相葉はその夜眠れなかった。

そして翔もその夜眠れなかった。





相葉はドキドキしてどうしていいかわからなくなってた。
明日からどう翔に接していいのか考えても考えてもグルグルして頭の中はずっとパニック状態だった。

対して
翔は絶望の中にいた。

雅紀さんからもう飽きられてとうとう捨てられる時がせまっているのだと勝手に思い込んだ。







「おは、ようございます、雅紀さん。」

「お、おは、よ、う」





不自然すぎる挨拶から始まり

顔を合わせない2人。

他の使用人たちはすぐにその異変に気付く。





使「雅紀さま?体調がお悪いですか?」

翔「えっ?!?!体調が悪い?!雅紀さんが?!!悪いのですか????昨日のうたた寝のせいで?!?!」




翔が慌ててそう言うと

相葉は昨日のキスがすぐに思い出され


「トイレ!!!」


慌てて部屋から出ていった。









そしてトイレで悩む。




今まで、どうやって翔に接してきた?
どんな顔をして
どんな言葉を交わしてた?



どうやって接すればいい???

キスするって何で?
泣いたのもなんで?

翔の気持ちがわからなすぎる。



誰か助けてくれ。




そんな事をずっとトイレで考えた。






そして翔は

悲しみに入り込む。







もう目も合わせてくれなくなった。
もう俺には微塵も興味がなくなった。

イジメることも
虐げることも
さげすむことも

もうきっと・・・されないんだ。





どうして?なんで?

今まで

なんとか上手くやって来れていたのに!!!






翔は

自分に無性に腹ただしさを覚えた。







相葉は
恐る恐る部屋へと戻ってきた。

翔は
「雅紀さん!」というと
その腹ただしさをぶつけるようにして相葉に迫った。




「え・・・え?」

「具合が悪いんですか?!悪くないんですか?!ハッキリおっしゃってください!みんな心配してます!!!」

「あ、いや、その・・・」

「こっち来て!!!」





翔は無理やり相葉の手を繋ぎ

引っ張って椅子に座らせた。





相葉の心臓はドキドキ鳴り響く。





翔から強引に手を引かれるなんてことも今までなかったんだから。





「熱測るから!じっとして!!!」

「は、はい・・・」

「動くなって!」

「あ、ごめんなさい」

「ほら!また動く!!!」





それを見ていた使用人は

明らかにこれまでの2人の関係が逆転していて

映画でよくある
体が入れ替わった現象でも起きているのかと

疑いの目で見るほどだった。