おはようございます。今年も私の出番が回ってきことを嬉しく思います。
相変わらずこの季節はいつも同じ空ですね。
空は一面の灰色。厚い雲が覆っているため太陽なる物は私は見たことがありません。
まあ、だからこそ私の出番があるとも言えるのですが。
この街はほぼ全ての機能をロボットたちが
運用、保守しています。
私は冬の間街の機能保全を任される、薪ストーブ型ロボットです。
その名の通り、薪による炎が私の動力エネルギーなのです。
春や夏は、太陽光をエネルギー源とするロボットたちが働くのですが、見ての通り冬の間はずっと厚い雲が空を覆っているため、彼らは働くことができないのです。
その点私は天候に関係無く働くことができます。欠点は薪が必要なことと、煙が少々出ることでしょうか。
しかし、働きながらこの街をストーブ機能で温めることが同時にできるのが利点でもあります。
同じような薪ストーブ型ロボットは大勢います。みんなで働きながら街を温めるのです。
しかし、重要なことが一つ抜けています。
温めるのは良いのですが、私たちはロボットなので基本寒さを感じることはありません。
この機能は寒さを感じる人間のためのものなのですが、その肝心の人間がこの街にはいないのです。
いや、中々にこの街は広いです。私も自分の持ち場以外の所に行くことは滅多にありません。もしかしたらこの街のどこかに人間はいるのかもしれませんが、私は会ったことがないのです。
せっかく付いている機能が役に立っているところを感じたいものです。
今年も変わらない冬。今度は人間に会えるといいなあ。