の名作を特別上映する企画
「さよなら日劇ラストショウ」がスタートします。
すでに最終日のチケットを中心に売り切れの回もあるようですが、
特に平日の上映作品のチケットはまだ余裕があるようです。
私もすでにチケットを2作品押さえています。
当時と比べて内装が変わってしまっているのがちょっと残念ですが、
楽しんでこようと思っています。