「これは?」

「あっ!これは!別に関係ねぇから!!!」



バッ!



菊池が置いていった書類と名刺を
翔は慌てて手に取り隠すようにして抱え込んだ。



潤はその一瞬でしっかりと「井ノ原快彦」という名を目にした。

でもそれについて翔に尋ねることはしなかった。




「そう言えば潤はどうしてここへ?社長のそばにいてもらわないと俺、安心して休めないよ?」

「社長は今、重役との会議中だから大丈夫だよ。」

「あ、そっか。今日そうだったね。」

「その間に翔の様子を見てくるように言われたから。」

「そんなの、いいのに。。。」

「オレも見たかったから。」

「え・・・」

「心配してたんだぞ?」

「あ、うん。ありがとう。でも大丈夫だから。」

「じゃあとにかく今日は安静にして?明日はどうせ出勤するつもりなんだろ?」

「うん。ありがとね。じゃあ、ベッドに戻るよ。」

「ああ。俺も戻るわ。」

「うん。」















「潤・・・どうだった?翔はちゃんと寝てたか?」

「社長・・・菊池が来てました。」

「なんだと?!?!俺の家に来たって言うのか?!?!」

「はい。」

「誰も翔に近づけるなと家の者に伝えておかなければいけなかったか!!!
それで何しに?!まさか翔になにかしてないだろうな?!?!」

「『井ノ原快彦』の名刺を渡してました。」

「なに?!」

「菊池はあの『井ノ原快彦』の甥でしたよね?」

「そうだ。・・・まさか翔を引き抜くつもりじゃ・・・」

「多分そうだと思われます。
社長!だめですよ。翔くんを取られるなんて!俺もそんなこと、我慢出来ない。そんなこと、絶対阻止してください!!!」

「・・・」

「社長?」

「あ、ああ。わかった、ちゃんと見張っておくよ。」

「そうしてください!頼みましたよ?」

「ああ」





いつもなら勢いよく翔をどこにも行かせまいとする相葉が・・・

この時は少し
勢いがなかった事が


潤は少し気になった。